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青山ハッピー研究所 ハピ研

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ハピ”プロ”インタビュー | 「その道のプロ」にインタビュー。そこに在る「しあわせ」をレポート

小さなミツバチが銀座の街に新しい価値観を芽生えさせた 田中淳夫さん

銀座のど真ん中でミツバチを飼育し、ハチミツを採取する――。そんなインパクトたっぷりの「銀座ハチミツプロジェクト」が話題になっています。このプロジェクトの世話人である田中淳夫さんは、以前はミツバチの習性を誤解し、「刺されるんじゃないか」と及び腰だったこともあったとか。しかし、活動を続けるうちに、小さなミツバチが銀座という街を変える可能性があることに気付いたといいます。ミツバチを通して見えてきた田中さんの幸せ観とは。

無から有を生み出す
小さなミツバチの営み

「銀座ミツバチプロジェクト」の概要を教えてください。

2006年から、銀座四丁目の交差点に程近いビルの屋上でミツバチを飼っています。巣箱を設置するのは、花の時期である4月から6月の間で、昨年は150 kgほど採取できました。今年は既に250kgを超えており、これは国産ハチミツの0.01%にあたる収量だそうです。ミツバチは子育てのために、巣箱から半径3、4キロの範囲を飛び回って花蜜を集める習性があります。多くの方は、「都心のどこに花があるの?」と不思議がりますが、銀座の周辺には皇居や浜離宮、日比谷公園、さらに近所の花屋さんなどにもお邪魔しているみたいで・・・、意外に銀座は花や緑が多いんですよ。しかも、4月はソメイヨシノやナノハナ、5月はマロニエやユリノキ、6月はミカンやモチノキなど種類もさまざまで、ハチミツの香りも時期によって変わります。樹木は朝に蜜を出しますが、ミツバチに採取されなければ夕方には蒸発して消えてしまう。その意味では、ミツバチは無から有を生み出していると言えるでしょう。

プロジェクトをスタートしたきっかけは?

もともと、自然環境に対する関心が特別に高かったわけではありません。ある日、食に関するシンポジウムを行う「銀座食学塾」を主宰する高安和夫さんたちと食事をしていた時に、岩手の養蜂家である藤原誠太さんという方が東京でミツバチを飼う場所を探している、という話が出ました。どうして、わざわざ東京で飼う必要があるのか、不思議ですよね(笑)。ミツバチは「環境指標動物」とも呼ばれているとても弱い生物で、農村では田畑で使われる農薬によってミツバチが死んでしまう被害が相次いでいるんだそうです。でも、養蜂家は花蜜を“取らせてもらっている”立場ですから、「農薬を使わないで・・・」とは言えない。そこで藤原さんは発想を転換し、都会に目を付けたのですね。・・・と、そんな話を聞くうちに、銀座周辺の自然環境にプラスになればと思い、私の会社の屋上を使ってはどうですかと、軽い気持ちで口にしたんですよ。

それで藤原さんとお会いしたのですね。

そうなのですが、その時、藤原さんは僕と高安さんに「ミツバチを飼うなら、しっかりと勉強してくださいね」と言うんですよ。「えっ! 藤原さん、あなたが飼うんじゃないの?」と、びっくりしましたよ。ミツバチなんて怖くて触れるはずがないと思っていましたからね。でも、結局、スペースが狭くて数箱しか巣箱を置けず、プロの養蜂家では採算が合わないため、一度は話が流れました。ところが、その後、藤原さんと何度か会い、銀座の歴史や文化、また銀座周辺の巨大な開発による影響などを話すうちに、藤原さんから「僕が協力するから、是非、ミツバチを飼ってみたらどうか」と提案されました。最初は躊躇しましたが、しだいに「銀座の環境が変わるのなら」と思うようになりましてね。昨年、初めて三箱の巣箱を設置し、春季限定で飼うことにしました。

新しい取り組みを否定しない
銀座という街の魅力を再発見した

すんなりと周りの理解は得られたのでしょうか。

ミツバチって、そう簡単には人を刺さないんですよ。自分の身に危険が及ぶか、巣箱が襲われた時くらいですね、ミツバチが攻撃的になるのは。でも僕自身も誤解していましたし、毎日、40万人が訪れる銀座に針を持つ昆虫が飛び回れば、やはり違和感を持つ人もいるだろうと思い、最初は周囲の理解を求めることから始めました。役所や消防署、また各通りの会の会長などに説明して回るうちに改めて実感したのは、銀座は新しい取り組みを否定しない街なのだなぁということ。誰もが心配はあったかもしれませんが、前向きな言葉をかけてくれるんですよ。実際、スタート後も苦情が寄せられたことは殆んどなく、もちろん、皆が皆、賛成しているわけではないとはいえ、全体的には応援してくれているのを感じて勇気付けられますね。

収穫したハチミツはどのように利用しているのでしょうか。

銀座で採ったハチミツは銀座で使いたいと考えています。たとえば、三笠会館地下のバー・5517ではハチミツでカクテルを作っているほか、ミクニ ギンザの「『銀座のはちみつ』パウンドケーキ」、銀座清月堂本店の「銀座はちみつ羊羹」、アンリ・シャルパンティエ銀座本店の「銀座産ハチミツ・マドレーヌ」など、さまざまな商品として味わっていただいています。それから銀座文明堂でカステラを50年近くも焼き続けてきた「食の人間国宝」と呼ばれる方にも、銀座産のハチミツで焼き上げてもらいました。その方が「銀座のハチミツは洗練されてるね」と嬉しそうにつぶやくのを聞いて、ミツバチはもともと職人の街だった銀座に元気を与えられる可能性があることに気付きました。

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プロフィール

田中淳夫さん

1957年東京生まれ。特定非営利活動法人 銀座ミツバチプロジェクト副理事長。多目的ホールなどを管理する紙パルプ会館の取締役総務部長を務めるかたわら、「銀座の街研究会」の代表世話人として銀座の街の歴史や文化の研究にも取り組む。2006年、養蜂家の藤原誠太さんとの出会いがきっかけで、紙パルプ会館の屋上で養蜂をスタート。
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