「人がしあわせを感じるモノやコトって、何だろう?」衣・食・住・美など生活に密着したテーマでその答えを考える“しあわせ探しの情報サイト”
ハピ研についてハピ”プロ”インタビュー | 「その道のプロ」にインタビュー。そこに在る「しあわせ」をレポート
幼い頃は、あんなに折り紙に夢中だったのに、今はすっかり折り方を忘れてしまった――。そんな大人たちに向けて折り紙の楽しさを提案する2人組が折り紙グラフィックユニット「cochae(こちゃえ)」。日本の伝統的な折り紙作品にカラフルな絵付けを施したものから、妖怪やマトリョーシカといった従来にはない作品まで、オリジナルのアイデアがたくさん詰まったcochaeの「グラフィック折り紙」は、一目見たら折りたくなるものばかり。世代や性別を問わずに人気を集めているのも頷けます。cochaeとして活動する軸原ヨウスケさんと武田美貴さんが、たった一枚の紙から無限の楽しさを引き出すことのできる折り紙の不思議な魅力について語ります。
折り紙を忘れた大人に向けて
この楽しさを発信したい
折り紙グラフィックユニット「cochae(こちゃえ)」の活動内容は?
(軸原さん)基本となる活動は、折り紙に絵柄を付けた「グラフィック折り紙」の創作です。たとえば今年4月、講談社から出版した『妖怪おりがみ』は、日本の妖怪を折り紙作品にした本。各ページを切り取って折り図を見ながら折れば、カラフルな24体の愛らしい妖怪ができあがります。さらに書籍としては、百の日本の伝統色に百パターンのグラフィックを付けた新しい伝承折り紙本「百羽鶴」などがあるほか、「マトリョーシカ」をはじめとした折り紙キットもいろいろと出しています。最近では「折る」という作業をキーワードに、折ると日本伝統の文様が現れる手ぬぐいなど、紙以外の創作物にも活動を広げています。香港のサンリオと一緒にキティちゃんの折り紙をデザインするなど、キャラクターや企業とコラボレーションすることも増えていますね。
cochaeの結成のきっかけは?
(軸原さん)当初は僕と彼女と、光森という男性の3人で活動していました。高校からの友人だった彼はちょっと変わった存在で、折り紙が上手く、よくオリジナルの複雑な作品をつくっていました。普通、折り紙は子供の遊びか老人のリハビリ的なもので、大人になると、やらなくなりますよね。僕もそうでしたが、久々に折り紙に触れてみたら、何だかとても楽しく感じて、何かの活動をできないかな――と、思うようになりました。それで大学時代に知り合った武田と3人で、2003年、cochae(こちゃえ)を結成。妙な名前と思うかもしれませんが、「こちゃえ」とは岡山県に伝わる民謡「こちゃえ節」が由来。「こちらへどうぞ」「こっちはいいぞ〜」といった複数の意味を持つお囃子言葉です。「一見さんいらっしゃい!」という意味がcochaeの活動にふさわしいと思ったのと、3人とも、岡山県の出身なもので。
(武田さん)私も長い間、折り紙からは遠ざかっていましたが、大学時代、久しぶりに折ってみたら、すごく気持ち良かったのを覚えています。「懐かしい」というよりは、新鮮な楽しさを感じ、次々に折りたくなりました。以前の私たちと同じく、折り紙を忘れている大人に向けて、その楽しさを発信したいというのがcochae結成の一番の目的です。
完成形を想像したら
頭の中にパッと折り方がひらめく
「仕事」として本格的な活動を始めたのは?
最後は「お多福」から「福助」へ変身。
(軸原さん)もともと、仕事にするつもりはなく、当初は小さなレコードショップなどの少数のお店に家庭用のプリンターでつくった折り紙キットを置いてもらう程度の活動でした。ところが、予想外に反応があって、ちょっとずつ雑誌の特集やイベントへの参加などのオファーが増えていきました。大きな転機となったのは、放送作家の小山薫堂さんに面白がっていただき、「折り紙アーティスト」としてテレビに出演してからです。それをきっかけに、「どこで買えるの?」といった問い合わせが殺到するようになり、気付いたら仕事になっていたというのが、これまでの経緯です。
オリジナルの折り紙作品は、どのように創作するのでしょうか。
(武田さん)当初は複数の紙をコラージュしてアートオブジェのような作品を創作していました。今、出しているようなグラフィック折り紙のヒントになったのは、偶然、私の実家で発見した昔の子供の遊びをまとめた古い本。その中に明治時代の絵付きの折り紙があり、「今、同じような折り紙を出したら面白いのでは」と思い、グラフィック折り紙を作りはじめました。一つひとつの作品は、頭の中に完成形を描き、無地の折り紙を折っていき、折り方が決まったら絵付けをするという流れです。当初は難しかったですが、何年もつくり続けるうちに、完成形を想像したら、ある程度、パッと折り方がひらめくようになりました。
折り紙は、どのような方々に受けているのでしょうか。
(軸原さん)本当にさまざま。従来の折り紙は子供とおばあちゃんというイメージがありますよね。その点、cochaeの折り紙は若い女性の反響も大きいですし、『妖怪おりがみ』など、モノによっては若い男性にもウケています。また、「奇抜な折り紙だから若い人向きだろうな」と思ってつくったものが比較的年齢の高い主婦の方々にウケたりと、誰に買っていただけるかは本当に想像が付きません。これは、とてもうれしいことですね。
12
