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ジャンルによって線引きせず、いろいろな音楽に挑戦したかった
一方の正木さんの音楽のバックボーンは?
(正木)小学校のときはマーチングバンド、中学校のときは吹奏楽部で打楽器を演奏してました。高校では音楽科に進んでクラシックを学び、今は大学で打楽器を専攻しています。音楽を勉強できるのは楽しいと思う反面、クラシックの世界の体質に「これはちょっとなぁ」と思うところもあったんです。例えば、クラシックはクラシック、現代音楽は現代音楽で固まりがちな傾向なんですが、どうもジャンルを線引きするのが嫌で、まったく関係なく「もっと、いろいろと演奏すればいいじゃない!」と思ってたんですよ。そんなときに赤羽さんと出会ったんです。ジャンルに関係なく面白い音楽を奏でていく彼女の姿は、新鮮でしたし、共感するところがたくさんありましたね。私自身、専門は打楽器ですが、二人で何かをやる場合は打楽器に留まらずに、その場の必要に応じていろんな楽器を演奏します。ワークショップというスタイルについても、まったく違和感はありませんでした。私はどんな場所でも、どんな形でもいいからとにかく演奏をしたいというタイプ。明確なコンセプトを持つ赤羽さんとは対照的なんですよね。だからこそ、うまくいっているのかなとも思いますね。
音楽が生まれ、存在する場として、「うたの住む家」を開催
冒頭にお話のあった『うたの住む家』の活動内容について教えてください。
(赤羽)『うたの住む家』は、「即興からめーる団」が主催するワークショップです。障がいのある方、学生、三田のご近所の方など多くの人に参加してもらっています。拠点は田町にあるコミュニティスペース「三田の家」。古い民家を改造した“家”ですので、“音楽が生まれ、存在する場”が作りやすい雰囲気を持っています。
ワークショップ「うたの住む家」
(正木)ワークショップでは参加者の方とオリジナルのうたをつくってうたうのですが、うたをつくる方法はその都度本当に様々です。あるときの例をおはなしすると、まず最初に参加者の皆さんにおのおの好きなように楽器を触って奏でてもらったあと、「今の気持ちは何ですか?」と質問したところ、ある参加者から「せつない」という声が返ってきました。次の人に聞くと「いとしい」、その隣の人は「おいしい」と。そして最後の人が「さんま」、なんて返答が戻ってきました。「せつない」「いとしい」「おいしい」「さんま」、それを単純につなぎ合わせていたら、あっという間に「さんまの歌」が出来て・・・。さらにその次のワークショップでは、さんまを焼いて、食べながらその歌を歌ったりしました(笑) そこから、また新しいうたが生まれたりして・・・。
(赤羽)『うたの住む家』では、参加者から自然とうたが生まれてくるようになったらいいな、と思っていたのですが、正直なところ、そこに至るまでにはかなり時間が掛かるだろうと思ってました。ところが、ワークショップの2回目ぐらいからあちらこちらから鼻歌が響くようになったんです。もう歌わずにいられない状態になったというか。こんなに早く反応が返ってくるとは思ってなかったので、驚きましたね。きっと、私たちが常に歌っていたので、いつでもどんなことでも歌にしていいんだなぁというムードが出来上がっていたんでしょうね。また「三田の家」という空間が、参加者みなさんをリラックスさせて、音楽に入り込みやすかったのかもしれません。台所があって居間があって、という本当に普通の民家ですから。とにかく私自身、スゴイ理想的な場になってきていると思っています。
「即興からめーる団」として活動して2年。振り返っていかがですか?
(赤羽)周囲からは「即興からめーる団」に出会うと「“新種”を見たような印象を受ける」とよく言われます。普通に曲を演奏もするし、かと思うと変なパフォーマンスもする。演奏する音楽も多岐に渡っていて、結局、何だかわからないんでしょうね(笑) 。まぁ、正木さんと一緒だから、そんな風なおもしろいことにもチャレンジできる。二人なら、もっと面白いことができると思っています。
(正木)赤羽さんという強烈な個性に出会って意識したのは、「自分は一人の音楽家として何がしたいのか?」ということ。以前は、とにかく演奏したいという気持ちだったのですが、観る人にとっても自分にとっても、もっと面白い演奏をするにはどうすればいいのかを真剣に考えるようになりましたね 。おそらく“自分の役割”というところに意識をはらえるようになったんでしょうね。
お二人が考える幸せとは?
(赤羽)正木さんと何かをやるときって、いつもワクワク感に包まれています。二人で、思いつくがまま即興演奏をしたり、おもしろい企画をたくらんだりしていけることが、ひとつの幸せでしょうか。またワークショップの参加者とともに、新しい音楽を生み出している時にも幸せを感じますね。また幼稚園児たちと音楽を作っていますが、たまたまそこで生まれた一度きりの「うた」や音楽が、そこにいた子供たちの頭に残っていて、将来どこかで思い出して歌ってくれたり、あとあと受け継がれていったりしたならば、それはとっても幸せなことだなと想像します。何しろ、音楽を続けていられることが本当に幸せです。
(正木)私は結構何でも幸せに感じるタイプなので、「即興からめーる団」という活動そのものが幸せといえるかもしれません。「即興からめーる団」での活動は、今まで体験してきたことがないようなことの連続のような気がします。色々な人と出会い「音楽」をすることができる、本当に面白くて仕方がありません。また、自分がやってみたいと思っていたイメージがどんどん明確な形になっていくから、余計に楽しいんでしょうね。こういう面白い体験が続く日々を、これからも過ごしていければ最高です。
インタビュー・文:佐藤明生
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