アサヒグループは、「自然の恵み」を享受して、商品・サービスを生み出しているとともに、事業活動を通じて、温室効果ガスの排出など地球環境に影響を及ぼしています。気候変動に対応し、水資源の確保や生物多様性の保全なくして、私たちは事業を継続できません。アサヒグループでは、さまざまな環境課題に対して積極的に取り組むことで環境負荷を削減、社会により多くのプラスの価値を創出し、「自然の恵み」を次世代につないでいきます。

環境方針・ビジョン

気候変動への対応

Asahi Carbon Zero

地球温暖化による気候変動は、干ばつや洪水といった異常気象の激化を引き起こし、世界中の人々の生活や多様な生態系に大きな影響を与え、アサヒグループにおいても看過できない事業上のリスクです。さらに、世界的にも「地球沸騰化」と称されるほどの危機的な状況が進行中であり、迅速な対応が求められています。そのため、事業活動によるCO2排出量の削減と気候変動に対する適応は、アサヒグループにとって、切迫した課題と捉えています。
アサヒグループは脱炭素社会の実現のため、2040年までにCO2排出量“ネットゼロ”を目指す「アサヒカーボンゼロ」を設定しています。また、バリューチェーンを超えて社会全体のCO2排出量削減に貢献できるよう「Beyond カーボンニュートラル」の目標を掲げています。その達成に向け、ステークホルダーの皆様と協働しながらさまざまな取り組みを推進しています。

気候変動への中長期目標「アサヒカーボンゼロ」

アサヒグループは、気候変動への中長期目標「アサヒカーボンゼロ」を設定しています。「アサヒカーボンゼロ」は、2040年にScope1,2およびScope3にてCO2排出量“ネットゼロ”を目指すものであり、2030年にScope1,2において70%削減、Scope3において30%削減を目標とするものです。さらに、Scope1,2は2025年までに40%削減する中間目標を設定しました。また、「Beyondカーボンニュートラル」では、バリューチェーンを超えた社会全体のCO2排出量削減を目指します。アサヒグループは、自社の脱炭素目標達成に向けて、再生可能エネルギーの早期導入完了や製造工程における燃料の脱炭素化、CO2排出量の削減・吸収・回収に関連する技術の開発と展開など、サプライヤーやパートナーと協力し、バリューチェーン全体のCO2削減と生態系保全を目指します。

アサヒグループとして、科学的な根拠に基づく脱炭素目標設定の重要性を認識しております。そのため、「アサヒカーボンゼロ」は、SBT(Science Based Targets)イニシアチブと呼ばれる脱炭素目標が科学的な根拠と整合するかを認定する国際的なイニシアチブの認定を受けております。
「アサヒカーボンゼロ」は、SBTイニシアチブから2030年のScope1,2目標において「1.5℃目標」、Scope 3目標において「2℃目標」の認定を取得しています。Scope 3目標は2℃を十分に下回る水準(Well Below 2℃)に達しています。長期目標についてもSBTイニシアチブからの認証取得に向けて取り組んでいます。

また、再生可能エネルギーの活用に関する目標については、2020年10月に国内飲料業界としては初となるRE100に加盟しました。更に、2022年には目標年を10年前倒して2040年までに使用する電力全てを再生可能エネルギーにすることを目指し、今後さらに再生可能エネルギーの導入を加速していきます。

気候変動への対応に関する目標

by 2040

Scope1,2,3においてCO2排出量を
“ネットゼロ*”にする(2019年比)
※SBTiネットゼロ定義に準拠し、CO2排出量削減90%以上、炭素除去最大10%

達成状況

-7%

2020年

-19%

2021年

-30%

2022年

Scope1,2における達成率(2019年比)

気候変動への対応に関する活動報告

自然の力を商品づくりに

再生可能エネルギーの活用

アサヒグループでは「アサヒカーボンゼロ」の達成に向けた取り組みを加速させるため、再生可能エネルギーの導入、活用を進めています。
2025年までに、日本国内全生産拠点での購入電力の再生可能エネルギー化を目指すとともに、海外を含めた生産拠点全70工場(2022年3月時点)のうち約9割となる62工場で再生可能エネルギー化を進める予定です。

カーボンニュートラルな醸造所を目指して

グリーン熱の活用

オランダのロイヤルグロールシュ社は、バイオマス発電による電気、熱、蒸気を供給するTwence社から、発電時に発生する熱エネルギーの供給を受ける契約を締結し、2022年からグリーン熱の利用を開始しました。

CO2排出量削減の新しいモデルをつくる

クリーンエネルギーモデルの開発

アサヒグループは、CO2排出量削減の新たなモデルとして、ビール工場排水由来のバイオメタンガスを利用した固体酸化物形燃料電池(SOFC)による発電の実証事業をアサヒビール(株)茨城工場にて2020年から開始しました。

取り組み事例一覧

持続可能な容器包装

3R+Innovation

アサヒグループの商品における容器包装の役割は、品質保持、輸送に耐える強度の確保、表示を通じたコミュニケーションなど、重要かつ多岐にわたっています。一方で循環社会の実現に向けては、容器包装による環境負荷の低減は重要な課題であり、環境負荷の高いプラスチックについては特に力を入れて取り組むべき課題であると考えています。
アサヒグループは、「アサヒグループ環境ビジョン2050」において、容器包装の領域における2050年の世界のありたい姿を「容器包装廃棄物のない社会」と定義し、使用する資源利用の最小化と使用後の容器包装再利用化による循環型社会の構築への貢献によって、海洋生態系が保全された世界を目指しています。
プラスチックについてはグループ全体目標「3R+Innovation」の達成に向け、プラスチック使用量の削減やリサイクル素材の利用推進、ラベルレスボトルの販売など容器包装における環境配慮を進めています。

「3R+Innovation」目標

2025年までにプラスチック容器を100%有効利用可能※1な素材とする
2030年までにPETボトルを100%環境配慮素材※2に切り替える
環境配慮新素材の開発・プラスチック容器包装を利用しない販売方法を検討する

対象とするプラスチック容器:PETボトル、プラボトル、PETボトル・プラボトルに使用するキャップ、一部プラスチック容器、プラカップ(販売用)など

有効利用:リユース可能、リサイクル可能、堆肥化可能、熱回収可能など
対象会社:アサヒビール(株)、アサヒ飲料(株)、アサヒホールディングスオーストラリア、アサヒホールディングスサウスイーストアジア

環境配慮素材:リサイクル素材、バイオマス素材など
対象会社:アサヒ飲料(株)、アサヒヨーロッパアンドインターナショナル、アサヒホールディングスオーストラリア、アサヒホールディングスサウスイーストアジア

持続可能な容器包装
に関する目標

by 2030

2030年までにPETボトルを
100%環境配慮素材に切り替える

環境配慮素材: リサイクル素材、バイオマス素材など

達成状況

11%

2021年

21%

2022年

達成率

持続可能な容器包装に関する活動報告

環境にも、使う人にも、優しい商品を

ラベルレス商品の販売

アサヒ飲料(株)は、PETボトルからラベルをなくすことでラベルに使用される樹脂量を削減した「ラベルレス商品」の販売を拡大しています。廃棄時の分別でも、ラベルをはがす手間が省け、環境に配慮しながらお客様の利便性も向上させる「ラクしてエコ」を実現する商品です。

リサイクルへの取り組みは、プラスチックを多く利用する企業の責任

リサイクルPETボトル使用拡大への取り組み

アサヒグループは、プラスチック問題に関するグループ全体の目標「3R+Innovation」の中で、リサイクル素材など環境配慮素材の利用を推進しています。特に豪州と日本の飲料事業ではプラスチック容器を多く利用しており、リサイクルPETボトルの導入を拡大しています。

使い捨てから「繰り返し使う」へ、そして「使い食べ」へ

プラスチック使用量の削減へ

何気なく捨てられたプラスチック容器は、海洋生物だけでなく生態系全体に甚大な被害をもたらします。特に多いのが、容器・包装に使用されるプラスチックです。地球全体が直面するこの課題の解決に貢献することは、食品や飲料を製造販売するアサヒグループの果たすべきミッションだと考えています。

取り組み事例一覧

持続可能な農産物原料

農産物が、人類に不可欠であることは言うまでもありません。一方で、気候変動などの環境リスクは、農産物原料の収量や品質に大きな影響を与える可能性があります。農産物生産地の環境、生態系や地域社会の人権に対する配慮も欠かせません。
アサヒグループは、将来にわたって農産物原料を枯渇させずに安定して確保する仕組みの構築を進め、大切な「自然の恵み」を次世代につなげることができる「持続可能な農産物原料」の実現を目指していきます。

持続可能な農産物原料に関する活動報告

自然の恵みを、次の世代につなげていくために

重要原料のリスク分析

アサヒグループは、将来にわたって農産物原料を枯渇させずに安定して確保する仕組みの構築を進め、大切な「自然の恵み」を次世代につなげる持続可能な農産物原料の実現を目指しています。

取り組み事例一覧

持続可能な水資源

人口増加、経済成長、気候変動による干ばつなどで、毎年のように世界規模の水不足が発生する現在。水資源をめぐる問題は、グローバル共通の社会課題です。
水そのものを原料とし、また工場での製造などにおいても水を活用しているアサヒグループにとっても、水は欠かすことのできない資源です。将来もずっと、この貴重な資源を活用できるように、水使用量の削減や自社工場における水リスクの把握と低減に向けた対応に取り組んでいます。また、目標に掲げる「人と自然のための健全な水環境」の実現に向け様々な取り組みを推進しています。

持続可能な水資源
に関する目標

by 2030

2030年までに水使用量の原単位を
3.2m³/kl以下とする

達成状況

3.5
m³/kl

2020年

3.4
m³/kl

2021年

3.4
m³/kl

2022年

水使用量原単位の実績

持続可能な水資源に関する活動報告

水を蓄え、育む「アサヒの森」

社有林「アサヒの森」による水涵養

アサヒグループは、社有林「アサヒの森」(広島県)において適切な森林管理を行うことにより、水涵養による水資源の保護に貢献しています。現在その水涵養量は、当社の日本国内ビール工場で使用する水以上の量となっています。多様なステークホルダーとともに「アサヒの森」の豊かな生物多様性を維持し、これからも地域に貢献していきます。

水をリサイクルし、使う水そのものを減らす

持続可能な水資源の確保

豪州のカールトン&ユナイテッド・ブルワリーズ社ヤタラ工場の水リサイクル施設では、醸造プロセスにおいて高品質な再生水を生産しています。

取り組み事例一覧

Other
Activitiesその他のアサヒグループの活動

廃棄物削減と汚染の防止

人口増加や経済成長にともない、天然資源の枯渇や廃棄物の増加等による環境汚染が深刻な問題となっています。アサヒグループは、これまでに培った技術や知見を活用した副産物の新しい利用や、廃棄物の削減および汚染防止の取り組みを推進しています。

生物多様性の保全

自然環境の悪化に伴い、生物多様性がこれまでにない早さで失われつつあります。アサヒグループは、事業活動が生物多様性に与える影響を認識し、その保全に配慮した事業活動を目指しています。

持続可能なサプライチェーンの実現

アサヒグループは、環境・社会に配慮した調達活動を目指し、サプライヤーの皆様との強固な信頼関係と長期的な協力関係を構築、持続可能なサプライチェーンの実現、維持に努めています。

Other
Information「環境」に関連するその他の情報

Sustainability
Reportサステナビリティレポート

ガバナンス、リスク管理、戦略、指標と目標の切り口をベースに、実績や取り組みを含めたサステナビリティに関する情報を網羅的に提供するツールとして、サステナビリティレポートを発行しています。