食と体づくりをテーマとした、多様なメンバーとの対話セッション

[サステナビリティ]
アサヒグループホールディングス

去る6月9日(月)、アサヒグループ本社ビルにて「食のフューチャーセッション」が開催された。「未来もおいしく食べるために大切にしたいこと」をテーマとしたこのイベントも、今回で3回目。参加者同士でどんな対話がなされたのか、そのレポートをお届けしよう。

―「体づくり」をテーマに活発なセッションが繰り広げられる

 2013年からアサヒグループ主催で定期的に行われている「食のフューチャーセッション」。アサヒグループはCSRの活動領域として「食と健康」を掲げているが、この領域における課題は幅広く、立場によっても関わり方がさまざまであるため、多様な立場の方との対話を重視している。その具体的な形のひとつが、この「食のフューチャーセッション」だ。毎回のセッションでは「食」に関心のある人たちを招き、アサヒグループの社員も加わって、ひとつのテーマについて語り合うことで、未来に向けた具体的なアクションプランを生み出すことを目指している。

2013年に開催したセッションの様子

 2013年6月に開催された1回目のセッションでは、「未来もおいしく食べるために大切にしたいこと」について考え、参加者同士の対話の中から「循環」「体づくり」「空間」「知恵」「感覚」の5つのキーワードが導き出された。そして同年11月に行われた2回目のセッションでは、その中から「循環」というテーマについて掘り下げることに。参加者は、生産、加工、流通、消費など、多様なセクターから集まり、そしてそれぞれの立場の違いを超えて対話することにより「フードロス(食品廃棄)」を減らす方法や余った食品を活用する斬新なアイデアが生み出された。

 こうして迎えた3回目のセッション。テーマは5つのキーワードから「体づくり」が選ばれた。一般企業に勤める会社員や食の仕事に携わる人、NPOメンバーや学生など、立場や年齢も様々な約40名が会場に集まり、セッションは幕を開けた。

 参加者は4名ずつテーブルに分かれ、「未来の体づくりのためにできること」をテーマに対話を繰り広げることに。さらに3段階の切り口が用意され、「ROUND1:未来の体づくりに向けて、"今"投資することの難しさ」「ROUND2:今自分が食べることが、未来とつながるとすれば、何とつながっているか? なぜつながっているか?」「ROUND3:自分が未来も健康だと、誰のためになるだろうか?」の順で「体づくり」を深めていくことになった。

今回のセッションのオープニング 神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 栄養学科 倉貫早智准教授

―「楽しく体づくりを実現するための仕組み」を参加者全員で生み出す

 いざセッションが始まると、どのテーブルも初対面同士とは思えないほど、活発に個々の想いを伝え合っていた。「ROUND1」では、「体づくりには、時間とお金が必要だからハードル高いよね」「健康によくないとわかっていても、飲んだ後にラーメンが食べたいとか、どうしても目先の誘惑に負けてしまう」といった正直な意見が続々。ひとつのROUNDが終わると、各テーブルとも1人を残してメンバーが入れ替わり、「ROUND2」では新たな顔ぶれでセッションを開始。今度は「自分が食べることで、生産者とつながる」「女性であれば、母親になった時、自分が食べたものがそのまま子どもの健康につながるはず」といった声が聞かれた。

 そして「ROUND3」に突入。テーブルごとの対話はさらに深まり、「食」を切り口として「"自分"と"社会"のつながり」について参加者たちが語り合う。「生産者がいて、それを買って食べる自分がいることで、社会にお金が回り、日本経済のためになるのでは」という意見もあれば、「健康であるからこそ、大好きなお酒も飲めるし、趣味やスポーツも楽しめる。自分が健康を維持することは、結局"自分のため"になるのだし、それでいいと思う」といった意見も飛び出した。また、対話に加わったアサヒグループの社員たちも、日常、直接触れることができない多様な意見に刺激され、個々の中にあった想いが言葉となって溢れ出てきていた。

 そして最後に、「特別に意識することなく、楽しく体づくりを実現するための仕組み」の具体的なアイデアをテーブルごとにまとめて発表した。「一人で食事をする"孤食(個食)"が食生活を不規則にする原因なのでは」という議論から、「夜や週末に一カ所に集まり、バランスの良い食事を提供する『大人の給食』」や「離れている人同士が同時刻に食事をし、ネットや電話を介してその時間を共有する『友食い(ともぐい)』」といったアイデアが生まれた。なかには、「未婚の男女が集まって朝ご飯を一緒に食べる『朝食婚活』」といったアイデアも。それを聞く参加者たちも、斬新な内容に感心したり、ユニークな発表に爆笑が起こったりしつつ、セッションは活況のうちに幕を閉じた。

ROUNDごとに対話を深める参加者 アイディアを発表する参加者

―視点を広げ想いを深めるためにも様々な人とのセッションは有効

 今回のセッションを、参加者たちはどのように感じたのだろうか。「食卓研究家」として活動しているという新田理恵さんは、「普段はあまり接点がない普通の会社員や学校の先生といった方たちから、広い視点で意見を聞けたのがよかった」と話す。幼稚園の園長を務める町山太郎さんは、「"仕組み"にまで落とし込んだのが有意義だと感じた。私も園児のお母さんたちに『ちゃんと子どもに朝ご飯を食べさせましょうね』と話してきたが、意識の高い人でなければ変わらないことが多い。でも、良い習慣を作る仕組みがあれば、特に意識が高いわけではない人でも変わることができるのでは」と語ってくれた。また、発酵食レストランを運営しているという長谷川賢吾さんは「これだけ"孤食"が問題意識として挙がるとは思わなかった。私のレストランでも、ただ健康に良い食事を出すだけでなく、食事を楽しめる場や環境を提供する必要があるなと感じた」と話す。

 参加者も、そしてアサヒグループの社員も、新たな気づきや発見に出会ったフューチャーセッション。出されたアイデアがきっかけとなり、参加者のアクションプランにつながることを期待すると同時に、アサヒグループとしてもアイデアの実現を検討したいと考えているという。社会を構成する様々なセクターの壁を越えて、多様な人との対話の中から、未来をより良い方向へと変えていく力が生まれることを信じて、これからも「食のフューチャーセッション」は継続される予定だ。