大学生と「ミンティア」を若者に売るためのマーケティング戦略を考えてみた!

[グループ会社の取り組み]
カルピス

 去る7月13日、学習院大学で「“ミンティア”ブランドの若年ユーザーを増やすための戦略立案」をテーマに学生たちが発表を行った。実はこれ、タブレット菓子「ミンティア」を取り扱うアサヒフードアンドヘルスケア(以下、AFH)と、同大学経済学部でマーケティング研究を行う上田隆穂ゼミとのコラボレーション企画として実施されたもの。当日はAFH食品事業本部食品マーケティング部の社員たちも参加し、学生たちの発表に熱心に耳を傾けた。
 今なぜ、アサヒグループが大学生たちと一緒にこうした取り組みを行うのか。その経緯と当日の様子をレポートでお届けしよう。

―ターゲットと同世代の大学生がブランドの課題を調査・分析

 このコラボレーション企画のきっかけとなったのは、昨年10月にアサヒグループホールディングスお客様生活文化研究所の新設部署として「情報調査解析室」が立ち上がったこと。この部署の目的は、グループ内の各事業会社と連携して市場調査やデータ解析を強化することだ。室長を務める光延祐介は、今回の企画が実現に至った経緯をこう話す。
「弊社グループの中核はビール事業ですが、今後は飲料事業や食品事業などのマーケティングにも一層力を入れていく必要がある。そこで、以前からアサヒビールで社員研修などをお願いしていた上田教授に相談したところ、『事業会社の商品を一つ取り上げて、私のゼミの学生に研究発表をさせてみませんか』というお話を頂いたのです。どの商品をテーマにしようかと考えた時、候補に上がったのがミンティアでした。この商品は、タブレット菓子市場ではトップブランドであるものの、『若者世代にもっとブランドを浸透させたい』という課題を抱えている。だったら、同じ世代の大学生に研究してもらうテーマとしてはぴったりではないかと考えました」

アサヒグループホールディングス(株)
お客様生活文化研究所
情報調査解析室
室長 光延祐介

 こうして、上田ゼミとのコラボレーション企画が始まった。まずは4月に、AFH食品マーケティング部から学生たちへ今回のテーマやブランドの現状を説明。“若年ユーザー=大学生”と想定して調査・分析を行い、7月の最終発表で課題を解決するための戦略を提案してほしいと告げた。
 それから約3ヶ月。最終発表では、21名のゼミ生が4つの班に分かれてプレゼンテーションを行った。AFH社員たちが発表の内容を審査し、優勝チームが選ばれるとあって学生たちも気合い十分。4班はそれぞれに「食用価値・食シーン」「パーソナリティ・イメージ」「購入の場・買いたくなるシーン」「競合品」という異なる切り口からテーマを掘り下げ、熱のこもった発表を繰り広げた。社員たちも真剣な表情で聞き入りつつ、大学生らしいユニークで斬新な提案に笑顔がこぼれる場面も多く見られた。
 1つの班が終わるたびに、社員から口々に感想が語られた。「私たちにはない視点が盛り込まれていて新鮮でした」「競合品を定義すること自体が難しいのに、それを新しい切り口で見せてもらえてありがたかった」といった前向きな講評が送られ、嬉しそうな表情を見せる学生たち。さらには「4つの提案をしてくれましたが、一番おすすめなのはどれ?」「他のお菓子にはない、ミンティアが持つ価値は何だと思いますか?」など様々な質問が飛び出し、学生たちの率直な意見や本音を聞きたいという企業側の強い思いが伺えた。

一班約40分の熱のこもった発表が続く 真剣に発表に耳を傾ける学生たち

―学生と企業の双方が大きなメリットを実感

 こうして発表は無事終了。AFH社員たちで話し合った結果、「パーソナリティ・イメージ」の切り口から発表を行ったB班が優勝となった。優勝を告げられた瞬間、「やったー!」「嬉しい〜」と喜ぶメンバーたち。AFHを代表して講評を述べた食品事業本部 食品マーケティング部部長、林和弘は、「評価のポイントは、『オリジナリティ』『論理性』『感動ポイント』の3つ。B班はバズマーケティングやペルソナマーケティングの切り口から具体案を出してくれたことや、ユニークな動画を使うなどした発想の面白さを高く評価しました」と語った。B班のメンバーには優勝商品として限定パッケージのミンティアが贈られ、他班の学生たちからも大きな拍手が送られた。

アサヒフードアンドヘルスケア(株)
食品事業本部 食品マーケティング部
部長 林 和弘

 優勝チームのメンバーの一人である田頭さんは「アサヒの方たちの前で発表するのは緊張しましたが、研究の成果を出し切ることができてよかった。アサヒといえばビールの会社というイメージが強かったのですが、今回の研究を通してフードやドリンクなど幅広い分野を扱っていることを知ったのは新たな発見でした」と話す。同じくメンバーの西田さんも、「商品を扱う企業の方から直接話を聞いて、内部の情報を知った上で戦略を考えるという機会はこれまでなかったので、とても新鮮でした。普段の私たちは商品の買い手ですが、売り手の立場になって考えるのは楽しかった」と感想を語ってくれた。

学習院大学
(左)田頭さん、(右)西田さん

 一方、ゼミを主宰する上田隆穂教授は、学生の研究に企業が参加するメリットをこう話す。
「実際に販売されている商品をテーマにして、しかも自分たちの研究を企業サイドから評価してもらえるとなれば、学生たちの真剣度は一気に上がります。そして授業で習った分析ツールなどを実際の事例で使ってみることで、単なる知識だったものが自分の頭にしっかりと染み込む。それが社会人になった時、必ず役立つはずです。こうして企業が学生の研究成果を取り入れるのは、本来あるべき姿だと思います。企業にいると様々な制約を受けるので、どうしてもある種の枠組みの中で発想するようになる。何の制約もない学生たちの自由な発想を知ることは、企業の方たちがアイデアの範囲を広げる良いきっかけになるのではないでしょうか」

学習院大学 上田隆穂教授

 AFH食品マーケティング部の脇坂健も「社員からは絶対に出て来ないような、若者ならではの純粋な言葉が聞けたのは大きな収穫でした。私たちはユーザーの意識調査をするのにグループインタビューなども行いますが、その場合は調査する企業側の影響力が大きくなりがちです。今回は完全に学生に委ねたので、このブランドに対する良いイメージはもちろん、ネガティブな見解も率直に語ってくれて、私たちとしても貴重な声を聞くことができました」
 企業と学生の双方に大きなメリットをもたらした今回の企画。アサヒグループとしても、学生にマッチするテーマがあれば、引き続き同様の企画を行っていきたい考えだという。「アサヒ×大学生」のコラボレーションから何が生み出されるのか、今後の取り組みにも期待したい。

アサヒフードアンドヘルスケア(株)
食品事業本部 食品マーケティング部
脇坂 健