若者向けのフリーズドライ商品を大学生が提案!

[マーケティング]

 昨年レポートをお届けした、学習院大学とアサヒグループのコラボレーション企画。(http://www.asahigroup-holdings.com/express/detail/150804-mintia.html)同大学経済学部でマーケティング研究を行う上田隆穂ゼミの学生たちが、企業側から提示された課題について調査・研究を実施し、解決のための戦略やアイデアを提案するというものだ。
 コラボ企画第一弾となった昨年は、アサヒフードアンドヘルスケアとの協同で「『ミンティア』ブランドの若年ユーザーを増やすための戦略立案」をテーマに、学生たちがプロモーション戦略を提案した。そして第二弾となる今年は、アサヒグループ食品が参加し、アマノ事業本部(アマノフーズ)が扱う「フリーズドライ」の新商品開発をテーマに学生たちが研究発表を行うことに。アマノフーズは大学生たちに何を期待し、どんな収穫を得たのか。当日のレポートとともにお伝えしよう。

発表の様子

―フリーズドライと若年層の接点を探りたい

 学生たちの研究発表が行われたのは、6月27日のこと。当日はアマノフーズでマーケティングを担当する社員たちも出席し、学生たちの発表を見守った。今年のテーマは、「大学生向けのフリーズドライ商品を開発する」。学生たちは3班に分かれ、それぞれが「朝食」「間食」「夕食・夜食」を切り口に新商品の提案を行った。
 昨年のレポートでもお伝えした通り、コラボ企画はアサヒグループホールディングス生活者未来研究所のコーディネートによるもの。この研究所は、消費者のライフスタイルや嗜好の変化といった“生活者研究”を専門に手がける組織で、最近はアサヒグループ内の各事業会社と連携した市場調査やデータ解析を強化している。生活者未来研究所マネジャーの南雲智子によれば、その強化策の一環として、以前からアサヒグループの社員研修で講師を務めるなどのつながりがあった上田教授の協力を得て、「ゼミの研究テーマとして事業会社の商品を取り上げ、若い生活者の視点から研究してもらう」という企画が始まったという。
 今年の企画は、上田教授から生活者未来研究所に「昨年のテーマはプロモーション戦略の立案だったので、今年は新商品開発を取り上げたい」とリクエストがあり、それにアマノフーズが応えたことで実現した。そしてアマノフーズ側にも、「若い世代の考えや意見を直接聞いてみたいというニーズがあった」とアマノマーケティング部の真鍋太郎は話す。
「アマノフーズはフリーズドライのおみそ汁から始まったブランドであり、競合の即席みそ汁に比べて一食当たりの価格も高めなことから、購買層の中心は年配の方たちで、若い人たちとの接点が少ないのが課題です。私たちも若年層にアプローチしようと、パスタやリゾットなどの洋食メニューを増やしたり、『アマノ食堂』というオウンドメディアを開設するなどの施策を打ってきましたが、まだ十分とは言えません。そこで今回のコラボ企画を通して、『そもそも大学生たちは、フリーズドライについてどれくらい知っているのか』という素朴な疑問について探ってみたいと考えました」
 今回の研究発表に先立ち、まずはアマノフーズから学生へのオリエンテーションを実施。フリーズドライに関する基礎知識や現状の課題について説明し、商品を実際に試食してもらった。その時に20名のゼミ生たちと初めて会話を交わした真鍋は、「私たちが衝撃を受けるくらい、学生たちはフリーズドライのことを知らなかった」と苦笑する。

アサヒグループ食品(株)アマノ事業本部
アマノマーケティング部
担当課長 真鍋 太郎

同じくアマノマーケティング部の竹内龍平も「フリーズドライの名前は知っていても、どんな良さがあるのかを知る学生はいませんでしたね。フリーズドライは食材のビタミンなどの損失が少なく、素材の味や香りもそのまま楽しめるのが特長ですが、学生の中にはまったく真逆の『体に悪そう』というイメージを持つ人さえいました。私たちとしては正直ショックでしたが、若年層への訴求が不足していることを改めて実感しましたし、実態を把握できてよかったと前向きに捉えています」と振り返る。
 そんなプロセスを経て、迎えた研究発表の日。学生たちはやや緊張気味ながらも、熱のこもったプレゼンを繰り広げた。各班とも「そもそも大学生は、どんな朝食/間食/夕食・夜食をとっているのか」という現状分析から始まり、アンケート調査やデプスインタビュー(対象者の深層心理を聞き出すため、1対1で行われる面談形式インタビュー)などの手法で若者世代の食事情をリサーチ。そこから3C分析やSWOT分析、多変量解析などの手法を駆使しながら仮説・検証を行い、新商品の提案へとつなげていった。
 若者ならではの斬新な視点や、大学生のリアルなライフスタイルが盛り込まれた発表内容に、アマノフーズの社員たちも興味津々といった様子で聞き入っていた。発表後に行われた質疑応答のやりとりも、企業・学生ともに真剣そのもの。社員からは「この商品は、どれくらいの価格帯を想定していますか?」「もっと競合を明確にしたほうが、より具体的な比較検討ができるのでは」といった鋭い指摘も飛び出し、学生たちは真剣に耳を傾けた。一方で、「こういうアイデアは、企業の中からはなかなか出てこないと思う」「非常にユニークな発想で、私たちも勉強になった」といった賞賛の言葉が述べられる場面も多く、学生たちは嬉しそうな笑顔を見せていた。

アサヒグループ食品(株)アマノ事業本部
アマノマーケティング部
竹内 龍平

―若者たちの貴重な生の声を商品開発に役立てたい

 こうして、3班の発表は無事に終了。それぞれが個性的な商品を提案し、フリーズドライの新たな可能性を開くヒントを示してくれた。発表を終えたゼミ生からは「マーケティングのプロから率直な意見を頂いて、とても勉強になりました。僕の班は分析に力を入れすぎて、最後の提案の詰めが甘くなってしまったので、今日の経験を糧にこれからもっと頑張りたい」(中村健人さん)、「今回初めてフリーズドライを試食して、『お湯を注ぐだけでこんなにおいしいものができるのか』と驚きました。手軽さやおいしさなどのメリットを知れば、学生たちがフリーズドライを手に取る機会をもっと増やせると思います」(冨田侑希さん)といった感想が聞かれた。また、昨年に続いてアサヒグループとのコラボ企画を指導した上田教授からは、「マーケティングの授業の中でも新商品開発は人気のテーマで、いわば“華”。学生たちもかなり高い意欲を持って取り組んでくれました。アサヒグループは、ビールや飲料、食品まで幅広い商品を扱っているので、この企画では毎回違ったテーマを取り上げることができて非常に面白く感じています」と感想を頂いた。
 今回のコラボ企画に参加した感想を、アマノフーズの社員たちは改めてこう語った。
「研究発表の中でも、デプスインタビューなどを通して学生たちが収集したデータは特に貴重で、ぜひ今後の商品開発に役立てたいですね。“個食”が増えたことなどを背景に、フリーズドライの市場そのものは急速に伸びているので、10代や20代前半の若年層を取り込めれば、さらに市場を拡大できるはず。今はまだ“おみそ汁のアマノ”というのが世間一般のイメージですが、今後は“フリーズドライのアマノ”として皆さんに認知して頂けるようなマーケティングを展開していきたいと考えています」(真鍋)
「フリーズドライを知らなかった学生たちも、実際に試食するとその味や技術に感動して、非常にいい反応を見せてくれたんです。その様子を目の当たりにして、若い人たちを取り込むチャンスは十分あるという手応えが得られました。フリーズドライのメリットをより広く訴求して、『フリーズドライだからこそ食べたい』と思ってもらえるだけのブランドイメージを確立したいですね」(竹内)
 大学生とのコミュニケーションから良い刺激を受け、ターゲット層拡大への意気込みを新たにしたアマノフーズの社員たち。今後どのような新商品が誕生するのか、ぜひ注目してもらいたい。

左:冨田 侑希さん
右:中村 健人さん 学習院大学
上田 隆穂教授

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