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ニュースリリース

アサヒグループホールディングスのニュースリリース

ニュースリリース

2016年5月23日
アサヒグループホールディングス株式会社

健康づくりに貢献するアサヒグループの研究
「ラクトトリペプチド」含有乳タンパク分解物の摂取により
運動時の疲労感と筋肉痛を軽減

〜青山学院大学陸上競技部員が効果を実証〜


アサヒグループホールディングス株式会社(本社東京、社長 小路 明善)コアテクノロジー研究所は、青山学院大学陸上競技部(神奈川県相模原市、部長 内山 義英)の協力のもと、強度な運動負荷により生じる疲労感・筋肉痛に対する「ラクトトリペプチド」含有乳タンパク分解物の効果を確認しました。また、京都府立大学青井助教らとの共同研究により、そのメカニズムの一端を明らかにしました。これらの研究結果を、第70回日本栄養・食糧学会大会(2016年5月13日〜15日、兵庫)にて発表しました。

※「ラクトトリペプチド」とは、発酵乳からみつかった2種類のペプチドの総称です。乳酸菌飲料「カルピス」を原点とした長年の発酵乳研究の中で、血圧低下作用、血管内皮機能改善作用など循環器機能に関わる様々なはたらきがあることを確認しています。

運動風景のイメージ

【研究背景】

少子高齢化が加速的に進む日本では、高齢者がいつまでも健康で社会に参加できることが重要になってきており、「健康寿命」への関心が高まっています。アサヒグループでは、「世界の人々の健康で豊かな社会の実現に貢献」するという経営理念のもと、適正な飲酒を啓発するとともに、生活習慣病の予防や免疫力の向上などを通じてお客様の健康づくりに役立つ製品の開発に向けた研究に取り組んでいます。

アサヒグループの長年の研究から見出された「ラクトトリペプチド」含有乳タンパク分解物は、これまでに、軽い運動により生じる運動疲労を軽減する*1ことや運動時の体の負担を軽減すること*2が明らかになっており、日常的な運動習慣の確立に役立つ可能性が見出されています。今回、この疲労軽減効果について強度の異なる運動に対する効果を検証することを目的として研究をおこないました。

【研究結果】

「ラクトトリペプチド」含有乳タンパク分解物は、スポーツ選手が取り組む強度の負荷がかかる運動に対しても、疲労感および筋肉痛を軽減することが明らかになりました。また、そのメカニズムの一端として、筋肉中の活性酸素の発生を抑えることにより、筋損傷*3を軽減している可能性が見出されました。

【まとめ】

これまでの研究結果と今回の研究結果から、「ラクトトリペプチド」含有乳タンパク分解物が、日常的に行なう軽度な運動からトップアスリートが行う強度な運動負荷のトレーニングまで、様々な運動に対して運動疲労を軽減する可能性が示されました。今後、関与成分について明らかにし、幅広い世代のお客様の健康づくりに役立つ製品の開発につなげるための研究を進めてまいります。

【研究概要】

(1)〜強度の運動負荷に対する効果の実証〜

「ラクトトリペプチド」含有乳タンパク分解物の摂取により、スポーツ選手が行う強度の運動負荷に対する疲労感および筋肉痛が軽減しました。

<試験内容>

青山学院大学陸上競技部(長距離)の合宿時に、部員48名(マネージャー含む)を2グループに分け、一方に「ラクトトリペプチド」含有乳タンパク分解物を含むタブレット(摂取グループ)を、もう一方に「ラクトトリペプチド」含有乳タンパク分解物を含まないタブレット(非摂取グループ)を1日2回、4週間の合宿期間中に継続して摂取してもらいました。合宿の前後に、疲労感および筋肉痛に関するアンケート調査をおこないました。

<試験結果>

合宿の前後に、疲労感・筋肉痛に関する当社作成のアンケートと、痛みや疲労感の評価方法として診療の場でも広く用いられているVASアンケート*4の3種類のアンケートに回答してもらいました。

その結果、どのアンケートにおいても、摂取グループは非摂取グループと比較して、合宿による疲労(図1,3)や筋肉痛(図2)を感じている人数が少ないことがわかりました。

アンケート

<ご協力いただいた青山学院大学 特別研究員 陸上競技部 原 晋 監督からのコメント>

青山学院大学 特別研究員 陸上競技部 原 晋 監督

「夏合宿を制する者は駅伝を制する」と言われるほど夏の走り込みは大切となります。例年本学の夏合宿は延べ約30日を超え、月間の走行距離も1000q・1日50q以上走ることもあるハードな練習を行っています。合宿の後半では多くの選手の表情や動きの中から疲れを感じる場面が多々あります。しかし、昨年度の合宿では、これまでのトレーニング成果や健全な各種アスリート健康サポートもあり、例年以上に充実した内容となりました。研究データはその一面を示しているものだと思います。本学が箱根駅伝において39年ぶりとなる完全優勝での2連覇を達成できたのも、夏合宿での質量ともに継続したトレーニングを行うことが出来たからだと言えるでしょう。今後もよりハードなトレーニングに耐える身体作りのサポートを期待しています。

(2)〜筋損傷軽減メカニズム研究〜

京都府立大学青井助教らとの共同研究により、「ラクトトリペプチド」含有乳タンパク分解物を摂取することで、筋肉中の活性酸素の発生が抑えられ、筋損傷が軽減する可能性が見出されました。

<試験内容>

健康なマウスに、トレッドミル*5を用いた30分の運動負荷と、運動前後30分に計2回の「ラクトトリペプチド」含有乳タンパク分解物の投与を行ないました(摂取グループ)。運動翌日、筋損傷の指標である血中クレアチンキナーゼ*6活性と、筋肉中の活性酸素消去能*7を測定しました。また、比較のために、運動をしてないマウス、「ラクトトリペプチド」含有乳タンパク分解物を投与せずに運動させたマウスについても同様に血中クレアチンキナーゼ活性と、筋肉中の活性酸素消去能を測定しました。

<試験結果>

筋損傷の指標である血中クレアチンキナーゼ活性を測定したところ、運動していないマウスに比べて非摂取グループは運動後、濃度が有意に上昇していましたが、摂取グループは有意な上昇がみられませんでした(図4)。これにより、「ラクトトリペプチド」を摂取することで筋損傷が軽減していることがわかりました。

また、活性酸素消去能*7を測定したところ、摂取グループは非摂取グループと比較して消去能が高いことがわかりました(図5)。このことから、「ラクトトリペプチド」含有乳タンパク分解物が、運動により発生する活性酸素を消去することで筋損傷を軽減している可能性が見出されました。

グラフ

<共同研究者からのコメント>

京都府立大学大学院生命環境科学研究科 助教 青井 渉 氏

京都府立大学大学院生命環境科学研究科 助教
青井 渉 氏

本試験では、「ラクトトリペプチド」含有乳タンパク分解物の摂取が、運動後の筋肉における活性酸素の消去能を高め、過剰な酸化ストレスを軽減することが明らかになりました。酸化ストレスは筋肉の収縮を阻害したり、炎症を誘発したりすることによって疲労や筋肉痛の原因となります。そのため、運動時における「ラクトトリペプチド」含有乳タンパク分解物の併用は、酸化ストレスを軽減することで、疲労感、筋肉痛を緩和し、アスリートのトレーニングにおける疲労回復、健康づくりを目的とした運動の習慣化をサポートする一方策として期待されます。

【用語説明】

  • *1 Iwasa et.al Ann Sports Med Res 2(8) 1045(2015)
  • *2 中高齢者14名を対象とした試験で、「ラクトトリペプチド」含有乳タンパク分解物が運動時の心拍の上昇を抑えること、運動した翌日の筋損傷が軽減することを確認しております。
    (http://www.asahicalpis-w.co.jp/company/press/pdf/releaseC1522.pdf)
  • *3 筋損傷 :慣れない運動や激しい運動により筋肉の一部に損傷が生じたもの。
  • *4 VAS(Visual Analog Scale)アンケート:測定者の実感や感覚を評価できる方法として、診療の場等でも広く使われるアンケート評価法。
  • *5 トレッドミル :屋内でランニングやウォーキングを行うための健康器具。
  • *6 クレアチンキナーゼ :骨格筋や心筋に多く存在する酵素で、激しい運動などで筋肉損傷すると血中の濃度が上昇することから、筋損傷の指標として用いられます。
  • *7 活性酸素消去能: 激しい運動をすると体内では活性酸素が発生し、筋損傷を悪化させる一因となります。体内には活性酸素を消去する仕組みが備わっていますが、この消去能が高いほど、筋損傷を起こしにくくします。

<参考>

■アサヒグループホールディングス(株)と青山学院大学陸上競技部の関係について
アサヒグル―プと、箱根駅伝の優勝校として注目を集めている青山学院大学陸上競技部(駅伝)とは神奈川県相模原市にある研究所(旧カルピス社)が同大学の練習場に隣接していることもあり、かねてから同大学陸上競技部に対して飲料の提供などを通して交流を深めてきました。アサヒグループの長年の研究から見出された「ラクトトリペプチド」含有乳タンパク分解物には、運動疲労に対する有用性が期待されていたことから、強度な負荷の運動を日常的におこなっている青山学院大学陸上競技部にご協力をお願いし、2013年より予備試験を開始、2015年8月に本試験を実施しました。