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ニュースリリース

アサヒグループホールディングスのニュースリリース

ニュースリリース

2017年9月20日
アサヒグループホールディングス株式会社

「枯草菌C-3102株」のメカニズム研究
腸内フローラ改善に役立つ
新たなビフィズス菌増殖因子を発見
〜人や家畜の腸内フローラを改善する食品や飼料に、幅広く応用可能〜

アサヒグループホールディングス株式会社(本社 東京、社長 小路明善)コアテクノロジー研究所フローラ技術部は、微生物の一種である「枯草菌C-3102株」*1がつくり出す2種類の環状ペプチド*2 に、ビフィズス菌を増殖させるはたらきがあることを発見しました。この研究成果を第69回日本生物工学会大会(2017年9月11日〜14日、東京)にて発表しました。


【研究背景】

腸内フローラは腸内に棲む多種多様な菌の集まりで、近年、様々な疾病や健康状態との関わりが明らかになってきています。アサヒグループでは、1970年代より旧カルピス社が取り組んできた腸内フローラ研究を引き継ぎ、現在も最先端の解析技術で腸内フローラに関わる様々な研究に取り組んでいます。
当社が保有する「枯草菌C-3102株」は、生きて腸まで届き、軟便者の腸内フローラの多様性を高めることや、腸内有用菌であるビフィズス菌を増やすことが確認されています*3。このたび、この「枯草菌C-3102株」がビフィズス菌を増やすメカニズムの解明を目指し、「枯草菌C-3102株」が作り出すビフィズス菌増殖物質の探索に取り組みました。

発見された2種類の環状ペプチド

【研究成果】

「枯草菌C-3102株」が作り出す2種類の環状ペプチド(シクロ-バリン-イソロイシン、シクロ-バリン−ロイシン)が、ビフィズス菌を増殖させることを確認しました。環状ペプチドにビフィズス菌を増殖させる作用があることを確認したのは本研究が世界で初めてです。なお、ビフィズス菌は増殖させる一方で、腸内の代表的な有害菌は増殖させないことも確認しました。

<腸内フローラとは>

 ヒトや動物の腸内には、多種多様な菌が住んでおり、まるで草むらや花畑(フローラ)のように見えることから腸内のフローラ、腸内フローラと呼ばれています。近年、この腸内フローラは、人と「共生」関係にあり、心身の健康や病気に大きな影響を与えていることが明らかになってきています。

▼アサヒグループの腸内フローラ研究を動画でご紹介しています。
http://www.asahigroup-holdings.com/research/video/

【考察】

今回の結果により、「枯草菌C-3102株」が腸内フローラに影響を与えるメカニズムのひとつが解明され、また、ある種の環状ペプチドには、ビフィズス菌増殖作用があることがわかりました。環状ペプチドの特徴である環状構造は、体内の消化液などによる分解を受けにくいため、腸内環境改善食品として安定した効果を発揮することが期待できます。
アサヒグループでは、今後も腸内フローラ解析技術を活用して、新たな健康価値の提供を目指し社会に役立つ研究を続けてまいります。

【実験方法】

「枯草菌C-3102株」の培養液に含まれる物質を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)*4を用いて大まかに分離し、それぞれのビフィズス菌増殖活性を確認して活性が高い部分(活性画分)を回収しました。その後、液体クロマトグラフィー・質量分析など(LC-MS/MS*5、LC-NMR*6)を用いてビフィズス菌増殖因子の分離と同定をおこないました。

【実験方法】
【結果の詳細】

ビフィズス菌増殖作用を有する2種類の環状ペプチド(Cyclo(Val-Ile)、Cyclo(Val-Leu))を発見しました。さらに、これらの環状ペプチドは、腸内の代表的な有害菌を増殖させる作用がないことがわかりました。

<有用菌、有害菌の増殖評価結果>

【結果の詳細】

※今回発見された2種類の環状ペプチドには6種のキラル化合物*7が含まれていますが、
 ここでは特に活性の高い2つについて示しています。

【用語説明】

*1 枯草菌C-3102株
正式にはBacillus subtilis C-3102株(「バチルス・サブチルスC-3102株」)と呼びます。バチルス・サブチルスは、 バチルス属の微生物の一種で、一般的によく知られているものでは、納豆菌も同種に分類されます。

*2 環状ペプチド
ペプチドとは、複数のアミノ酸がつながったものです。環状ペプチドとは、そのつながり方が環状であるという特徴的な構造をもったペプチドのことをいいます。

*3 「枯草菌C-3102株」のこれまでの研究
これまでの研究成果は以下のリリースをご参照ください。
・「枯草菌C-3102株」のビフィズス菌増加作用とそのメカニズムをヒト胃腸管モデルで確認
http://www.asahicalpis-w.co.jp/company/press/2015/201206/
・「枯草菌C-3102株」の摂取により機能性胃腸症の自覚症状が改善することを確認
http://www.asahicalpis-w.co.jp/company/press/2015/20151202/
・「枯草菌C-3102株」が中高齢者の腸内環境を整え、 便秘症状を改善し、活力や心の健康度が高まることを確認
http://www.asahicalpis-w.co.jp/company/press/2015/20150930/
・「枯草菌C-3102株」が腸内フローラの多様性を高め、軟便症状を改善
http://www.asahigroup-holdings.com/news/2016/1205_2.html

*4 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
high performance liquid chromatographyの略称です。この装置を用いることで、試料に含まれる物質を分離・定量が出来ます。

*5 液体クロマトグラフィー・質量分析(LC-MS/MS)
Liquid Chromatography - tandem Mass Spectrometryの略称です。この装置を用いることで、有機化合物の同定・定量が出来ます。

*6 液体クロマトグラフィー・核磁気共鳴LC-NMR
Liquid Chromatography -Nuclear Magnetic Resonanceの略称です。この装置を用いることで、物質の分子構造を原子レベルで解析することが出来ます。

*7 キラル化合物
アミノ酸(グリシンを除く)は、右手と左手の関係のように、互いに鏡に映すと同じになるが重ね合わせることが出来ない2つの立体構造があります。この鏡像関係にあって重ね合わせることのできない性質をキラルといい、その性質をもつ化合物同士をキラル化合物といいます。それら一方をL体、もう一方をD体と呼び区別します。今回発見された2種類の環状ペプチドには、6種類のキラル化合物が含まれていました。