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挑戦する研究者たち挑戦する研究者たち

新たな素材を見つけだし、社会に貢献する製品を提供したい。

image研究

アサヒグループホールディングス株式会社
コアテクノロジー研究所 宮﨑 秀俊

私は学生の頃は薬学を専攻し、微生物がつくり出す物質を薬に利用する研究をしていました。卒業後の進路として食品の道を選んだのは、“健康を維持することの大切さ”を身に染みて感じていたからです。「病になってから治療する薬ではなく、日ごろの食生活を通じて健康維持に役立てる食品を開発したい」との想いから、乳酸菌の健康機能研究のパイオニアであった当時のカルピス株式会社に入社し、発酵応用研究所(現:アサヒグループホールディングス(株)コアテクノロジー研究所)で研究を始めました。

興味がある事をやってみよう!その言葉で前に進めた

 入社してすぐに、「カルピス」の原料である発酵乳から見つかった機能性成分である「ラクトトリペプチド(以下LTP)」の研究チームに配属されました。その頃にはすでに、この素材には“高めの血圧を下げる”効果と“血管を健康でしなやかに保つ”効果が確認されており、特定保健用食品やサプリメントとして製品化され、血圧や血管を気にされるお客様から支持をいただいていました。
 私のミッションは、LTPの新たな機能性を探索し、その効果を実証することです。どのような切り口で研究を進めるべきか悩んでいた私に、「仕事も楽しくないと良い結果は出ない。興味がある事をやってみよう!」と上司からアドバイスをもらいました。私は学生時代からテニスが趣味で、今でも週末には社会人チームでプレーを続けているのですが、練習中の疲れや翌日の筋肉痛が悩みでした。「運動時の疲労を軽減できたら、もっと楽しく運動が続けられるのではないか」と考え、「運動疲労」に着目しました。
 近年は健康づくりのためにウォーキングやストレッチなどの運動を日常生活に取り入れる中高齢者も多く、運動による身体への負担や疲労を軽減することができれば、いつまでも健康で楽しく運動を続ける手助けになります。また、競技を極めるアスリートも、高度な運動負荷による疲労を軽減できれば効率的なトレーニングにつながり、パフォーマンスを向上できます。以上のような考えから、「LTPによる運動疲労の軽減」という新たな研究テーマを選定しました。現在は、より確かなエビデンス(検証結果)を得るために、臨床試験で効果を実証している段階に入っています。

豊かな社会の実現に貢献する。企業も自分自身も成長したい

 企業での食品研究の一番の魅力は、素材の探索から効果検証、製品化まで、一連の過程に関わることができる点だと感じています。しかし、日々の研究は大学で学んだ知識・技術だけではカバーできず、試行錯誤の連続です。効果検証の過程で最も重要なのは、ヒトで効果を実証する臨床試験です。臨床試験には時間も費用もかかるため、試験の設計は慎重に行う必要がありますが、それでも思ったような結果が出ず、落ち込んだこともありました。その時、先輩からの「失敗の中にも今後につながる良い部分が必ずある」とのアドバイスをきっかけに、実験プロセスを一つずつ見直しながら失敗の原因を探り、くじけずチャレンジを続けたことで、のちに特許申請につながる成果を生み出すことができました。失敗を無駄にせず、自分の知識に慢心することのないよう、常に新しいものを吸収する気持ちで研究に取り組んでいます。
 世界がめまぐるしい勢いで変化を続ける昨今、企業に対する社会からの期待も多様になっています。私たちアサヒグループでも食品領域にとどまらず、農業支援や環境保全など、広く豊かな社会づくりへの貢献を目指しています。私自身も、新たな素材を見つけ出し、それらの実用化を通じて社会課題に貢献する新製品を生み出したい。それが今の私の夢でありチャレンジです。
(2017年1月26日取材)