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基盤研究の醍醐味は、「未知の領域」を探求できること

image研究

アサヒグループホールディングス株式会社
コアテクノロジー研究所 乳酸菌技術部
香月(かつき) 遼

 学生時代、生物資源科学を専攻し、大豆に含まれる機能性成分の研究に取り組んでいたという香月。就職活動に際しては、食品メーカーのほかにも、国や地方自治体の農業系研究職公務員など幅広い分野を視野に入れていたと話す。
「自分の研究経験を最大限に活かすことのできるフィールドは、どんな分野なのかを見極めたいと思っていました。最終的にアサヒビール株式会社を選んだのは、選考のプロセスで出会った先輩方から一様に“前向きで明るい”印象を受けたからです。私も先輩たちのように前向きで明るい環境の中で研究と向き合いたい……そう感じたことが決め手になりました。」
 こうして、2015年に入社した香月はアサヒグループホールディングス株式会社のコアテクノロジー研究所に配属され、「乳酸菌」研究を担当することになる。

「任される仕事の大きさ」と「研究のスピード感」に驚く

 入社後、香月を驚かせたのは、想像していた以上に個人の裁量が大きいことだった。
「当時、入社2年目の私も1つの研究テーマを自分自身で選定し、研究予算のついたプロジェクトの『責任者』として、他の企業・研究機関とも連携しながら管理することが求められるのです」
 さらに研究のスピード感も、学生時代で経験してきたものとは大きく異なっていた。
「配属前は漠然と『基盤研究は、時間をかけて、じっくりとコア技術の開発に取り組むもの』というイメージを抱いていたのですが、実際には、各研究テーマに数か月単位の段階的な目標が設定され、目標に到達できなかった場合には、その時点で見直しが求められます。大学での研究とは異なり、企業の研究ではスピードが求められる。いま思えば当然のことですが、当時の私にとっては驚きであり、重圧でもありました。」

 

上司や先輩の手厚いサポートで、責任感と計画性が身についた

 重圧に苦しんでいる最中、香月は先輩社員のサポートに救われた。
アサヒグループホールディングス(株)には「ブラザー・シスター制度」がある。新入社員が正式配属されたのち、新入社員1人に先輩社員1人が“ブラザー(またはシスター)”となって、公私にわたり相談を受け、アドバイスする制度だ。
「私のブラザーは、4歳年上の先輩研究者でした。研究現場で難しい判断が求められる場面では、自分の考えに基づいて指導するというより『香月くんの考えを聞かせてほしい』というスタンスで接して下さいました。さらに、仕事を離れた場面でも親身になって悩みを聞いて下さるなど、私にとってのブラザーは、まさに実の兄のような存在です。」
 香月を支えたのはブラザーだけではない。
「私が所属する乳酸菌技術部は守谷(茨城)と相模原(神奈川)に拠点が分かれているため、移動には片道2時間ぐらいかかます。それでもなお、部長はたびたび相模原から足を運んでは、私を励まし、常に気にかけて下さいました。」
 こうした先輩方のサポートもあり、昨年、香月が携わったある研究が職務発明として社内で認定され、特許を出願するまでに至った。この成果を活用した商品が私たちの手に届く日も近いだろう。
「こうした経験を積んだからこそ、今では責任感と計画性をもって仕事に取り組めるようになりました。」 

経験を通じて発見した「基盤研究の醍醐味」

「私にとって基盤研究の醍醐味は、未知の領域に飛び込んで研究ができることです。その研究成果がのちに、世の中の役に立ち、長く愛される商品として多くのお客様に届けられると思うと、基盤研究にとてもやりがいを感じます。今後は、基盤研究の仕事を通じて自分の“軸”や“強み”を磨き上げていきたいです。」
 入社当初は、商品開発にも関わり、商品価値を高める研究をイメージしていた香月だが、2年間の経験を経て、ようやく“基盤研究の醍醐味”が理解できるようになったと語る。
 乳酸菌は身近に存在し、私たちの生活と深く結びついている。すでに発見された乳酸菌の中には、その力を活かして私たちの生活に役立てられているものもあるが、まだまだ地球上には未知の乳酸菌が数多く存在している。それらの乳酸菌のはたらきを科学的に解明し、多くの人々の健康に寄与する発見をしたい……香月のような若き研究者たちの挑戦が、より良い未来へとつながるイノベーションを生み出していくことだろう。
(2017年9月7日取材)