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低濃度排水の嫌気性排水処理システムの開発

工場等から排出される低濃度の排水を、嫌気性微生物を利用して浄化する排水処理システムを開発いたしました。 今回、開発した嫌気性排水処理システムは、従来の活性汚泥に代表される好気性微生物を利用した廃水処理と比べ省エネルギー、省スペース、省コスト、余剰汚泥の低減など、地球環境に優しい、すぐれた排水処理が行えるシステムです。

 開発いたしました嫌気性排水処理システムは、アサヒビールエンジニアリング(株)、住友重機械工業(株)と共同で開発いたしました、環境に優しく運転コストを大幅に削減できる廃水処理システムで、現在アサヒビールの茨城工場にてテストプラントによる実証運転が行なわれており、実機にむけて良好な結果が得られています。
 これまで低濃度での排水処理には、好気性微生物を利用した活性汚泥処理が使われておりましたが、処理槽内に空気を送り込み排水を撹拌する必要がありましたので、空気供給のために電力を消費するとともに、大量の汚泥が発生するデメリットがありました。 これに対して、オランダの企業が開発した嫌気性排水処理システムは、排水槽に嫌気性メタン菌を繁殖させ、メタン菌が水の中の有機物を分解して排水を浄化することにより、排水処理時にはメタンガスと炭酸ガスが発生し、メタンガスはビール製造の熱源となるボイラーを回す燃料として再利用できるため、省エネルギー、省スペース、バイオガスのエネルギー回収、余剰汚泥の低減などが可能な、地球環境に優しい優れた汚水処理システムですが、排水中の有機物質の濃度が低い場合(低濃度排水)では嫌気性菌の増殖が遅いため処理効率が低いことから高濃度排水に用途が限られていました。

 そこで、食品業界に先駆けて嫌気性排水処理システムを導入したアサヒビールは、今までの管理・運用のノウハウを活かし、アサヒビールエンジニアリング(株)と住友重機械工業(株)と共同で、ビール工場で排出される排水よりも有機物質濃度が低い排水にも適応でき、広く食品、紙パルプ、薬品工場にも活用できる廃水処理システムとして低濃度嫌気性排水処理システムの開発を2002年2月より開始し、
@新しい処理フローの確立
A嫌気性菌と処理水、メタンガスの分離装置「セトラー」の開発
B運転ノウハウの確立
により、嫌気性菌による低濃度排水処理システムの開発に成功いたしました。

共同開発した嫌気性排水処理システムは、試算では水量 10,000m3/日、BOD 500mg/Lの排水処理設備の場合、好気性排水処理に比べ、新規設備投資費用を20%、ランニングコストを90%、設置面積を70%削減することができます。