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りんごポリフェノールの脂肪蓄積抑制作用を動物実験で確認

ラットを使用した動物実験で、通常与える飼料より多く脂肪を含有させた飼料とともに、りんごポリフェノールを摂取させたラットの内臓脂肪の蓄積量を測定した結果、りんごポリフェノールの摂取により脂肪の蓄積が有意に抑制されたことを確認いたしました。この研究成果は、未来技術研究所と弘前大学との共同で行い、日本農芸化学会2004年度大会(3月28日〜31日開催)において弘前大学より発表されました。

 今回の共同研究では、りんごポリフェノールの新たな機能性の研究の一環として、高脂肪飼料とともにりんごポリフェノールを摂取させたラットの内臓脂肪の蓄積量を測定・検証し、りんごポリフェノールの摂取により脂肪の蓄積が有意に抑制されたことを確認したものです。

 試験は、4週齢の雄ラットを、(1)通常飼料を与えて飼育する群、(2)通常飼料に比較し脂肪含有の多い高脂肪飼料を与えた群、(3)高脂肪飼料にりんごポリフェノールを一定量配合した飼料を与えた群、(4)同じく茶カテキンを一定量配合した高脂肪飼料を与えた群の4群に分け、10週間飼育して、その体重や内臓脂肪重量を測定する形で行いました。

 その結果、高脂肪飼料を摂取したラット群は、りんごポリフェノールや茶カテキンの配合に係わらず、通常飼料を摂取した群に比べ平均体重が増加しました。しかし、内臓脂肪重量については、りんごポリフェノール配合高脂肪飼料群は、茶カテキン配合高脂肪飼料群と同様に、増加が抑制されていたことがわかりました。

 さらに、この4群のラットの糞便量や、血清中の中性脂肪・コレステロール量、脂肪代謝に係わる生体内の酵素活性について測定し比較しました。

 その結果、りんごポリフェノールをあわせて摂取した群のラットは、茶カテキンを摂取した群と同様に、糞便量が増加する傾向がみられたほか、血清中の 中性脂肪量やコレステロール値の上昇の抑制がみられました。また、肝臓において脂肪を燃焼させる酵素群の一つであるアシルCoA酸化酵素の活性が促進された一方、体内で脂肪を生合成することに係わる酵素群である脂肪酸合成酵素の活性は低下する傾向を示しました。

 これらの結果から、りんごポリフェノールが脂肪蓄積を抑制するメカニズムは、摂取した脂肪の体内への吸収を抑制し 排泄を促す一方で、肝臓内では脂肪生合成の抑制と脂肪燃焼を促進することによるものであると考えられます。現在、詳細な解析を進めており、より明確なメカニズムを解明したいと考えています。

 今回、動物試験により、経口摂取によるりんごポリフェノールの脂肪蓄積抑制作用が確認できたことで、機能性素材としてのりんごポリフェノールの新たな分野への応用が期待されます。今後、脂肪の蓄積を抑制する詳細なメカニズムの解明など関連研究を進めていく方針です。

 りんごポリフェノールについては、これまで、食品の品質保持機能や生体の健康に係わる諸々の機能や効用が研究機関等により確認されています。また、りんごポリフェノールは他の同様な植物ポリフェノールの中でも、優れた水溶性と比較的苦味が少ないため応用範囲が広く、食品への利用がし易い、といった利点を持ちます。
 4週齢のSD系雄ラット(n=6)に対し、【図1】の様に、1週間の予備飼育の後、脂肪を28%含有する高脂肪飼料(HF)にりんごポリフェノール(AP)、あるいは、お茶カテキン(TC)を1%配合した純化飼料(NC:普通食、7%脂肪含有、ポリフェノール非含有)を摂取量に差が出ないように経口摂取させ、10週間飼育し、内臓脂肪の蓄積と血清中の中性脂肪量並びにコレステロール量に対する効果を検討しました。
図1 試験スケジュール
(1)りんごポリフェノールの内臓脂肪蓄積抑制効果
 高脂肪食を摂取した群は、対照 (普通食)と比較して、有意に体重増加がみられましたが、高脂肪食を摂取した群とりんごポリフェノール並びにお茶カテキンを摂取した群の間では、体重についての群間の有意差は、見られませんでした。

 そこで、睾丸周囲、腎臓周囲、及び腸間膜からなる脂肪組織重量を測定したところ、高脂肪食群は、対照と比較して有意な脂肪重量増加が見られました。一方、りんごポリフェノール並びにお茶カテキンを摂取した群は、高脂肪食群と比較して、有意な脂肪重量抑制が見られました【図2】。

また、りんごポリフェノール(AP)とお茶カテキン(TC)の比較では、同等の脂肪蓄積抑制効果が見られました。

  また、糞便の量について測定した結果、高脂肪食群(HF)は、普通食群(NC)に比べて糞便量の増加が認められましたが、更に、りんごポリフェノール群では、高脂肪食群に比べ増加する傾向を示しました。

これらの結果から、りんごポリフェノールは、摂取した脂肪の体内への吸収を抑制することにより、脂肪蓄積を抑制するのではないかと考えられました。
図2 りんごポリフェノールとお茶カテキン摂取による脂肪組織重量増加の抑制効果
(2)りんごポリフェノールの血清中の中性脂肪量の抑制効果
 【図3】に示すように、高脂肪食摂取群(HF)は、血清中の中性脂肪量が、普通食(NC)に比べ有意に上昇しましたが、りんごポリフェノール並びにお茶カテキンを摂取した群は、中性脂肪量の上昇を有意に抑制しました【図3】。また、血清中のコレステロール量の上昇も、抑制する傾向を示しましたことを確認しております
図3 りんごポリフェノールとお茶カテキン摂取による血清中性脂肪量の上昇抑制効果
(3)りんごポリフェノールの肝臓における脂質代謝酵素への影響
 摂取された脂肪が、どのように肝臓内で代謝されているかを調べるために、肝臓中の脂質代謝に関わる酵素活性を測定しました。まず、肝臓において脂肪を燃焼させる酵素群の一つであるアシルCoA酸化酵素活性を測定しました【図4左】。その結果、普通食群に比べ高脂肪食群の酵素活性がほとんど変化しませんでしたが、りんごポリフェノール並びにお茶カテキン摂取群では、アシルCoA酸化酵素活性が高くなる傾向を示しました。一方、肝臓で脂肪を生合成する酵素群である脂肪酸合成酵素活性を測定した結果、普通食に比べ高脂肪食群では活性が低下しており、りんごポリフェノール並びにお茶カテキン摂取群では、更に酵素活性が低下する傾向を示しました【図4右】。これらの結果から、りんごポリフェノール並びにお茶カテキン摂取は、肝臓において脂肪の生合成が抑制されている一方で、脂肪を燃焼させる活性が高まっていることが示唆されました。
図4 肝臓中の脂肪代謝関連酵素活性
 これらの結果から、りんごポリフェノールは、お茶カテキンと同様に、体脂肪の蓄積並びに血清中の中性脂肪の上昇を抑制することがわかりました。この作用メカニズムは、りんごポリフェノールが脂肪の排泄を促す一方で、肝臓内で脂肪生合成の抑制と脂肪燃焼の促進をしているものと考えられます。今後更に、詳細なメカニズムの検討をしていきます。