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動物実験による、ビール酵母エキスの肉体疲労予防効果

マウスを使った動物実験にて、マウスにビール酵母エキスを与えることにより肉体疲労を予防する効果があることが示唆されました。
この未来技術研究所の研究成果は東北薬科大学・只野教授、中川西助手と共同で行い、第58回日本栄養・食糧学会総会(平成16年5月21日〜23日開催)にて東北薬科大学より発表されました。

 ビール酵母は、ビタミンB1・B2・B6など、人体の生理機能を調整するビタミンB群や、成長に欠かせない必須アミノ酸、ミネラル、食物繊維など、多様な栄養素をバランス良く含む、天然素材です。

 アサヒグループでは、こうした特性を生かして、ビール酵母を薬品や食品の素材として活用しており、その歴史は70余年に亘ります。さらに、酒類事業から派生した優れた機能性素材として、ビール酵母のもつ新たな健康機能の研究・解明、機能性食品素材としての応用研究を進めており、これまでにも整腸作用関連、鉄分吸収促進効果、抗潰瘍作用、糖尿病改善効果などについて検討し、研究成果を発表しています。

 ビール酵母エキスは、ビール酵母に含まれている可溶性成分を抽出したもので、豊富なビタミンB群、アミノ酸、ミネラル等をそのまま継承しておりますが、これまでビール酵母と比較して生理機能に関する研究報告は少なく、今回、東北薬科大学の只野教授、中川西助手との共同研究によって、その肉体疲労予防効果について検証し、マウスを使った動物試験により、その効果を確認したものです。
 試験ではマウスを一群10匹ずつ5試験群に分け、それぞれに水(0%)、0.004%、0.02%、0.1%もしくは0.5%の酵母エキス水溶液を、飲み水として10日間自由摂取させました。摂取期間の終了後、マウスを1分間に2回転する直径37cmの回転カゴに入れて180分間強制歩行運動させ、回転カゴから解放した後、90分間にわたって自発行動量を測定(注)して肉体疲労度の指標と致しました。マウスは、覚醒時には一定量の自発運動をしますが、肉体的に疲労すると、疲労の度合いに応じて自発行動量が減少します。

 マウスに強制歩行運動をさせたところ、歩行運動をさせなかった「負荷無し」マウスと比較して、水投与群(対照)のマウスの自発行動量は1/8程度にまで減少致しました(図表1)。これに対し、あらかじめ飲み水として酵母エキス水溶液を与えておいたマウスでは、酵母エキスの濃度に依存して自発行動量が有意に増加し、0.1および0.5%の酵母エキスを与えたマウスの自発行動量は、強制歩行運動をさせなかったマウスとほぼ同等でした。

 以上の結果から、酵母エキスには肉体疲労予防効果があることが示唆されました。
(注)
自発運動量の測定は、マウスをケージに入れた状態で「Animex装置」と呼ばれる運動量計の上に載せ、行いました。この装置は、動物の運動量を計測することに一般的に使用され、電磁波の揺るぎを検出するもので、揺るぎが一定量を超えると1カウント数字が増えます。

 ビール酵母エキスは、酵母に由来する豊富なビタミンB群、アミノ酸、ミネラル等をバランス良く含有しており、こうした栄養分が生体にバランスの良く吸収されることから、肉体疲労の予防に効果を示すものと推定されます。

  今後、ヒトに対する疲労予防効果やそのメカニズムに関する研究を進めていく考えです。