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ウイスキーの甘い香りを作るのは、乳酸菌が関与していることを発見

一般に、ウイスキーは樽での貯蔵によって甘い香りが付くとされていますが、樽貯蔵前でも甘い香りの成分であるラクトン類が存在することを発見しました。
また、その成分を生成する経路には乳酸菌が関与することを解明いたしました。
この研究成果は、財団法人日本醸造協会より平成16年度「日本醸造協会技術賞」を受賞しました。


 さまざまな酒類の製造において、乳酸菌は良い面と悪い面の両面で取り上げられてきました。
良い面としては、ワインにおけるMLF※や清酒のきもと等が知られ、そのメカニズムも研究されてきました。

 一方、モルトウイスキー製造においても、良い面として「乳酸菌後発酵」として広く認知されていますが、具体的な成分についてはこれまで明らかになっていませんでした。

 モルトウイスキーの甘い香気成分を匂い嗅ぎ−ガスクロマトグラフィーにて分析し、γ−デカラクトンとγ−ドデカラクトンを見出しました。この成分は甘いピーチ様の香りで、その含有量と官能評価の間に高い正の相関性が観察されました。

 これらの成分の生成経路を検討したところ、不飽和脂肪酸が乳酸菌により前駆体(ヒドロキシ脂肪酸)へと変換され、これが酵母のβ−酸化によりラクトンへ変換されるものと推察されました。具体的には、脂肪酸の供給源はスコットランドにおいて実際にウイスキー製造に併用されるビール酵母であろうと考えられます。

 これまで不明であったモルトウイスキー製造における乳酸菌やビール酵母の役割が徐々に解明されつつあります。この他にも酒質を特徴つけるような微量な香気成分の生成には、これら微生物が関与している可能性があります。今後も研究を重ねることで、酒質の多様化に努めてまいります。

※MLF(malo-lactic fermentation)
マロラクティック発酵とも呼ばれ、ブドウ酒中のリンゴ酸が乳酸菌によって
乳酸と二酸化炭素に変換されることにより、酸味がまろやかになると共に、芳醇な香味の増強、微生物学的な安定性に有効であり、一般に赤ワインの二次発酵としてみられる。

※ウイスキー商品内の乳酸菌について
ウイスキーの製造では、樽に詰めての熟成の前段階で蒸留を行っており、乳酸菌や酵母等は蒸留段階でウイスキーから取り除かれる。