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りんごポリフェノール(AP)の寿命延長効果を線虫およびモデルマウスで確認

りんごは古来から世界中の国々で愛され、多くの人々に食されてきた果物の一つで、豊富な栄養素を含んでいます。ヨーロッパでは古くから"An apple a day keeps the doctor away(一日一個のりんごは医者を遠ざける)"と言われてきました。アサヒグループでは、りんごに含まれるポリフェノールに着目し、長年、研究を行ってきた結果、脂肪の蓄積を抑えるなど、さまざまな効果を見出してきました。その中でも、最近は線虫やモデルマウスで寿命を延長する効果が見出されましたのでその研究成果について紹介します。

りんごポリフェノール(AP)の成分

 りんご幼果由来のAPの主成分は、カテキンまたはエピカテキンが重合したプロシアニジン類で全体の約65%を占めています。
図1.構成成分

線虫の寿命延長実験

 老化研究に有用な線虫(Caenorhabditis elegans)を用いて、APの抗老化効果について検討しました。線虫へAPおよびAPより精製したプロシアニジン類を投与したところ、対照群と比べて寿命が有意に延長しました(平均寿命で7%および9%延長)。APに含まれるモノマーのエピカテキンを投与したところ、寿命の延長は認められませんでした。このことから、線虫に対するAPの延命作用は、主にプロシアニジン類によると考えられます。

老化モデルマウスの寿命延長実験

 マンガンスーパーオキサイドジスムターゼ(Mn-SOD)は、細胞のミトコンドリアに局在する抗酸化酵素の一種で、細胞の呼吸・エネルギー産生により発生する活性酸素種スーパーオキサイドを消去する反応を触媒します。心筋特異的Mn-SOD欠損マウスは、心筋で産生されるスーパーオキサイドを消去できないため、ミトコンドリアの呼吸機能低下を引き起こし、若齢期より拡張型心筋症を発症する老化モデルマウスであり、平均寿命は4〜5ヶ月と短くなります(通常は2年程度)。
 このマウスに32匹(オス17匹、メス15匹)にりんご幼果果汁から精製したAPを0.1%配合した飲料水を自由摂取させ飼育しました。一方で、同マウス23匹(オス10匹、メス13匹)については、APを含まない水で飼育しました。
 その結果、APを摂取させたマウス群の平均寿命は、水だけの群と比べ、オスが29%、メスが72%長くなり、有意に寿命が延長することが明らかになりました。
図2.りんごポリフェノール(AP)で飼育した老化モデルマウスの生存率
表1.りんごポリフェノール(AP)が老化モデルマウスの寿命延長率に及ぼす影響
 また、この老化モデルマウスにAPを摂取させたことによる効果としては、老化にともなう体重減少の抑制と心筋細胞の線維化の抑制が観察されました。さらに、APを摂取させた老化モデルマウスの心臓ミトコンドリアでは、スーパーオキサイド産生量が減少することも判明しました。
 今後さらにAPの寿命延長効果のメカニズムを探って行く計画です。今回の研究は、平成19年11月25〜28日に開催された第3回国際ポリフェノールと健康会議で発表し、Young Investigator Awardsを受賞致しました。