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乳酸菌と酵母でつくる発酵乳の香りに“睡眠の質”を高める効果があることを確認

 乳酸菌と酵母による2度の発酵でつくるアサヒ飲料社独自の発酵乳(以下、本発酵乳)には、一般的な乳酸菌でつくる発酵乳とは異なる果実のような独特な芳香があります。これまでの研究で、本発酵乳の香りには、不安を和らげたり、日周リズム(体の昼夜のリズム)を改善する効果があることを動物実験で明らかにしています。今回、本発酵乳の香りの効果をさらに明らかにするために、睡眠の質に与える影響を調べました。
※本研究成果は日本農芸化学会2016年度大会(2016年3月27日〜30日)で発表した内容です。

睡眠の仕組み 〜質の良い睡眠とは?〜

 ヒトの睡眠は、深い眠りのノンレム睡眠と浅い眠りのレム睡眠から構成されます。ノンレム睡眠中は、身体が真に休まっている状態にあることから、ノンレム睡眠の割合が多い睡眠が、質の良い睡眠といえます。また、睡眠中の覚醒(目覚め)は、眠りが浅いことを意味し、覚醒回数が少ないことも、質の良い睡眠といえます。
<ヒトの睡眠のリズム>

実験方法

 ラットの睡眠は、覚醒回数が多い点でヒトと異なりますが、ノンレム睡眠とレム睡眠が繰り返される基本的な睡眠のリズムはヒトと同じです。そこで、ラットを用いて、本発酵乳の香りが睡眠に与える影響を調べました。
 ラットを2つのグループに分け、一方のグループにのみ休息期(主に寝ている時間帯)に、本発酵乳の香りを1日1回30分間、7日間毎日嗅がせました。香りが睡眠に与える短期的な影響と、長期的な影響を調べるため、1回目の香りを嗅がせた翌日(2回目の香りを嗅ぐ前)と、7日間香りを嗅がせた翌日に、脳波等を測定して、休息期のノンレム睡眠、レム睡眠、覚醒の時間や回数を調べました。

<結果1>睡眠時のノンレム睡眠(深い眠り)の割合が増加

 1回目の香りを嗅がせた翌日、香りを嗅がせたラットは、香りを嗅がせていないラットと比べて、休息期初期(休息期に入って初めの3時間)のノンレム睡眠が占める割合が増加する傾向がみられました。また、7日間香りを嗅がせると、休息期初期のノンレム睡眠が占める割合が有意に増加しました。

<7日目休息期前半のノンレム睡眠-レム睡眠-覚醒の割合>
<結果2>睡眠時の覚醒(目覚め)の回数が減少

 7日間香りを嗅がせると、香りを嗅がせていないラットと比べて、休息期の覚醒回数が有意に減少しました。

<7日目の休息期の覚醒回数>
まとめと今後の展望

 本発酵乳の香りを嗅いだラットは、休息期におけるノンレム睡眠の割合が増加し、覚醒回数が減少しました。また、これらの効果は、1回目に香りを嗅がせた翌日よりも、7日間香りを嗅がせた翌日に、顕著にみられました。このことから、本発酵乳の香りには睡眠の質を高める効果があること、さらに、継続的に嗅ぐことで、効果が高まる可能性があることがわかりました。今後、有効成分の解明やヒトの睡眠の質に与える影響について検討を進めてまいります。

これまでの研究成果

■乳酸菌と酵母でつくる発酵乳の香りには、自律神経に働きかけ、日周リズムの改善や不安を和らげるはたらきがあることを確認
(日本農芸化学会2014年度大会にて発表  発表タイトル:「乳酸菌と酵母で発酵した発酵乳の香りが自律神経と行動に与える影響」)


■乳酸菌発酵後に酵母発酵を加えると発酵乳の嗜好性が向上すること、その要因として発酵から生まれた「香り」が重要であることを確認
(日本農芸化学会2012年度大会にて発表 発表タイトル:「発酵乳の嗜好性向上に与える乳酸菌および酵母の役割」)