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研究レポート

Report28

『アサヒスーパードライ』はなぜキレがある?
遺伝子レベルの秘密に迫る

高い発酵能力を持ち、ビールにキレを生み出す特徴を持ったビール酵母「318号酵母」は、『アサヒスーパードライ』の製造を30年に渡り支えています。なぜ「318号酵母」はキレを生む能力に長けているのか。今回、長年の謎の一端を遺伝学的アプローチにより明らかにしました。
(本研究成果は、日本農芸化学会2017年度大会およびEUROPEAN BREWERY CONVENTION 2017で発表した内容です。)

ビールの“キレ”ってなに?

ビールの風味特性のひとつ“キレ”。一般的には、「風味(味、香り)に落差があって、かつ突出した風味が残らない」官能特性と定義されます。特に日本では、どんな料理にも合うすっきりとキレのある味わいの辛口ビールが好まれています。

ビールの主な原料は、麦芽・ホップ・水の3つですが、それらをもとにビールの味わいが生み出されるまでには、ビール酵母が重要な役割を担っています。ビール酵母は発酵の過程で、麦汁中の糖分やアミノ酸を食べて、アルコールや炭酸ガス、さまざまな香味成分をつくり出します。そのときの糖の食べ具合が仕上がりのキレ味に大きく影響することが、これまでの研究で明らかになっています。

キレを生み出すナンバーワン酵母
「318号酵母」

『アサヒスーパードライ』に使用しているビール酵母「318号酵母」は、数百種の酵母バンクの中から、キレのあるビールをつくり出す能力が優れた酵母として選ばれました。これまで、「318号酵母」が高い発酵能力(糖分を食べてアルコールや炭酸ガスをつくる力)を有していることがわかっていましたが、なぜそのような特徴をもつのか、その詳細は謎に包まれていました。

キレを生み出す秘密は
遺伝子にあった!

そこで、最新の遺伝子解析技術により、「318号酵母」の謎の解明に取り組みました。

現在「アサヒスーパードライ」の製造に使われている「318号酵母」は、過去の試験において親株よりも発酵力が高く、また官能評価においてキレ評価の高いビールをつくる酵母集団として選抜されたもの(以下、選抜株)です。「318号酵母」の特徴を遺伝子レベルで解明するため、次世代シーケンサーを用いて、親株と選抜株の遺伝子を比較しました。その結果、選抜株は3つの遺伝子@エサとなる糖が周りにあることを感知する遺伝子、A増殖に関わる遺伝子、B糖をアルコールに変えるための道具(酵素)をつくる遺伝子 を、親株よりたくさん持っていることがわかりました。

このことから、これらの遺伝子的特徴が、「318号酵母」の高い発酵能力と関係していることが推察されました。

乳酸菌(赤)がM細胞(緑)から取り込まれ、免疫細胞(青)に渡されている様子
今後の展望
今回の結果より、「318号酵母」がキレを生み出す能力に長けている理由として、発酵力に寄与する遺伝子に特徴があることが明らかになりました。今後は、これらの遺伝子がより効率的に働けるような環境を整えるなど、遺伝子をターゲットとした発酵技術や酵母選択技術の開発につなげていきたいと考えています。

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