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研究レポート

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ビール酵母細胞壁が免疫力の向上や疲労感の軽減に役立つ可能性を確認

ビールづくりに欠かせない酵母ですが、アサヒグループでは、ビールづくり以外にも酵母の様々な可能性を探求しています。酵母細胞壁の摂取が、免疫力や疲労に与える影響を調べました。
(本研究成果は、日本食品免疫学会第13回学術大会で発表した内容です。)

酵母細胞壁ってなに?

酵母は、直径5〜10μmの単細胞の微生物です。その断面を見ると、最外側に細胞を殻のように覆う部分があり、これを酵母細胞壁といいます。酵母細胞壁の主な構成成分は、多糖(β-グルカン、マンナン)で、その他にタンパク質も含まれます。
アサヒグループでは、長年、ビール発酵終了後の酵母(ビール酵母)を医薬部外品、健康食品、調味料などに、また、植物の成長や免疫力を高めることから農業資材(肥料)にも幅広く活用しています。2000年代からは酵母の機能性研究に取り組み始め、これまでに、「乾燥ビール酵母」の肥満予防効果や「ビール酵母エキス」の肉体疲労予防効果が明らかになっています。今回、新たに、ビール酵母の細胞壁に着目してその機能性を検証しました。

ビール酵母細胞壁の摂取でマウスの
糞便中のIgAが増加

私たちの体には、病原菌やウイルスから体を守るために、免疫という仕組みが備わっています。この免疫を担う免疫細胞は、常に体内を巡回しており、病原菌などの侵入時には、免疫細胞が直接、あるいは抗体という武器を使って、攻撃・排出します。
酵母細胞壁の構成成分の一つであるグルカンは、免疫力を高める可能性があることが報告されていることから、ビール酵母の酵母細胞壁が免疫に与える影響を調べました。

<試験方法>

病原菌などの侵入阻止において重要なIgA抗体に着目し、マウスを用いた試験をおこないました。マウスに、ビール酵母細胞壁を混ぜたエサ(含有量1.0%, 1.5%, 2.0%)または通常のエサを、4週間摂取させた後、糞便中のIgA抗体量を測定しました。

<結果>

ビール酵母細胞壁を混ぜたエサを摂取したマウスは、糞便中のIgA抗体量が高く、ビール酵母細胞壁の摂取によって、免疫力が高まる可能性があることがわかりました。

ヒトでNK細胞数の増加と
疲労感の低減を確認

次に、ビール酵母細胞壁が免疫に与える影響について、ヒトを対象にした試験を行いました。また、近年、免疫力の低下と疲労が密接に関わっていることが示唆されていることから、疲労に与える影響についても調べることにしました。

<試験方法>

疲労感が高く、免疫機能が低下した傾向の40-59歳の男性45名を3つのグループに分け、それぞれに、ビール酵母細胞壁を含まない錠剤(プラセボ)、1500mg含む錠剤、3000mg含む錠剤を8週間摂取してもらいました。摂取前と摂取8週間後に、免疫細胞の数や抗体濃度を測定しました。また、摂取前と摂取4週、8週後に、疲労感を調べました。疲労感の測定には、疲労・緊張・活気などの感情状態を測る際に一般に用いられるPOMSアンケートを用いました。

<結果>

ビール酵母細胞壁を摂取したグループは、血中のNK細胞数が増加し、また、疲労感が低減していることがわかりました。このことから、酵母細胞壁の摂取によって、免疫力が高まる可能性がヒトでも示され、また、疲労感の低減も期待できることがわかりました。

まとめ
「ビール酵母細胞壁」の摂取により、マウスでIgA抗体量の増加が、ヒトではNK細胞の増加が確認され、 「ビール酵母細胞壁」がヒトの免疫力を高める可能性が示されました。また、免疫力の低下と関わりの深い疲労を回復させる可能性があることもわかりました。免疫力は、疲労の他、加齢やストレスなどさまざまな原因で低下する可能性があることが報告されていることから、「ビール酵母細胞壁」を、日常的に摂取することで、日々の体調管理に役立つと考えられます。今後も、酵母など微生物を活用し、健康維持に役立つ研究を進めてまいります。

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