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研究レポート

Report33

食の安全を守る〜農薬製剤成分の迅速分析法の開発〜

お客様へ安全・安心な商品をお届けすることは、私たち食品メーカーの大事な使命です。アサヒグループでは、全社員が最優先に取り組む品質保証活動の推進だけでなく、残留農薬やカビ毒などの分析技術の向上や、不測の事態に備えた新たな分析法の開発を進め、さらなる安全・安心を追及しています。
 今回、新たに、農薬混入事件の発生を想定し、食品中のごく微量の農薬を迅速に検出することが可能な分析法を開発しました。
(本研究成果は、第29回農薬残留分析研究会で発表し、ポスター発表優秀賞を受賞しました。)

食の安全とアサヒグループの取り組み

私たちが日々口にする食べ物は、おいしいことはもちろん大切ですが、まずは、安心して食べられることが何よりも重要です。食品製造におけるリスクは、製造工程での虫や微生物の混入事故、原料に付着する残留農薬やカビ毒、放射性物質をはじめとした有害物質による汚染、意図的な異物混入事件など多岐にわたります。食品メーカーはこれらに対して早期に対策をとり、食の安全管理を徹底することが求められています。

アサヒグループでは、商品開発から原材料調達、製造、出荷、流通(販売)にいたるサプライチェーン全体を通じた品質保証活動を推進し、全社員が取り組んでいます。そこで生じた問題に対して、迅速に原因を追究し、適切な対応を取ることが重要です。そこで、自社内における分析技術を高めるため、2007年に「グループ食の安全研究所」を立ち上げました。科学捜査研究所など専門機関からの最新の情報収集し、日々食品の分析技術を磨いており、現在、国内トップクラスの分析技術を有しています。

農薬混入事件を想定、
新たな着眼点で迅速な判定へ

食品メーカーの安全管理の徹底にも関わらず、意図的に、農薬などが混入されて食品が汚染される事件が発生しています。アサヒグループでは、ソフト・ハード両面で様々なフードディフェンスに取り組んでいますが、あらゆる可能性を想定し、早期対応策を確立しておくことが、不測の事態において被害を最小限に止めることにつながります。

そこで、今回、農薬混入事件の発生を想定したビールや果汁飲料の分析法を検討しました。アサヒグループがこれまでに確立した分析法により、ほとんどの農薬成分の定性・定量は可能になっていますが、農薬の有効成分(殺虫成分や除草成分)の中には、分解されやすいものがあったり、食品に混入している場合、夾雑物の影響で検出されにくいものがあるため、これまでとは異なるアプローチで農薬の混入を迅速に判定する方法が求められていました。

<事前調査>

市販農薬には有効成分に加え、それらの溶媒となる成分(製剤成分)が多く含まれています。有効成分ではなく、製剤成分を指標とした検査が、市販農薬の混入の有無を迅速に判断する大きな手がかりとなると考えました。

そこで、国内における農薬売上トップ10社の液体製品(全116点)に使用されている製剤成分を調査した結果、主に「有機溶剤類」、「石油類(アルカン類)」、「界面活性剤類」の3つの部類が使われていることがわかりました。

製剤成分の迅速分析法を確立

市販農薬の製剤成分として主に使用されている3つの部類それぞれの代表的な成分(有機溶剤:30種、石油類:炭素鎖6〜32、界面活性剤:24種)について、分析装置、カラム、前処理条件、温度条件、測定方法等を検討しました。

その結果、分析の難しいビールや果汁においても、さらに、人には感じられないほどのごく微量(1ppm程度)の混入であっても、農薬の混入の有無を迅速に検出し、混入量を特定できる分析法を確立しました。

まとめ
 今回、農薬混入事件を想定した迅速・正確な分析法を検討しました。農薬の製剤成分の検出という新たな着眼点と、アサヒグループが積み上げてきた分析に関する多くの知識や経験により、ごく微量の農薬製剤成分を迅速・正確に検出する分析法の確立に成功しました。
 食の安全という課題にたいして、「通常起こりえないであろう事態」まで想定し、予防策を講じることが、世界中のお客様に「真の安全」をお届けすることにつながると考えています。今後も、あらゆる事態を想定した新しい分析法の開発に挑戦してまいります。

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