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研究レポート

Report34

「ビール酵母」に含まれる豊富な栄養を活用

麦汁の栄養をたっぷりと吸収した「ビール酵母」には、タンパク質や、必須アミノ酸、ビタミンB群、各種ミネラルなど、多くの栄養素が含まれています。ビール製造時の副産物である「ビール酵母」を有効に活用するために、アサヒグループでは「ビール酵母」の様々な健康機能を研究しています。

栄養豊富な「ビール酵母」

酵母にはもともと多くの栄養が含まれていますが、ビールづくりの過程で麦汁の栄養をたっぷりと吸収した「ビール酵母」は、さらに豊富な栄養を蓄えます。アサヒグループ(当時の大日本麦酒株式会社)は、ビールづくりを終えた「ビール酵母」の活用に早くから取り組み、1930年に「ビール酵母」を使った日本初の薬用酵母剤の発売を開始しました。現在では、医薬部外品として、長年にわたり酵母の栄養的価値をお客様に提供し続けています。そして、それ以外にも、「ビール酵母」のさらなる可能性を探る研究が進められています。

「ビール酵母」の活用
〜妊娠中の鉄欠乏性貧血の改善を
動物試験で確認〜

鉄は、血液が体のすみずみまで酸素を運搬したり、筋肉が収縮したり、コラーゲンを合成したりするのを助ける大事な栄養素です。妊娠中は、赤ちゃんへの鉄供給が増加するため、多くの人に鉄欠乏性貧血の症状が認められます。鉄欠乏性貧血を予防するためには、鉄を多く含む食べ物を摂ることが必要ですが、鉄は体内に吸収されにくく、わずか15%程度しか吸収されません。効果的に取り込むためには、タンパク質や、アミノ酸、ビタミンなどの栄養素と一緒に摂ることで吸収率が上がることが報告されています。そこで、様々な栄養素を含む「ビール酵母」の摂取が、妊娠時の鉄欠乏性貧血の改善に役立つと考え、その可能性を検証しました。

<試験方法>

妊娠ラットを4群にわけ、それぞれ、鉄含有量の低いエサ(5.0mg/100g)のみ、鉄含有量の低いエサ(5.0mg/100g)と「ビール酵母」、鉄含量の非常に低いエサ(2.5mg/100g)のみ、鉄含量の非常に低いエサ(2.5mg/100g)と「ビール酵母」を21日間摂取させました。また、比較対象として、妊娠していないラットに鉄含量の低いエサ(5.0mg/100g)を21日間摂取させました。鉄欠乏性貧血の症状の変化について、摂取開始から1、7、14、21日目に赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値※1を、また、摂取21日目に、血清鉄濃度、総鉄結合能 ※2を測定しました。

  1. ※1:血液中の赤血球の割合を示す値
  2. ※2:血液中のトランスフェリンが鉄と結合できる総鉄量。トランスフェリンは、血液中で鉄を結合し運搬する役割を担うタンパク質です。鉄欠乏時には、鉄を効率よく運べるように血液中のトランスフェリンの量を増やして鉄欠乏状態を解消させようとすることから、総鉄結合能の値の上昇は鉄が欠乏していることを示します。
<結果>

妊娠ラットは、妊娠していないラットと比較して、鉄欠乏性の貧血症状が妊娠の経過に伴い悪化していることが確認されました。一方、「ビール酵母」を摂取した妊娠ラットは、「ビール酵母」を摂取していないラットと比較して、鉄欠乏性貧血の各種指標の悪化が有意に抑えられました。このことから、ビール酵母は、妊娠時に起こりやすい鉄欠乏性貧血の改善に役立つ可能性が示されました。

赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値でも、「ビール酵母」の摂取により、摂取していないラットと比較して有意な改善を確認!

「ビール酵母」から抽出したエキスの活用 
〜慢性疲労症候群の
症状改善の可能性が
あることを動物試験で確認〜

アサヒグループでは、「ビール酵母」の活用を広げるため、独自の加工技術により、細胞壁と中身のエキス部分に分け、それぞれの活用の可能性についても研究をおこなっています。ここでは、アサヒグループが提供した「ビール酵母エキス」を用いて、金沢医科大学がおこなった研究成果をご紹介します。

慢性疲労症候群は、体を動かせないほどの重度の疲労が6か月以上続く病気です。原因は、まだ解明されていませんが、菌やウィルスの感染による免疫機能の不調、ストレス、栄養不足、ホルモンの異常などが考えられています。

効果的な治療法はまだ確立されていませんが、ビタミンやミネラルが予防や症状緩和に使われていることから、これらの栄養素を多く含む「ビール酵母エキス」が、慢性疲労症候群の改善に役立つことが期待されます。

<試験方法>

「ビール酵母エキス」を用いて、慢性疲労症候群への効果を調べました。評価には、慢性疲労症候群モデルマウス(ブルセラ菌投与による誘発)を用いました。マウスを2群にわけ、一方の群のみに「ビール酵母エキス」を6週間与えました。6週間の期間中、両群に14日目と28日目の2回ブルセラ菌を投与し、それぞれの投与から2週間後の28日目と42日目に疲労度を自発行動量により測定しました。

<結果>

「ビール酵母エキス」を与えたマウスでは、与えなかったマウスと比べて、42日目の測定において、有意に疲労度の高まりが抑えられていることがわかりました。

まとめ
 今回ご紹介した以外にも、「ビール酵母エキス」の摂取が、運動による急性疲労の予防に役立つことが確認されています(Report11)。また、「ビール酵母」がアミラーゼやプロテアーゼなどの消化酵素の活性を高めることが確認されており、胃腸の働きに必要な栄養素の補給と合わせて消化不良・食欲不振などの症状を改善する効果も期待できます。
 アサヒグループは、これからも「ビール酵母」に豊富に含まれる栄養を、日々の健康管理に役立てていただけるよう提供し続けるとともに、病気の予防や治療にも役立つ可能性を広げていきたいと考えています。

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