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研究レポート

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うま味がたっぷりつまった酵母は天然の調味料

スーパーに並ぶ加工食品の成分表示ラベルを見ると、「酵母エキス」と書かれた商品がたくさん見つかります。酵母エキスは、化学調味料では出すことが難しい自然のうま味やコクを付与することができます。アサヒグループが長年培ってきた酵母技術により、うま味やコクだけでなく、これまで予想もできなかった機能や味への効果を持った酵母エキスの開発に成功しました。

酵母エキスに含まれるうま味成分を調味料として活用

酵母のうま味成分は細胞質に多く含まれています。細胞質だけを抽出してつくられる酵母エキスはブイヨンのような味わいがあり、ヨーロッパでは古くから料理のベースとして使われてきました。アサヒグループ(当時のエビオス薬品工業社)では、1996年に、ビール醸造の副産物である「ビール酵母」を利用して、日本初の酵母エキスを開発しました。当初は酵母独特の臭いと相性の悪い料理もあり、利用が限られていましたが、エキスの抽出方法などの改良を重ねるにつれて、ベース調味料として幅広く活用されるようになりました。

「グルタミン酸高含有酵母エキス」を開発
うま味だけじゃない!
思いがけない効果を続々と発見!

調味料としての酵母エキスづくりに適した酵母を求め、アサヒグループが保有する膨大な酵母バンクの中から新たな酵母「Saccharomyces cerevisiae AB9846株」を選定し、うま味成分の一種である「グルタミン酸」を多く含む酵母の育種・培養に成功しました。こうして完成したのが、「グルタミン酸高含有酵母エキス」(以降、「HG酵母エキス」)です。これまでの酵母エキスと比べて約5倍ものグルタミン酸を含んでいます。


アサヒグループが新たに開発した「HG酵母エキス」を使うと、うま味だけでなく、思いがけない効果を発揮することがわかりました。それまでの一般的な酵母エキスは、スパイスなどの辛みを丸め込み、味をマイルドにするとされてきました。しかし、「HG酵母エキス」を使ったお客様から、「うま味が加わるだけでなく、辛さが引き立った」という思いがけない声をいただいたのです。実際に、ヒトの舌を再現したモデル系を用いて実験をしてみると、辛み成分であるカプサイシンだけのときよりも、辛みを感じる部分(辛み受容体)が強く反応していることが確認されました。「HG酵母エキス」には、辛みの他にも、塩味、果汁感、柑橘感、乳感、バニラ感といった風味を引き立てる機能がある一方で、嫌な臭いをマスキングする効果も確認されています。さらに、減塩コンソメスープに「HG酵母エキス」を加えると、うま味やチキン風味が引き立ち、減塩による味の物足りなさが気にならなくなるという効果も確認されています。

様々な特徴の酵母エキスを組み合わせ、
特定の風味を作り出すことにも成功!

アサヒグループの研究により、他にも様々な特徴を持った酵母エキスが誕生しています。酵母エキスそのものが持つ味への効果だけでなく、複数の酵母エキスを組み合わせたり、熱を加えるなどの加工をすることで、「チーズ風味」「ゴマ風味」「スモーク風味」など特定の風味が感じられる酵母エキスの開発にも成功しました。これにより、塩分カットやカロリーカットの食事にも役立てることができます。今ではその特性を利用し、ドレッシングやソースなどの調味料、ソーセージやインスタント食品などの加工食品、アイスや焼き菓子などのデザートまで、幅広い味づくりに活かされています。

まとめ
 アサヒグループは、ビールづくりの副産物である酵母を無駄なく使い切るために、健康食品や調味料などの開発にどこよりも早く取り組み、人々の生活を豊かにする商品を生み出してきました。昔から料理のうま味には昆布や魚などの海産物や、鶏肉・豚肉など畜産物が使われてきましたが、これらは病気や環境変化の影響を受けやすく、必ずしも安全で安定的であるとはいえません。酵母エキスをうま味調味料として代用することで、おいしく安全な料理の安定的な供給につながります。私たちアサヒグループはこれからも酵母とともに、人々の健康で豊かな社会の実現に向けて貢献していきたいと考えています。

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