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りんごポリフェノールの血中の中性脂肪値の上昇抑制効果をヒト試験で確認

りんごから抽出された天然素材であるりんごポリフェノールを摂取することで、血中の中性脂肪値の上昇抑制に効果があることを、ヒトでの臨床試験で確認し ました。さらに、その作用メカニズムを動物試験等により調べたところ、りんごポリフェノールを食事と一緒に摂取することで、食物由来の脂質の消化吸収抑 制が働いていることがわかりました。 この研究成果について、2006年度日本農芸化学会大会(平成18年3月25日〜28日)において学会発表を行いました。


 中性脂肪(トリグリセライド)は、おもに食事から吸収され体内でエネルギー源として使われますが、過剰に摂取するなどしてエネルギーとして使いきれずに 余った分は脂肪細胞に蓄積されます。 血液中の中性脂肪が多すぎる症状は「高脂血症」と呼ばれ、動脈硬化、高血圧、糖尿病、脂肪肝等の様々な病気を招く原 因となります。また、食後一時的に上昇する血中中性脂肪値が時間経過後もなかなか元に戻らない「食後高脂血症」とよばれる症状についても近年問題とされて おり、動脈硬化の進行させる危険因子ともいわれています。

 未来技術研究所でのこれまでの研究によって、りんごポリフェノールには脂肪蓄積抑制(抗肥満)効果があり、その効果には、体内での脂肪生合成に係わる 酵素の活性抑制する一方、脂肪の燃焼に係わる酵素を活性するメカニズムが働いていることを解明しています。 今回の研究により、脂質消化吸収の抑制により 血中中性脂肪値を低下させる効果を確認したことによって、りんごポリフェノールは、複合的な作用メカニズムにより、血中中性脂肪値の低下・脂肪蓄積抑制 (抗肥満)の効果を発現していることがわかりました。

今後も詳細なメカニズムの解明や効果の検証などの関連研究を進め、現代人の健康的な生活の実現にかかわる生活習慣病予防等の分野への応用を進める考えです。
発表概要
 未来技術研究所では、今回の研究によって、試験管、動物あるいはヒトにおける試験により、りんごポリフェノールの消化酵素や血中の中性脂肪(トリグリセライド)値に与える影響を検討しました。
研究1.
りんごポリフェノールの脂質の消化吸収阻害作用 (in vitro, in vivo)
試験1.
小腸の脂質分解酵素であるリパーゼに対する、りんごポリフェノールの酵素阻害活性を、脂質のひとつである0.1mM 4-メチルウンベリフェリル-オレイン酸を基質とし、酵素にブタ膵臓リパーゼを用いて測定しました。その結果、図1のように、りんごポリフェノールはリ パーゼ活性の阻害作用を示しました。
試験2.
一晩絶食下においた7週齢ddYマウス※1(一群9匹)に、りんごポリフェノールを0g/kg,0.2g/kg、1g/kgの用量で、植物油10mlと 同時に経口投与しました。経時的に採血を行い、血中の中性脂肪(トリグリセライド)濃度を測定したところ、りんごポリフェノールを与えない対照群に比 べ、植物油と同時にりんごポリフェノールを与えた群は、ddYマウスの血中トリグリセライド値は、濃度依存的に有意に低下しました。
試験3.
7週齢のKKAyマウス※2 (一群10匹)に、普通飼料を自由摂取させ、あわせてりんごポリフェノールを0.6%含有する水溶液を与える群(りんごポリフェノール群)と、水を与え る群(対照群)に分けて4週間の飼育を行いました。飼育期間中は摂餌、摂水量を計測し、飼育終了後に血清生化学パラメータおよび体脂肪量を測定したとこ ろ、りんごポリフェノール摂取によりKKAyマウスの空腹時血中トリグリセライドの濃度は有意に低下しました。

これらの結果から、りんごポリフェノールは、腸管における脂質の吸収阻害作用により血中脂質改善作用を有することがわかりました。
※1 ddYマウス: 動物試験の際、広く一般的に使用されるマウス。
※2 KKAyマウス: 遺伝的要因により、自然に病気を発症しやすく、肥満や糖尿病研究によく用いられるマウス。


図1.りんごポリフェノールのリパーゼ活性の阻害作用


りんごポリフェノールのヒトにおけるトリグリセライド吸収抑制効果
 血中トリグリセライドが150mg/dL未満(正常値)である健康な成人に、市販のコーンポタージュスープに無塩バターとラードを添加し摂取(308 kcal、脂肪 37 g)してもらい、あわせてりんごポリフェノール600 mgあるいは1500 mgを経口摂取した場合の血中トリグリセライド値の経時的な変化を調べました。 プラセボ(擬薬)を摂取したグループを対照として比較したところ、りんごポリフェノール摂取グループはトリグリセライド値が低下する傾向を示し、トリグリセライドの吸収が抑制されていることが示されました(図2)。
 また、その他血液検査値から異常は認められず、問題となるような訴えは全く見られませんでした。


図2.りんごポリフェノールのヒトの脂質負荷による血中トリグリセライド量の上昇抑制(n=6)

 上記2つの研究の結果から、りんごポリフェノールが血中トリグリセライドの上昇を抑制することを、ヒト臨床試験で確認しました。さらに、そのメカニズムには、脂肪消化吸収抑制が寄与していることがわかりました。

今後さらに、りんごポリフェノールの脂肪蓄積抑制についての詳細な機能メカニズムの解明を進めていく考えです。

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