- 「六甲山」の知らない世界
- 都会の森が気になる方へ
- 開催日時
- 2016年5月20日(金)18:30~20:00
- 講師
- 神戸大学大学院農学部研究科・森林資源学研究室 黒田 教授・石井 准教授、神戸市建設局防災部 松岡様
- このイベントは
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本日のイベントは、『「六甲山の知らない世界」~都会の森が気になる方へ~』です
金曜の夜、都会の森の事が気になる方々にお集りいただきました
本日は、アサヒ飲料「おいしい水 六甲」をお飲みいただきながら、都会の森について、一緒に考えて行きたいと思います
都市に隣接する「六甲山」は、観光地としても大変馴染みの深い山で、私たちの生活に潤いを与えてくれる存在です。近隣にお住まいの方なら、一度は六甲山に登ったり、六甲山周辺の施設を利用した事があるのではないでしょうか?この「六甲山系」の森林を持続させ、次世代に渡すには、どう管理していくのが良いのでしょうか?
本日は、そんな「今」を生きている我々に課せられた課題について、様々な角度から一緒に考えていくイベントです。
本日の講師は、神戸大学大学院農学研究科・森林資源学研究室の黒田慶子教授と、石井弘明准教授にお越しいただき、まずお二人に関西地域の里山や六甲山の森についてご紹介いただきました
特に欧米の「自然」とは、原野・荒野という意味合いが強く、すなわち「自然保護」とは、「原野をそのまま保つ」という意識が強いそうです。
一方、日本の「自然」は、人との関わりが濃いのだそうです。千年以上も前から里山の資源(バイオマス)を利用しつつ自然を持続させて来た歴史があり、「触るな、伐るな」(放置)では荒れてしまうので、管理していくものという認識なのだとか。なぜ、欧米型の自然保護は、日本には合わないのでしょうか?
ここでスライドを使って、過去と現在の六甲山や、里山林の変遷などをご覧いただきました。
私たちの生活様式の変化により、燃料・肥料としての森林の資源利用が大きく減り、管理する意識が薄れ、荒れつつあります。
森林は自然に任せるのが良いと思われがちですが、実はそうとは言えないのだそうです
きちんと手を加えて管理することなく、放置した結果、病害虫が増加し、大きな問題になっている地域も少なくないそうです
病害虫や光量不足で不健康になっている里山たちを、どう再生するか、どう健康回復させるかを、将来を見据えて方針を立てる事が大切なんです。と黒田先生
先生は大学構内の大木も伐採が必要になっていたので、それを伐採し、少し手間をかけて資源にする様々な取組みもされているそうです
次に、石井先生からは、「六甲山上区の森林の現状~増えすぎたアセビが多様性を脅かす~」をテーマにお話いただきました。
2012年に神戸市が「六甲山森林整備戦略」として、「多様な樹齢・樹種で構成される森林」「森林の持続可能な管理と森林資源の活用」を指針としました。が現状はどうでしょう。
石井先生の調査で、「アセビ」が非常に多く繁茂していて、樹木の種数が少なく、他の樹種の繁茂を阻害している事が分りました
ではどう整備して行けばよいのか、を我々は考えて行かなければなりません。と石井先生。
アセビを木材資源として活用できないか、模索されている途中なのだそうです
最後は、神戸市建設局防災部の松岡達郎さんからも、六甲山管理の課題についてお話していただきました。
六甲山は、実は森林法・自然公園法・都市緑地法などで、国からの管理が厳しく、木は伐れない「みどりの聖域」となっていたそうです
しかし近年、六甲山は、「森林整備戦略を」を立てて、トータルで山を考え始めているそうです。
都市に近い山ゆえ、防災面も考え、「伐らない保全」ではなく、「木を伐って、山を守る」保全指針に変更され、六甲山の「恵み」を「育てる」・「活かす」・「楽しむ」仕組みづくりに取組まれています
ラボ・ガーデンでは珍しい、産官学の登壇者による本日のイベントいかがでしたでしょうか?
都会の森が気になる方々にご参加いただきましたが、都市山「六甲山」の課題について、どのように感じられましたか?
アサヒグループはこれからも「森を守る」活動に、積極的に取組んで行きたいと考えています