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青山ハッピー研究所 ハピ研

「人がしあわせを感じるモノやコトって、何だろう?」衣・食・住・美など生活に密着したテーマでその答えを考える“しあわせ探しの情報サイト”

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ハピ”プロ”インタビュー | 「その道のプロ」にインタビュー。そこに在る「しあわせ」をレポート

雨の恵みを活用して世界中の人々とハッピーを実現したい 村瀬誠さん

墨田区環境保全課主査を務める村瀬誠さんの別名は、「ドクター雨水」。現職の区職員として雨水利用を中心とした区政に携わるとともに、NPO法人・雨水市民の会の事務局長として、雨水利用の普及を目指して国内外を飛び回り、2002年には「環境のノーベル賞」といわれるロレックス賞に入賞する快挙を果たした。さらに、国際雨水資源化学会副会長、東邦大学非常勤講師など、その活躍のフィールドは留まることを知らない。そんな村瀬さんの「しあわせ」の源とは。

雨と深く関わってきた日本人は
雨の民族の末裔と言えるでしょう

雨水資料館の展示にはかなり力が入っていますね。

廃校になった小学校に廃材を使って作ったから、お世辞にもキレイな施設とは言えないけど、展示には力を入れていますよ。世界的な水危機の現状や雨水利用の技術を詳しく解説しているほか、国内外の雨水タンクや集水装置の実物も置いています。さらに雨にまつわる絵本や浮世絵を集めるなど、文化的な展示も充実させていますよ。現代日本では、雨は、どちらかというとマイナスイメージがありますよね。朝起きて雨が降っていると、気分が少し憂鬱になったりして。でもね、降水量の多い日本では、雨は切っても切り離せない存在で、昔の日本人はそれを受け入れて雨を楽しんでいたんですよ。たとえば、「ザーザー」「パラパラ」「ピチャピチャ」など、日本語に雨音を表す擬音が何十種類もあるのは、古来の日本人が雨音に耳を傾けていた証でしょう。雨には人の気持ちを癒す効果もある。雨の降るなか、森林や桜並木を歩くと、かぐわしい香りに包まれて、とても心地よい。日本人は、これを雨香(うこう)と呼んで愛してきたんです。それから、昔の茶道では竹で雨を集めて茶を点てていたんですよ。なんとも風流ですよね。そのように雨と密接な関わりを持ってきた日本人は雨の民族の末裔だと、私は思っているんです。

それに比べて、現代の日本人の感覚は変わってしまったんですね。

コンクリートに囲まれた都会では、雨の魅力はなかなか感じ取れませんからね。戦後の日本人は何とか生活から雨を切り離そうとしてきた。しかし、我々はもっと雨に感謝しなければなりません。今、地球上に住む65億人のうちの11億人は安全な水を確保できていません。それが10年後には80億人中20億人に増加する、とシュミレーションされていますから事態は深刻です。将来的に水をめぐる戦争が起こっても全く不思議ではない。それを防ぐには、どうすればよいか。私は雨水を利用するしか手立てがないと思っています。地域によって量的な差はあるものの、雨は貧富の隔てなく誰のもとにも降り注ぎますからね。そのためには、皆がもっと空に目を向けて大気汚染を改善しなくてはならない。世界中の人々は、一つの空の下に暮らしています。日本に雨を降らせる雨雲だって、もともとはインド洋で発生し、それがジェット気流に乗って東に運ばれて来るんです。世界は空でつながっている。だから私が事務局長を務めるNPO法人・雨水市民の会では、「スカイウォータープロジェクト」と称し、国内外で雨水利用の普及を目指しています。

すべてのきっかけは
両国国技館の雨水利用!

村瀬さんが雨水利用に取り組むようになったきっかけを教えてください。

25年前、保健所の職員だった頃、墨田区の両国界隈は大雨が降ると、たびたび洪水が起きました。そのたびに下水が逆流してビルの地下の受水槽を汚染するなど大きな被害が出たため、何とかしようと研究するうちに、目を付けたのが両国国技館でした。地下に巨大な貯水タンクを設置し、大雨時に流れ込ませれば洪水が防げる。さらに普段はあの大きな屋根で雨水を集め、それをポンプアップして館内のトイレや冷房に利用すれば、節水になって一石二鳥です。雨水は「流せば洪水、貯めれば資源」なんですよ。前例がなかったため苦労の連続でしたが何とか区長を説得し、区長が当時の日本相撲協会の春日野理事長に話をつけて、実現にこぎつけました。これが大規模施設の雨水利用の先例となって、今では、東京都立江戸東京博物館や東京ドームをはじめ、全国のドームのほとんどは同様の設備を備えています。

その後、区内で雨水利用施設を設置する仕事を本格化させたんですね。

9ヶ国語に翻訳されている書籍「やってみよう雨水利用」

墨田区内の公共施設などでも順次、雨水利用を推進するうちに、各地から問い合わせが相次いだため、12年前に「やってみよう雨水利用―まちをうるおすみんなの工夫」(北斗出版/グループ・レインドロップス著)という本を出しました。これは今では9ヶ国語に翻訳され、昨年には、何と中国政府が選ぶベスト図書の一般向け科学技術図書部門で入賞したんですよ! また6年前に出版した「雨の事典」(北斗出版/グループ・レインドロップス著)では、雨にまつわる歌や文学、人々とのかかわりなどをまとめました。これは日本版でしたので、続けて各国の事情を踏まえて世界の雨の事典を作りたいと思いましたが、資金がなかった。そこで高級時計メーカーのロレックス社が運営するロレックス賞に応募したところ、準入賞を果たしそれで得た賞金で英語版の雨の事典“Sky Water”を出版しました。今後は仲間とともに、各国の雨の事典を出版したいですね。

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プロフィール

村瀬誠(むらせ・まこと)さん

1949年大阪市生まれ。千葉大学大学院薬学研究科修士課程修了後、墨田区内の保健所の職員となる。その在職中、両国国技館に雨水利用設備を設置したのを機に、区内で雨水利用の施策に携わるようになった。1996年に墨田区地域振興部環境保全課へと移り、現在は同課環境啓発主査を務める。雨水利用の研究などで薬学博士の学位取得。2002年、ロレックス賞準入賞を果たして話題に。国際雨水資源化学会副会長、雨水市民の会事務局長も務める。

しあわせタイプ診断

今回の”プロ”のしあわせタイプ

村瀬誠さん

他人の幸せは自分の幸せ あなたのしあわせタイプは?