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酵母細胞壁を活用した取り組み 酵母細胞壁を活用した取り組み

酵母細胞壁を活用した取り組み

ビール醸造の副産物「酵母細胞壁」の可能性

農業資材の開発

世界的な人口増加や気候変動により、食糧不足の不安が高まる中、安全・安心な食糧供給への取り組みが求められています。アサヒグループでは、ビール醸造の副産物である「ビール酵母細胞壁」が持つ植物の免疫力を引き上げる力に着目し、新たな農業資材の開発を2004年より進めてきました。

ビールの醸造後には副産物としてビール酵母が残ります。この醸造後の酵母は、天然素材ビール酵母『エビオス錠』の原材料として活用したり、分解して抽出した「酵母エキス」を調味料などの原料に活用したりしていましたが、水に溶けない「酵母細胞壁」の部分については、植物に吸収させることができないため、これまであまり有効活用をしていませんでした。

しかし、この「酵母細胞壁」の活用について約10年の研究を行った結果、アサヒグループの独自技術で「酵母細胞壁」を加工処理することによって、植物への吸収性を高める資材の開発に成功。その結果、農薬の使用量低減と、作物の収穫量の増加を両立できる農業資材ができました。実際にトマトや稲などの作物でテストしたところ、驚くほど根が伸び、病気にも強い作物ができることを実証しました。

「酵母細胞壁」を活用した農業資材を使用したイネ(右)と通常栽培のイネ(左)

「酵母細胞壁」を活用した農業資材を使用したイネ(右)と通常栽培のイネ(左)

この農業資材は、農薬や化学肥料の使用量を抑えられるため、安心・安全でありながら、品質の工場、土壌の改良といった様々な効果が期待できます。さらに、農作物の収量の増加によって、収穫量当たりの温室効果ガスの排出量削減も実現できます。

ビール製造技術における副産物を最大限に活用

アサヒバイオサイクル(株)の設立

事業を通じてこれらの社会的課題の解決を図っていくために、アサヒグループは2017年にアサヒバイオサイクル(株)を設立しました。現在は、農業や林業、造園に携わるステークホルダーと連携し、社会的に課題となっている耕作放棄地の再活用を実現するなど、技術革新や価値の創造に取り組んでいます。

今後アサヒバイオサイクル(株)では、この農業資材を日本だけでなく東南アジアや北米など海外への販路開拓も進めていきます。「ビール酵母細胞壁」を活用した農業資材を通じて、安全・安心な食糧供給や、環境保全型農業の実現に貢献していきます。

バレイショへの散布により増収効果を証明

2018年、アサヒバイオサイクル(株)は北海道大学との共同研究において、ビール酵母細胞壁を用いた農業資材をバレイショの葉面に散布することによる増収効果を証明しました。ビール酵母細胞壁は植物病原菌の細胞壁に類似した構造を有しています。この農業資材を葉面散布することで植物の防御応答を誘導し、結果的にバレイショ塊茎の増収につながることが分かりました。
世界人口の大幅な増加や異常気象などの影響により、今後、食糧確保がますます重要になっていくと考えられます。本資材の活用を通して、農産物収量の増加を促すことにより持続可能な社会の実現を目指します。

「酵母細胞壁」を用いた農業資材の活用

開発途上国での取り組み

開発途上国での農業事業の課題解決に貢献するため、2019年より、アサヒグループは独立行政法人国際協力機構(JICA)と連携協力し、取り組みを進めています。

アサヒグループは、JICAが推進しているプロジェクト「インドネシア 官民協力による農産物流通システム開発プロジェクト」と「ラオス サバナケット県における参加型農業振興プロジェクト」に対して、農業資材を提供し、JICAと協力し技術支援を行っています。インドネシアでは、ジャカルタ特別州において野菜の試験栽培を実施しています。この支援を通して、高品質で安全な農作物を収穫できる体制をつくり、農家所得の向上や持続可能な農業生産システムの提案を目指しています。稲作が農業の中心であるラオスでは、米の生産性や品質向上などを目指し、米の試験栽培を実施しています。

またJICAでは、日本国内のJICA研修センターにて、開発途上国の稲作振興・農業開発に携わる各国の研修員が、農業についての知識・技術を習得し、自国での業務改善を図ることを目的として実習や実験を実施しています。アサヒグループは、各種研修プログラムにおいて、酵母細胞壁を活用した農業資材についての研修を実施し、開発途上国での活用を促すことで、持続可能な社会への実現を目指しています。

ゴルフ場のグリーンにおける農薬削減

農薬や化学肥料の使用も抑えたまま、植物の成長を促進できるという点を活用し、この資材は、農業の分野だけでなく、ゴルフ場や校庭でも活用されています。例えば、ゴルフ場のグリーンを維持するためには、大量の農薬を使わなくてはいけません。このグリーンに農業資材を使ってみたところ、わずか10日間で青々と生い茂るという効果がありました。農薬や化学肥料の使用も抑えながらも、根がしっかり張ることで、プレーに適した芝生を維持することができます。この資材は、アサヒバイオサイクル(株)設立後1年で全国のゴルフ場の3分の1以上に導入されています。

本資材は、日本だけでなく世界中のゴルフ場、公園等において、農薬を極力使用しない安全・安心で持続可能な芝管理に大きく貢献できる可能性があります。今後、本資材を用いた芝管理の現場、及び農業現場でのフィールド試験での詳細な検証・解析をさらに進め、持続可能な植物栽培システムを提案し、持続可能な社会の実現を目指します。

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