アサヒグループホールディングス株式会社 統合報告書 2015
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「稼ぐ力」の強化の一環として、2016年2月、SABMiller plcが保有するイタリア、オランダ、英国の子会社について、グローバル最大手のAB InBev SA/NVと株式売買契約締結に向けた最終提案で合意しました。本件は、AB InBev社によるSABMiller社の買収完了を条件としているため、クロージングはまだ先となりますが、グローバルプレイヤーとして差別化されたポジションの確立を目指す当社にとっては、最適な案件であると認識しています。買収対象となる『Peroni』や『Grolsch』といった世界有数の老舗ブランドは、本国であるイタリアやオランダのプレミアム市場で安定的に成長しているとともに、英国では、スーパープレミアムブランドとして急成長しています。当社としては、有力ブランドとその製造・販売インフラを獲得することで海外での成長基盤を拡大すると同時に、当社の「強み」である『アサヒスーパードライ』のグローバルブランド化などにおいて、大きなシナジーが発揮できるものと考えています。さらに、こうしたブランド資産やノウハウを活用することにより、欧州だけでなく、既に進出している豪州やアジア地域などにおいても、さまざまな戦略オプションを選択することができると考えています。 欧州ビール事業の買収について『中期経営方針』の主要指標のガイドラインについては、まず、売上高は、引き続き主力事業の安定的な成長を図るとともに、選択と集中による事業再編や新規のM&Aに取り組みます。また、営業利益では、既存事業において年平均一桁台後半の成長率を目指しつつ、新規M&Aによる積み上げを図っていきます。こうした取り組みの結果指標として、EPSでは、引き続き年平均10%程度の成長を目指すとともに、ROEでは株主資本コストを上回る10%以上の水準の維持・向上を図っていきます。2016年の業績見通しとしては、営業利益の成長率が1.4%増と『中期経営方針』のガイドラインに対しては低調なスタートとなりますが、本年はこの計画を下限値として上乗せを図るとともに、持続的成長に向けた基盤固めの年と位置付け、『中期経営方針』に基づく2017年以降の成長ドライバーの育成を加速していきます。社長就任にあたって私に課せられた使命は、新たに策定した『長期ビジョン』と『中期経営方針』に基づいて“企業価値向上経営”を継続し、さらに深化させていくことだと認識しています。外部環境が大きく変化する中、今後はグループ全体の持続的な成長に向け、ダイナミックな成長戦略の推進と効率的かつ高収益な事業基盤の構築を進め、スピード感のある意思決定を実行していく方針です。今後も、株主の皆様をはじめとするステークホルダーとの対話を深め、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。引き続き、成長を続けるアサヒグループに対しましてのご支援を、よろしくお願い申し上げます。 『中期経営方針』のガイドラインと2016年の見通し企業価値創造プロセス23リーダーシップ(マネジメント)会社紹介財務・会社情報経営基盤

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