2021年第4四半期決算説明会 主な質疑応答
A.2024 年までは、新型コロナウイルスで受けた影響を回復させることが最優先課題である。その中で、従来型のコストダウン中心の収益構造改革による回復ではなく、中長期を見据えた投資によって回復を目指していくことがポイントになる。日本の酒類事業は、ビールカテゴリーに加え、微アルコールを含めたノンアルコールビールなどの利益貢献を高め、今後 3~4 年かけて 2019 年の業績に戻していく。飲料事業では、構造改革が進み、ブランドの更なる強化の成果が本格的に寄与すれば来年以降は、成長が見込める。また、欧州・オセアニアは、既に回復しつつあり、更なるローカルでのプレミアム戦略の強化に加えて、グローバルブランドの成長による貢献を見込んでいる。また、DX や R&D、サステナビリティへの投資強化も収益に結びつけ、3 年後には徐々に効果を出していけると考えている。
※BAC: Beer Adjacent Categories の略。低アルコール飲料やノンアルコールビールテイスト飲料、成人向け清涼飲料などビール隣接カテゴリーを指します。
A.日本の酒類事業では、昨年の微アルコールを含めたノンアルコールビールは、前年比+26%と大きく拡大したが、そのうち 13%分が微アルコールの貢献だった。また、ノンアルコールビール市場における微アルコールが占める割合も約5%と推測しており、急速に浸透が進んでいる。欧州でも、強いブランド基盤を有しており、2030 年までに 20%を目指す目標に対しては、計画通り進捗している。また、豪州においても、『Great Northern Zero』を発売し、着実にシェアを高めている。今後も、当社の強みの一つである技術開発をグローバルで共有しながら、更なる成長を目指していく。
一方、低アルや大人向けの清涼飲料では、例えばハードセルツァーの市場は、各社がボリュームを追ったことにより、差別化が薄れ、昨年後半から失速する傾向が見られ始めている。当社は、ボリュームを追及するのではなく、パーソナライズ化が進むニーズの変化に対応する特徴的な商品をプレミアムブランドとして拡大を図っていく。
A.日本の事業においても、意思決定の迅速化、透明化、適切化を図ることが必要だと考え、1月 1 日にアサヒグループジャパン(株)を日本の統括会社として発足させ、4つの地域統括会社の体制に完全移行した。グローバル本社が大きな方向性を示し、市場特性に合わせて各地域統括会社が一定の権限委譲のもと、事業を管理していくのが適切な手段だと考えている。また、現在、各地域統括会社のトップマネジメントが集まる「CEO フォーラム」という会議を開催するなど、地域間でのベストプラクティスの共有化を図れる機会も積極的に設定している。その中で、現在、既に進めている共同調達に向けた議論においては、海外ではスケールメリットだけを活用して調達コストの低減を図るのではなく、バリュー・エンジニアリングによるコスト削減やサプライヤーとパートナリングするなど、従来の発想にはない、新たな気づきなども発見している。今後もグローバルレベルでのベストプラクティスの共有などを進めるとともに、丁寧な意思決定を行い、皆が合意して進められる日本の良さもミックスすることで、グローバルでも戦えるような世界標準化を目指していく。
A.現在、グループ本社が、グローバル戦略を推進する中で、全体最適の視点から各地域を束ねた方が良い領域においては、リーダーシップを発揮していく。一方で、地域統括会社に委ねた方が良い領域においては、積極的に権限委譲を進め、適切なガバナンス体制を構築してきた。こうした体制を整えた上で、現在、地域間でのシナジー最大化に向けて取り組みを進めている。例えば、日本において、欧州やオセアニアで成功しているレベニューマネジメントという売上管理手法を参考に導入し始めている。また、醸造技術や飲料技術などの研究開発の領域においては、日本が中心となりグループ全体の商品開発やイノベーションの創出などを支援している。また、今後、グローバル本社の社員については、責任者やスタッフを問わず、ダイバシティを一層強化することで、更にシナジーの創出が進む環境を整えていく方針である。
A.債務削減については楽観的に捉えておらず、まずは Net Debt/EBITDA のガイドラインを 2024 年を目途に着実に達成することを最優先に取り組んでいく。その上で、成長投資を検討していく。既存地域において補完性の高いボルトオン型やプレミアム戦略と合致する新たな地域への進出に加え、他社との協業などが成長投資のオプションとして考えている。ただ、案件のタイミングやその時の投資余力などによって選択するオプションは変わってくるので、状況を鑑みながら経営判断していくことになる。
A.昨年は『アサヒ生ビール(マルエフ)』や『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』を高く評価してもらい、今年は『アサヒスーパードライ』のフルリニューアルも控えており、販売モメンタムに復活の兆しが見え始めてきたので、気を緩めずに取り組んでいく。また、昨年に掲げたスマートドリンキング宣言に基づき、お酒の飲めない方、飲めるけど飲まない方などもターゲットに含めた新たな領域における価値提案を強化し、成長機会の拡大を目指していく。
単年度毎ではなく、将来のブランドポートフォリオを大きく描きながら、ブランド分析や商品・CM の開発などを科学的な根拠に基づいた仮説・分析を立てて進めている。そうした手法に基づき、今後もブランド価値を高める必要な領域には積極的に投入していくが、効率化できる領域では効率化を追求するとともに、生産体制の最適化を含むコストの最適化などを進めていく。こうした取組みにより、中期的に 2019 年の利益水準に戻し、更なる改善も図っていきたい。
A.『アサヒスーパードライ』は、発売以来 36 年ぶりのフルリニューアルとなり、2 月の中・下旬から順次切り替えていき、誕生日である 3 月 17 日に山場を持っていく。お客様からの反応としては、新しいコンセプトに対して期待感をもっているとの評価を多く頂いている。
リニューアルの背景は、味わいの面では、『アサヒスーパードライ』のイメージを調査したところ、若年層を中心に辛口=苦いというイメージを持っているお客様が多かったことから、新しい時代の嗜好に合わせて、香りにより飲みごたえが高まるように変更した。パッケージ面についても、お客様からの声を踏まえ、ベースとなるシルバーの色は残しつつ、デザインを刷新した。何よりも、グループ理念で掲げる「期待を超えるおいしさ」を求め続けるために、我々自身が変わらなければいけないと考えている。当社の旗艦ブランドである『アサヒスーパードライ』を進化させて、未来を変えていく姿を見せたい、という想いもあり、リニューアルに至った。
A.損益分岐点は、現状ではコロナ禍に伴う売上減少により上昇している。一方、損益分岐点売上高の改善に向けて、固定費の削減や限界利益率の向上などについて継続的に取り組んでいる。また、SCM 再編では、今後ビール類に加え、飲料や RTD などの効率化効果を創出していくことで、更なる損益分岐点の改善を目指していく。
A.主なドライバーは、業務用の回復である。昨年は、Q1がロックダウン、最盛期の夏は天候不順、12月は新型コロナウイルスの再拡大などにより、マイナス影響を受けたが、前年比+2%まで回復することができた。現時点では、本年は、Q1くらいまではオミクロン株の影響を受けるが、Q2以降は回復を見込んでいる。また、コロナ禍においてもプレミアムビール、ノンアルコールビール、RTDが着実に成長しているため達成可能だと見ている。
ウクライナ情勢の影響については、ロシア・ウクライナにおける販売数量は小さいため、大きな影響はない。また、エネルギー市況による影響を受ける可能性はあるが、本年分はヘッジもしているため、業績への影響は軽微だと考えている。
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