2023年第2四半期決算説明会 主な質疑応答
A.今後も当社は基本的に価格を下げて数量を増やす戦略は取らない。最優先ブランドの『Asahi Super Dry』と『Peroni Nastro Azzurro』においては、グローバルスポンサーシップなどを活用した戦略を取っているが、今後欧州や北米などを中心に積極的なマーケティング投資を継続し、各市場でのプレゼンスを高め、投資の相乗効果も更に上げていきたい。また、ノンアルコールビールなどのエクステンション商品を含めたラインナップの拡充など、様々なアプローチによりブランド価値向上を図っていく。また、市場拡大が見込まれるBAC※の領域についても、まずは認知度向上に注力し、業績貢献を拡大させていく方針である。
※BAC(Beer Adjacent Categories)低アルコール飲料、ノンアルコールビールテイスト飲料、成人向け清涼飲料など、ビール隣接カテゴリー
A.当社の主要展開国においては、競争優位性向上に向けた投資規模はより拡大していくと考えている。日本の酒類事業では、この2年間でも質の高い投資を継続し、成果を上げられており、今後も強いポジションの維持・拡大に向けた投資を続けていく。また、豪州や欧州のチェコなどでは、非常に強い事業基盤を構築できており、その他の国でも優位性を更に強化できるように取り組みを進めていく。
A.当社は複数年でのヘッジを行っていることに加え、一部のアイテムの市況は引き続き高騰傾向にある。また、加工賃については、欧州は今後軟化する可能性がある一方で、日本は上昇する可能性がある。更に、豪ドルや日本円が、米ドルに対して弱い状況が続いている。こうした影響を踏まえると、来期は欧州で下がったとしても、日本やオセアニアは大きくは下がらず、グループ全体で大幅なコストダウンは進まない可能性もある。
A.Asahi Global Procurementの設立により、2024年から5年間を目途に、1年あたり平均100M米ドル以上の財務的効果を創出可能と見ている。ただし、来期は設立初年度ということもあり、効果額は平均を下回る。これらの創出効果の一部は、将来の成長に向けてマーケティング・DX・IT・サステナビリティ・人材などへの投資に充当していく方針である。そのため、短期的には利益の押し上げ効果は限定的であるため、来期の事業利益は1桁台後半の利益成長をイメージしている。
A.これまで、商品開発やマーケティングは、ローカルにリージョン毎に取り組みを進めてきた。しかし、グループ内でベストプラクティスの共有が図れるようになり、例えば、日本で開発した高度な脱アルコール技術を活かした新商品を各国で展開するなど、グローバルレベルでの取り組みは増えてきている。今後も、BACを含めて、様々な魅力的な商品の展開を図っていく。また、米国に設立した投資運用会社も活用しながら、様々なシーズやアイディアを組み合わせることで、トップラインでの更なるグローバルレベルのシナジー創出を目指す。
A.ビールについて、一部安値で販売している企業もあるが、過度な価格競争には陥っていない。また、昨年の価格改定において、ビールから新ジャンルへの需要シフトのリスクもあったが、20年10月から継続しているビールへのシフトが堅調に進んでいる。上期は、当社のビール缶の販売は計画を下回ったが、夏の最盛期に向けて良い流れができており、引き続き『スーパードライ』や『マルエフ』の強化を図っていく。また、酒税改正後のビール市場で圧倒的に優位なポジションを築くために、新需要・新カテゴリーを創造するような新商品を発売予定である。ビールを中心とした戦略に変更は無いが、ポートフォリオ全体を見ながら、発泡酒や新ジャンルについても、ブランドを絞った上で一定の投資は継続していく。
A.この1年半はコストの高騰に苦しみながらも、原材料やエネルギー価格の状況をリージョンとグローバル本社で密に共有し、マーケティングやRevenue Growth Managementを軸とした戦略を実行し、成果を出してきたことは自信にもなった。特に、マーケティング投資を緩めることなく、ブランド価値向上を起点とした戦略を継続したことが、各リージョンの成果につながっており、中長期の成長にもつながると考えている。欧州やオセアニアのマネジメント層とは、お互い刺激し合い、高め合うことができており、非常に良好な関係を継続できている。
A.欧州は、これまでに経験したことのない水準で値上げを実施したが、東欧エリアではビールの単価は比較的に安いことから、大幅な消費へのマイナス影響はないと考えている。一部の国では、経済環境が悪化した際は大きく減少するが、回復するのも早い傾向があり、適切なカテゴリー戦略を選択すれば、悲観するような状況にはならないと考えている。
豪州は、日本よりもビールの単価が高く、これまでもCPIに連動して価格が継続的に上昇してきた市場である。その中で、当社は、価格とブランド価値を同時に高めることができ、ブランド力などにおいて競争優位性を作り出すことができている。
今後、両地域とも、大きな数量成長が期待できる市場ではないが、持続的なトップライン成長を継続し、収益性も高めることができると見ている。
A.来期は、インフレが落ち着いてくることになれば、値上げ幅についても緩やかになってくる。その場合、足元の経済的不安などから減退した需要は、一定程度戻ってくると考えている。また、インフレが収まったとしても、値下げなどはせずに、プレミアム戦略を推進していく。コロナ禍前の利益水準については、数ヵ年をかけて戻していきたいと考えている。
A.CUBとの統合シナジーは計画を前倒しして創出することができた。次の段階として事業全体のトランスフォーメーションの実行に移している。主な取り組みとしては、商品のイノベーションや顧客データの一元管理、サプライチェーン全体におけるネットワークの高度化、さらに組織イノベーションの推進となる。2025年頃を目途に、一定規模の成果を見込んでおり、創出された利益は、各種投資に再配分し、将来の成長基盤を確固たるものにしていく。
A.4-6月の市場は減少したが、イースターの時期が今年と昨年でずれた影響が大きかったと分析している。更に、4月は天候も悪く、在庫が滞った面もある。但し、5月以降は回復している。豪州のマクロ指標は良くないが、現時点ではビール消費は安定している。今後も、注視していく必要はあるが、インフレによる消費影響も限定的になるのではないかと見ている。
今後の市場の数量成長は、前年並みから微増を想定しており、当社は市場をアウトパフォームするよう取り組んでいく。マルチビバレッジ戦略に基づき、『Great Northern』を軸に、『Asahi Super Dry』や『Peroni Nastro Azzurro』に加え、クラフトビールなどの好調を持続させていくことはできると考えている。
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