2023年第4四半期決算説明会 主な質疑応答
A.コロナ禍やコストインフレなど市場環境が厳しい中、投資を短期的に抑制すれば、ガイドラインである事業利益CAGRの達成は可能だったが、中長期的な成長の実現とのバランスを考えながら投資を拡大してきた。投資効果としては、『Asahi Super Dry』などのグローバルブランドが順調に拡大すれば、2030年頃には大きな利益の源泉となる。また、サステナビリティ投資は、炭素税が導入された時の抑制効果などを想定している。DX投資は、システムを刷新していくことで将来の成長に繋がり、R&D投資も、脱アル技術を使った『Kozel 0.0%』の商品展開など、既にマネタイズしている取り組みもある。
具体的な利益成果としても、コストインフレなどが正常化することを前提に、今後2-3年でガイドラインの水準に段階的に引き上げたい。
A.日本・欧州・オセアニアの各エリアにおいてトップブランドを有しており、外部指標を活用してブランドパワーなどを見ると、投資リターンは回収出来ている。投資規律は、売上収益に対する投資比率で管理している。先行的な投資を実施しているグローバルブランドでは、メディアバリューなどからスポーツのスポンサーシップにおける投資リターンをモニタリングしており、期待した効果は創出できている。
A.今後のM&Aは、大型の買収機会が常にあるわけではない中、事業ポートフォリオ戦略に基づき、ビールを軸に将来の成長する可能性が高いBAC※などの投資も検討している。また、米国の投資運用会社は第1号の投資をしており、これからも様々な投資オプションを考えていく。考え方としては、①オーガニック成長を目指した生産工場などの獲得、②BACへの投資、③展開エリア拡大の視点から投資の機会を伺っている。投資機会が限られる場合は、株主還元の更なる充実などを検討していく。今後は、投資フェースに入っていくことも踏まえ、資本コストを意識した経営管理指標の導入なども検討していく。
- BAC: Beer Adjacent Categories の略。低アルコール飲料やノンアルコールビールテイスト飲料、成人向け清涼飲料などビール隣接カテゴリーを指します
A.オクトピ・ブルーイングは、製造受託会社のため、販売は当社機能で行っていく。買収の目的は、北米市場に向けた新鮮なビール商品の提供、輸入から現地生産にシフトすることで、物流に伴うCO2排出量の削減などになる。米国・カナダへの拡大展開も目指すが、現状ではしばらく時間は必要になると考えている。
A.世界の大都市となるロンドン、メルボルン、シドニー、ソウルなどの販売ルートはあり、ここで盤石な基盤を作るための基本的活動が必要になる。シティ・フットボール・クラブやFerrari、ラグビーなどスポンサーシップを活用することにより、一定の成長が可能だと考えている。長期的に成功するには、エリア拡大は欠かせないとは考えており、今後も引き続き検討も同時に進めていく。
A.2024年は、初年度の取り組みとなり70-80百万米ドル程度のコスト効率化を見込んでいる。地域別では、日本・欧州・オセアニアでそれぞれ3分の1ずつぐらいを創出するイメージとなり、各リージョンの今期予想には織り込んでいる。来年以降には、更なる効果創出を目指していく。
A.ここ2年の価格戦略や大幅なコストアップにより、売上収益が事業利益を上回って成長していることを踏まえると、事業利益率をコロナ前の水準に戻すのは時間がかかると見ている。日本は、酒類事業の事業利益額について2025年を目途に回復させ、2026年には日本全体でコロナ前の水準に戻していく。欧州は、2026年ごろにはコロナ禍前の利益規模に近づけていきたい。オセアニアは、既に近い水準なっているため、各施策の実行により早期の回復を実現し、更なる成長を目指す。
A.当社はマーケットリーダーとして、ビール回帰の流れに勢いをつけるために投資を拡大している。『アサヒスーパードライ クリスタル』のターゲット層へのアプローチやスマートドリンキングの認知度は順調に拡大するとともに、『スーパードライ 生ジョッキ缶』も年末年始に需要を獲得、『アサヒスーパードライ』本体も1月のパフォーマンスも良く、年間を通して成果を出していく。
A.酒類事業は、価格戦略やミックス効果を含めた増収効果もあり増益を計画している。飲料事業は、価格改定などに取り組むが、変動費のコストアップやその他費用の増加などもあり、微増益に留まる。また、その他の事業は、基幹システムの更新などのDX推進や、新たなビジネス探索への投資原資、人件費の増加などにより、中間持ち株会社であるアサヒグループジャパンの減益を見込んでおり、その結果、日本全体では前年比+1.9%の増益を計画している。
A.主な要因は、人件費の高騰による固定費や将来の成長に向けたブランド投資の拡大である。2024年の数量は前年比+1%程度を見込んでおり、価格戦略も含めて増収効果でそれらのコスト増をカバーをすることで、増益を確保していく。過去2年間のコストアップは高止まりしており、事業利益率の回復には時間を要するが、市場ニーズに合わせたイノベーション商品の展開、価格戦略を含めたプレミアム化、コストマネジメントにより、来年以降には事業利益率を改善させていく考えである。マクロ環境を見ると、欧州各国のCPI・PPIはピークアウトする中、賃金も上昇しているため、タイムラグは生じるが、消費マインドは改善すると考えている。
A.2023年Q4の販売数量は、好天影響などもあったが、前年比▲1%となり、一部では回復傾向も出てきている。2024年も厳しい環境下ではあるが、段階的に高インフレも終息し、消費は下期以降、少しずつ回復していくのがメインシナリオとなる。各国別では、チェコ・ポーランド・ルーマニアなどの中東欧において、市場を上回るトップライン成長を実現するとともに、グローバル5ブランドについても2023年は前年比+4%となり、順調に成長している。
A.2023年Q4は、競争環境や消費者の消費マインドに多少変化が発生しており、今後引き続き、市場動向を注視する必要がある。豪州では、雇用環境の厳しさから政策金利の利下げも検討し始め、7月には所得減税策を予定しているため、消費環境は徐々に回復していくことを期待している。競争環境についても、一時的な変化だと捉えているため、引き続き、ブランド価値を高めるための投資戦略を継続していく。
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