事業戦略説明会(欧州)主な質疑応答
A.我々の強みは、「社員」と「ブランド」だと考えている。親会社がSABMillerからAsahiに代わる中で、自分達や親会社が持っている優れた点を融合させてきた。また、長期的なビジョンを持って長期的な投資を行ったり、相手を尊敬しながら物事を進めてきたことで良い経営ができている。また、ブランドについては、最高の品質の商品を製造することはもちろんのこと、ブランドが有している価値をProfitable Revenue Growth Management(以下、「PRGM」)を通じて、適正に生み出することができているのが、ビジネス上の強みになっている。
A.足元では、コストアップを吸収するための値上げが続いており、売上収益が大きく伸びている。欧州の一人当たりのビール消費量は既に高い水準にあるため、今後も引き続きプレミアム化が売上成長の中核になると考えている。今後、コスト環境が落ち着いてきたら、売上収益と事業利益のバランスを見ていく必要があるが、コロナ前に描いていた中長期的な成長イメージから、現時点では大きな変化はない。
A.Q1のコストアップ状況は、昨年2月前の水準までまだ戻っていないが、当初の想定よりは、状況は改善している。エネルギー価格が大きく上がる中、各種市況だけではなく、ヘッジをするためのコストも大きく上昇した。その中で、ヘッジポリシーの運用範囲内で、先物を含めた市況変動に応じて柔軟な対応を取ることで、結果的にコスト上昇の一部を抑制することができた。麦芽についても、現在、昨年2月以前と比較したらまだ高い水準だが、軟化傾向にある。ヘッジ戦略は非常に重要であり、一定の柔軟性を持ちながら運営したことで利益創出に貢献できており、一部は人材やマーケット投資に配分していきたい。
A.ブランドと人材に投資をしていく。欧州では、全体の数量成長はほぼ横ばい、当社のシェアは既に高いという環境だが、その中でカテゴリー別に見るとノンアルコール、グローバルブランド、RTD等の成長が見られる。今後の成長が見込めるカテゴリーを中心にブランド投資を行っていく。また、人材については、様々な世代の従業員に対して、物理的にも精神的も、エンゲージメントを高めてもらえるような環境を作ることが大切であり、そのための投資を行う。
A.昨年は、地政学リスク以外では、大幅な値上げを受け入れられるか、コストは正常化に戻るのか、インフレ下で消費者の購買意欲が大きく落ちないかなどが議論の中心だった。実際は、PRGMの適切な展開により、大きな消費減退を起こすことなく、価格を適切に維持できている。また、ビールの需要は引き続き底堅い。コストアップについては、状況は想定より良くなってきている。今後のリスクについて、強いて挙げるとしたら、市場動向だが、今は大きな変化の兆しは見られない。
A.プレミアム化は、今後も継続できると考えており、ドライバーは主に3つある。1つ目は、ビールカテゴリー内でのプレミアム化である。また、健康志向を好む消費者向けの商品展開も強化していく。2つ目は、アルコール飲料からノンアルコール飲料へのシフトである。3つ目は、消費者の飲用量を抑えるトレンドを捉え、容量を小さくするなどパックサイズの最適化である。また、スロバキアでは、缶の構成比が高いが、アルミ缶よりガラス瓶の方が、環境負荷が低いことを訴求し、需要全体をガラス瓶にシフトさせることで、収益性を改善させている。
A.シングルサーブの炭酸飲料からの流入が考えられる。ノンアルコール飲料の位置づけを、「マイナスチョイス」から「ポジティブチョイス」へと変えたことが大きい。そして、ノンアルコール飲料の味の評価を高めるために、フレーバータイプが大きな役割を果たした。フレーバーノンアルコール飲料は、参入当初は消費者から「これはビールではない」とネガティブな反応を受けたが、忍耐強く取り組みを続けたことで、今ではルーマニア、ポーランド、チェコ、スロバキアではノンアルコール飲料内での構成比も上がっている。フレーバーによっては失敗した事例もあるが、ある国でのそのような事例を社内で速やかに共有し、早く安く失敗することで学びを得て、それをその後の成功につなげることができている。
A.『Pilsner Urquell』は、世界初のピルスナータイプのビールであり、長い歴史を有する中、Pilsen工場のみで、オリジナルのレシピに基づいて製造し続けているブランドであることがコアな価値である。一方、消費者は変化し続けているため、ブランドと消費者との接点においては、常にその変化に対応する新しいマーケティング手法などを取り入れながら、変わらないコア価値を適切に訴求している。今後、グローバルブランドの一つとして、拡大展開を図っていくが、決してマスで数量を拡大していくブランドではない。
A.『CAPRI』は、『Peroni Nastro Azzurro』のエクステンションだが、味も非常に優れており、国によっては『CAPRI』が中心になるケースもあるかもしれない。グローバルブランドの拡販においては、取り組みのスピードを上げており、消費者への幅広い接点構築や継続飲用に向けて、ノンアルコールタイプを含めて様々な商品パイプラインを用意している。
A.ポーランドについては、従来から当社は高いシェアを有していて、足元でもシェア拡大を図れている。23年Q1は、価格改定や税率変更などの影響を受け、市場全体が若干軟化し、シェアの高い当社がその影響を一定程度受けた。ルーマニアについては、メインストリームやローカルプレミアムのカテゴリーを中心に、当社は非常に高いシェアを有している。ここ数年ではPRGMの適切な展開により、数量だけではなく、金額ベースのシェアも拡大している。昨年は、ルーマニア市場全体は、インフレなどの影響により、他国と比較して減少したが、過去の金融危機の際、マイナス影響をすぐ受けたが回復も他の市場よりも早かったので、今後の回復に期待している。
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