2024年第2四半期決算説明会 主な質疑応答
A.今期については、財務健全性の目標を達成できる目途がついたため、配当については、「2025 年までに配当性向 40%」としていたガイドラインの達成を一年前倒しすることを決定した。また、上限300億円の自己株式取得枠を設定した。来期以降のキャッシュアロケーションについては、2025年2月の決算発表時に新たな方針を示す予定だが、方向性としては成長投資を最優先としながら、資本効率、資本コスト、株価などを考慮して検討していく。過去数年間は財務健全性の回復を優先したため、一定の制限の中で株主還元の充実を図ってきたが、今後はキャッシュアロケーションの自由度が増し、様々な選択肢が取れるため、ステークホルダーと対話しながら最適な資本政策を探っていきたい。また、成長投資を最優先とする中で、仮に魅力的な投資案件が出てきた場合、株主還元については例えば「減配はしないが、自己株買いは控える」などバランスが重要になる。
A.当社の企業価値向上に資する案件があれば、積極的に投資したい。投資案件としては、『スーパードライ』のグローバルブランド化を推進するためのM&Aは狙っていきたい。また、特に欧州でのボルトオンの買収案件についても検討していく。米国は候補となる案件がなかなか無いが魅力的な市場である。米国を含めて、当社のプレゼンスが無い、あるいは小さい地域におけるM&Aも優先順位が高い。また、BAC(Beer Adjacent Categoriesの略。低アルコール飲料やノンアルコールビールテイスト飲料、成人向け清涼飲料などビール隣接カテゴリー)を成長させていく上では小型案件も検討の余地がある。米国においては、スタートアップ投資ファンドAsahi Group Beverages & Innovation Fundによるマイノリティー投資を行っている。一方で、酒類だけではなく、事業ポートフォリオ戦略の中で示している酵母や乳酸菌における新商材やサービスの開拓についても興味がある。また、M&Aに限らず、『スーパードライ』等のブランド投資やスポーツのスポンサーシップについても引き続き取り組んでいきたい。サステナビリティ、DX、人的資本に対しても積極的に投資していく。これまで、毎年フリーキャッシュフローの1,000億円以上を負債の削減に費やしてきたが、来期以降は財務が健全化するため、様々な選択肢が広がる。投資リターンを見極めながら実行していきたい。
A.オセアニアの下振れリスクがあることや、様々な投資も検討したいので、下期は若干保守的な計画にしている。一方で、欧州や日本の上振れにより、下期で年初計画並みの業績達成を期待したい。
A.欧州については、過去2年間の厳しい経済環境の中でもプレミアム化は止まらなかった。例えば、ハンガリーとルーマニアにおいては、2年連続で大幅な値上げをしたが、極端な需要の減少は起きなかった。インフレが鎮静化し、消費者が新価格に慣れると、値上げ後の数ヶ月から1年くらいで需要が回復してくることが見えた。特に中東欧については、依然としてビールの単価が安いため、人々が豊かになるにつれてプレミアムカテゴリーを好むようになるという傾向は、今後も続いていくと考える。オセアニアについては、単価が相当高い水準まで上がっているが、プレミアム化は継続している。日本については、ビールは値上げが受容されるようになってきたが、今後も狭義のビールへの回帰によるプレミアム化を継続していくことが重要であり、そのためにも、日本経済の本格的な回復に期待している。
A.現段階ではコミットできないが、達成に向けた検討を行っている。地域別にみると、欧州については経済見通しに明かりが見えてきた。豪州の市場環境については今が底だと考えている。また、日本についてはビールシフトの追い風がある。AGPRO社による調達面でのグローバルでの収益構造改革も進んでいる。また、2024年4月に執行体制を刷新したことにより、グループ横断での取り組みを実行しやすくなった。加えて、各RHQの域内でのシナジー効果の創出や域内での収益構造改革にも取り組んでいる。
A.上期は前年比で広告販促費は増加したが、主に価格改定効果によるミックスの改善により増益となった。計画比では、変動費コストアップの抑制により上回った。ビールの販売数量は市場に対して苦戦したが、これは、競合他社から新商品が発売され、市場で最もシェアが大きい『スーパードライ』を中心に影響を受けたためである。一方で、『スーパードライ』のブランド指数は堅調に推移しており、今後確実に回復すると考えている。今後のビールでの競争については、2026年の酒税改正までは各社ともビールでのブランド投資を継続的に行うと想定されるが、当社としても『スーパードライ』で一定規模の広告や販促の投資を行っていく。ノンアルコールビールの『アサヒ ゼロ』、『GINON』、High Valueカテゴリーの『未来のレモンサワー』については、当初計画を上回る販売となった。下期と来期に向けて非常に期待しており、投資を継続していく。
A.ビールの成長に加え、RTDや収益性の高いスマドリカテゴリーやHigh Valueカテゴリーの成長が期待できる。また、アサヒグループジャパン社が中心となり「One Asahi」の取り組みも推進していく。コロナ禍に大きなマイナス影響を受けた業務用の営業については、固定費を下げたこともあり、今後売上が回復してくれば、期待以上の効果が出てくる。アサヒビール社については、S&OPの導入により、販売状況を見ながらの費用コントロールができており、計画達成力が強化されている。
A.米国で販売している『スーパードライ』は、従来はイタリアで製造していたため、輸送に時間がかかっていた。また、コロナ禍に海上運賃が急激に高騰したことなどもあり、製造受託会社であるOctopi社を買収し、北米における現地生産を行うこととした。また、カナダで販売する『Peroni Nastro Azzurro』は、Octopi社で製造する。Octopi社は、ノンアルコールビールやRTDなどのBACの製造ノウハウと設備があるため、今後活用していきたい。米国では、以前は日系の販売チャネルに集中していたが、3~4年前からそれ以外の販売チャネルでも『スーパードライ』を強化している。また、BACの中心となるRTDのイノベーション推進などに向けてAsahi Group Beverages & Innovation Fundを作り、スタートアップ企業への投資も進めていく。
A.特に豪州においては、前期Q4から販売数量の減少が始まったため、その反動があると考えている。また前期との違いとして、RTD『Hard Rated』が好調に推移していることも、今期Q4における回復のドライバーになる。豪州では上期において、家庭用は厳しい状況だったが、業務用はパブでの販売などが好調だった。厳しい状況の中でも収益を保つために収益構造改革を進めている。具体的には、データプラットフォームを統合し、酒類と飲料の営業を1人で対応できる体制にするなど、ITの統合を推進した。また、工場の生産体制については、抜本的にラインを組み替え、新しい効率的なラインの導入を行っている。
A.カテゴリーシフトについては、健康志向の高まりや人口構成の変化によって、オセアニアのみならず、グローバルで起きている。豪州では、『Hard Rated』が大きな成長を遂げているが、RTDは高付加価値カテゴリーとなるため、ボリュームよりバリューを重視していきたい。CUBにおける数量の4割程度を『Great Northern』が占める中で、市場環境が悪化したため、上期は大きな打撃を受けた。ただし、『Great Northern』は豪州のビール市場において最もマーケットシェアが高いブランドであり、2023年も成長を果たすことができた。既にブランド力は定着しているが、今後は若年層や女性のユーザーの獲得や、『Great Northern』のジンジャービールというイノベーション商品を展開することでポテンシャルを広げていきたい。また、ポートフォリオの拡大として、『Great Northern』を中心に『Carlton Dry』『Victoria Bitter』に加え、ノンアルコールビールも育てていきたい。
A.昨年の販売数量は減少した一方で、本年は前年比+2%を計画している。国別では、ポーランドとオランダが1桁台半ば程度の減少となったが、インフレの鎮静化や、消費者が値上げした価格を受け入れるようになれば改善していくと考える。欧州全体では、来期以降も数量成長を目指すが、プレミアム化や価格政策によって、数量以上に売上金額を成長させることが中心になる。
A.アップサイドの1点目は消費環境の改善により需要が増加すること。特にポーランドと英国は、インフレにより需要が低迷しているが、消費環境が改善することを期待している。2点目はグローバルブランドの成長加速による単価向上。エリアとしては、アジア、EMEA、米国などを中心に、グローバルブランドを拡大展開することが、下期と来期に向けてのアップサイドになる。3点目はコストの改善。欧州は、この2~3年でコストが高騰したため、市況の軟化により、プラス効果が出てくる可能性がある。
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