決算ダイジェスト 2015年総括・2016年方針

2015年通期実績(連結)

売上高につきましては、各事業の主力ブランドを中心とした売上拡大に加えて、酒類事業において4月から新規連結したエノテカ社や国際事業において一昨年下期から連結したエチカ社などの通年寄与によりまして、トータルでは、前期比719億円増収の1兆8,574億円となりました。

計画対比では、主に円高の影響を受けた国際事業が計画を下回ったことにより、トータルでは26億円の未達となりました。

営業利益につきましては、広告販促費の増加などにより飲料事業が減益となりましたが、他の3事業が、増収効果ならびに収益構造改革の推進などにより増益を果たし、トータルでは前期比68億円増益の1,351億円となり、計画を達成致しました。

2015年通期実績(酒類)

アサヒビール社につきましては、ビール類の数量減や広告販促費の増加などの減益要因がございましたが、ビール類以外の酒類の増収効果やミックス改善を含むコストダウンにより、前期比16億円増益の1,160億円となりました。

計画に対しては、ビール類の販売数量減に加えて、広告販促費が超過しましたが、洋酒などビール類以外の酒類の増収やそれに伴う製造会社の増益により、酒類事業全体で計画を達成しております。

2015年通期実績(飲料)

アサヒ飲料社につきましては、数量増効果や原材料コストを中心とした変動費の効率化などに努めたものの、品種・容器構成差の悪化や広告販促費の増加などにより、前期比22億円減益の213億円となり、計画未達となりました。

2015年通期実績(連結)

営業外損益につきましては、持分法投資損益の増益や受取配当金の増加に伴う金融収支の改善などにより、トータルで60億円の改善となりました。

尚、持分法投資損益につきましては、中国の持分法適用会社2社に加えてインドネシア販社の減益要因がありましたが、伊藤忠商事株式会社の頂新ホールディングの株式保有形態の変更に伴う利益95億円を計上したことなどにより、前期比61億円の改善となりました。

この結果、経常利益は、前期比128億円増益の1,459億円となり、計画比では69億円の超過達成となっております。

特別損益につきましては、主に関係会社関連損益に加え、減損損失の減少などの増益要素があったものの、昨年の西宮工場跡地の売却益やオセアニアでの訴訟に伴う受取和解金がなくなった反動などにより、トータルでは前期比292億円の悪化となりました。

尚、本年の減損損失の主な内訳としましては、オセアニアにおける豪ドル安による輸入原材料コストアップの継続などを踏まえて、将来のキャッシュフロー計画を保守的に見直したことによるのれん減損や、国内外における「低稼働資産」の減損損失などを計上しております。

法人税等が、税制改正による実効税率の変更や豪州での税制優遇効果などに加え、課税対象でない持分法利益や特別利益があり、前期比223億円改善したことにより、当期純利益は、前期比73億円増益の764億円となり、計画を上回ると共に、15期連続で過去最高益を更新しております。

2016年通期計画(連結)

続きまして、2016年の業績予想についてご説明いたします。本年より、飲料や食品事業における事業統合による機能移管や、より事業活動の実態に合わせた経営管理を行うため、一部の事業会社を対象にセグメントの組み替えを行っております。この組み替えに伴い、業績予想の前年比は、組み替え後の前年実績をベースにしておりますので、ご留意ください。

先ず売上高につきましては、不採算事業の見直しを図る食品事業や円高によるマイナス影響217億円を織り込んだ国際事業は減収となるものの、酒類や飲料事業における主力ブランドの強化や新商品の育成などによる売上拡大により、トータルでは前期比126億円増収の1兆8,700億円を見込んでいます。

営業利益につきましては、酒類事業と飲料事業においては、ブランド強化に向けて広告販促費が増加致しますが、数量増効果や原材料などのコスト全般の効率化などにより、着実な増益を図ります。食品事業につきましては、減収による減益要因や事業統合に関連する一時的な費用の発生などを見込んでおりますが、原材料の調達におけるシナジーの創出などに努めていくことにより、増益を目指していきます。国際事業につきましては、各地域において通貨安による原材料コストの上昇を見込む中、ブランド強化やシナジーの拡大などにより、現地通貨ベースでは17%の増益となりますが、円高による15億円のマイナス影響を織り込んでいるため、表面上は前期比8億円増益の6%成長となります。

また、「調整額」に含まれるHDの経費では、事業統合の機能移転によるコスト増や機能性表示食品等の研究開発費用などにより21億円の費用増を見込む一方で、「のれん等償却費」については、前期の減損処理や円高影響などにより、13億円減少する見込みです。これらにより、トータルの営業利益は、前期比19億円増益の1,370億円を計画しております。

2016年通期計画(酒類)

アサヒビール社において、ビール類の販売数量につきましては、3月に発売致します新ブランド「ザ・ドリーム」などのビールを中心としたマーケティング活動などにより、トータルでは前期比0.4%増加の1億6,150万箱を目指します。また、ビール類以外の酒類では、新ブランドの発売を計画している低アルコール飲料やアサヒビール社へ組み替えしたエノテカ社の上乗せ効果などにより、ビール社トータルでは前期比129億円増収の9,787億円を目指します。

営業利益の増減要因としては、変動費や広告販促費の増加に加えて、エノテカ社の上乗せに伴う固定費の増加などを見込んでおりますが、増収効果と原材料等のコストダウンなどにより、前期比1億円増益の1,185億円を見込んでおります。

2016年通期計画(飲料)

アサヒ飲料社では、「三ツ矢」や「ワンダ」などの主力6ブランドに集中したマーケティング活動と健康を軸にした新たな価値提案商品の強化などにより、販売数量は、前期比0.9%増加の2億4,870万箱を目指します。

営業利益につきましては、原材料などのコストアップや広告販促費の増加を見込んでおりますが、数量増効果やカルピス社とのシナジーを含む変動費のコストダウンに加えて、事業統合に伴う費用移管などにより、前期比19億円増益の260億円を目指します。

2016年通期計画(連結)

営業外損益につきましては、主に持分法投資損益での前年反動減を織り込み、前期比98億円のマイナスを見込んでいることから、経常利益は前期比79億円減益の1,380億円を計画しています。

尚、持分法投資損益につきましては、青島ビール社と康師傅飲品社の業績は、従来通り前年並みに為替のマイナス影響3億円を加味した上で、インドネシアの合弁会社の業績回復などを織り込んでいますが、前期の特殊利益要因がなくなることから、トータルでは、前期比94億円の減益計画としております。

特別損益では、主として、前期に発生した減損損失が無くなるため、トータルで212億円の改善を見込んでおり、これにより当期純利益では、前期比36億円増益の800億円を目指してまいります。

IFRS移行影響(概算値)

今期末からのIFRSの導入に伴う、現時点での業績への影響についてご説明いたします。IFRSへの移行影響につきましては、先ず、売上高は飲料社を中心に販売奨励金等を売上から控除するため、日本基準の2016年業績予想から1,600億円~1,800億円の減少となる見込みです。

営業利益につきましては、減価償却費が日本基準との基準間差異を調整するため、10億円増加致しますが、「のれん」の非償却化に伴い95億円の増益要因が発生することから、前期比85億円の押上効果を見込んでおります。

また、当期純利益は、持分法適用会社の「のれん」の非償却化による効果35億円などを合わせますと、前期比120億円の押上効果を見込んでおります。

IFRS財務諸表への組み換えの概略

IFRS財務諸表への組み替えの概略を掲載しておりますが、営業利益に直接的に影響を与えることになる営業外損益や特別損益は、現時点では、正確に見積もることができないため、只今ご説明した影響予想は、あくまでも概算値ということでご理解を頂ければと思います。