2017年12月期決算 2017年総括・2018年方針

2017年決算・2018年予想の概要

決算ハイライト

昨年の売上収益については、最盛期の天候不順などにより酒類事業が減収となりましたが、飲料、食品事業に加えて、主に中東欧事業の新規連結に伴う国際事業の大幅な増収により、トータルでは前年比22.1%増収の2兆849億円となりました。

事業利益については、国内3事業に加えて、欧州やオセアニアの好調による国際事業の大幅な増益により、トータルでは前年比32.2%増益の1,964億円となりました。

右側に記載しています2018年予想の売上収益については、エルビー社の譲渡により飲料事業が減収となりますが、昨年4月から連結している中東欧事業の通年効果もある国際事業の増収などにより、トータルでは前年比2.6%増収の2兆1,400億円を見込んでいます。

事業利益については、酒類事業の増益に加えて、欧州事業の一時費用の減少を含む国際事業の大幅な増益により、トータルでは前年比12%増益の2,200億円を見込んでいます。

酒類事業(ビール類販売数量)

ビール類の販売数量については、昨年は市場全体が2~3%縮小する中、当社は、新ジャンルが前年を上回りましたが、ビールの減少が大きく、トータルでは前年比2.1%の減少となりました。

2018年予想についても、市場全体では2%程度の縮小を見込む中、当社もリターナルブ容器の価格改定影響なども踏まえ、前年比1.2%の減少を見込んでいますが、引き続き、市場平均を上回る成長を目指していきます。

酒類事業(売上収益)

「ビール類以外の酒類」については、昨年は、中段にありますようにRTDやワインを中心に各カテゴリーが堅調に推移したことにより、トータルでは前年比3.6%の増収となりました。

2018年予想についても、市場拡大が続くRTDの強化を中心として、各カテゴリーの主力ブランドの強化により、トータルでは前年比4.8%の増収を目指していきます。

酒類事業(事業利益)

事業利益については、昨年はビール類の販売数量の減少影響がありましたが、ビール類以外の増収効果に加えて、広告販促費など、計画を上回るコスト全般の効率化により、前年比0.6%の増益となりました。

2018年予想については、ビール類の販売数量は減少計画ですが、リターナブル容器の価格改定効果を含むビール類の限界利益の増加に加えて、ビール類の容器構成差やビール類以外の増収効果などにより、前年比3.8%増益の1,250億円を見込んでいます。

飲料事業(販売数量)

飲料事業の販売数量については、昨年は「ウィルキンソン」や「カルピス」などが牽引し、トータルでは前年比0.8%の増加となりました。

2018年予想については、改めて主力6ブランドの強化に注力すると共に、健康基軸の商品展開の拡大などにより、前年比2.9%の増加を目指します。

飲料事業(事業利益)

事業利益については、昨年は数量増効果や品種・容器構成差の改善に加えて、広告販促費を含めたコスト全般の効率化により、予想を上回る前年比18.5%の増益となりました。

2018年予想については、エルビー社の譲渡によるマイナス影響がありますが、数量増効果に加え、操業度の向上や内製化の推進などにより、前年比1.5%増益の389億円を見込んでいます。

食品事業(売上収益・事業利益)

食品事業については、昨年は「ミンティア」など主力ブランドの好調により前年比2.7%の増収となり、事業利益は、増収効果や各種の製造原価の低減などにより、前年比13.4%の増益となりました。

2018年予想については、事業構造改革に伴う減収もあり、トータルの売上収益は横ばいとなりますが、付加価値商品の展開強化などにより、前年比4.1%の増益を目指していきます。

国際事業(売上収益)

国際事業には、上段の決算ベースの数値に加え、下段には為替影響を除いたベースの数値を記載しています。

国際事業(事業利益)

国際事業の事業利益の為替影響を除いたベースでは、昨年のオセアニア事業は、成長カテゴリーである水や、「ペローニ」が加わったビールが好調に推移したことに加え、継続した統合シナジーの創出効果もあり、前年比19.9%の増益となりました。

2018年予想は、「スーパードライ」と「ペローニ」を中心としたプレミアムビールの強化や生産・物流体制の最適化などにより、前年比11.8%の増益を見込んでいます。

一方で、昨年の東南アジア事業は、各事業の主力ブランドが好調に推移したものの、主にマレーシアにおける市場の低迷や原材料価格の高騰などにより、前年比65.4%の減益となりました。

2018年予想は、マレーシアにおける「ワンダ」、「カルピス」といった自社ブランドの拡大や製造原価の低減に加えて、インドネシア事業の売却効果などにより、前年比155.5%の増益を見込んでいます。

また、昨年の中国事業は、「スーパードライ」が好調に推移したものの、主に青島ビールの受託製造のミックス悪化などにより、25.8%の減益となりました。

2018年予想は、3月末予定の青島ビールの株式売却に伴い、煙台ビールが連結子会社から外れることなどにより、前年比7億円の減益を見込んでいます。

尚、煙台ビールの影響を除いたベースでは、「スーパードライ」を中心としたプレミアムビールの拡大などにより、増収増益を計画しています。

欧州事業(売上収益・事業利益)

欧州事業の内訳では、売上収益につきましては、昨年は、両事業の新規連結効果に加えて、主力ブランドの数量増とミックス改善などにより、トータルでは、予想を上回る前年比3,472億円の増収となりました。

2018年予想については、中東欧の1-3月分の上乗せに加え、プレミアムブランドを軸とした売上拡大などにより、前年比17.5%増収の4,389億円を見込んでいます。

事業利益についても、昨年は新規連結効果に加えて、増収効果とミックス改善などにより、予想を上回る前年比528億円の増益となりました。

2018年予想についても、増収効果やコスト全般の効率化に加えて、一時費用の減少などにより、トータルでは前年比43.5%増益の732億円を見込んでいます。

営業利益・親会社の所有者に帰属する当期利益

昨年の営業利益については、マレーシアの業績悪化やインドネシア事業の譲渡に伴う減損損失などを計上しましたが、事業利益の大幅な増益に加えて、エルビーの売却益などもあり、前年比33.8%増益の1,832億円となりました。

「親会社の所有者に帰属する当期利益」については、営業利益の増益に加えて、康師傅飲品社の株式売却益の発生などにより、前年比58%増益の1,410億円となりました。

右側に記載している2018年の営業利益については、固定資産除売却損やその他の費用の増加などにより、事業利益の増益幅は縮小し、前年比9.2%増益の2,000億円を見込んでいます。

尚、「その他」に計上している140億円については、現時点で具体的なリスク等を見込んでいるわけではなく、国内外の事業再編費用や更なる資産効率化に向けた原資を概算値として計上しており、例年通り、一定の予備費も含めているとお考えください。

「親会社の所有者に帰属する当期利益」については、康師傅飲品社の売却益などが無くなりますが、「その他」の項目に、青島ビールの売却益を含む60億円を計上していることなどにより、前年比0.7%増益の1,420億円を見込んでいます。

<配当について>
配当について、昨年は1株あたりの年間配当を21円増配すると共に、2018年予想では、15円の増配を見込んでいます。

これにより、事業ポートフォリオの再構築など特殊要因を除いたベースの配当性向は30.3%となり、2018年までに、IFRSベースの配当性向で30%を目指すとした株主還元方針を達成する見込みです。

今後も、業績の向上に合わせて、株主還元の充実に努めていくことで、株主・投資家の皆様のご期待に応えていく方針です。

2017年総括と今後の経営方針

エクゼクティブ・サマリー

昨年の総括については、決算としては、国内事業の収益性向上に加えて、欧州を中心に国際事業が好調に推移したことにより、トータルでは計画を上回る増収増益となりました。

事業別には、酒類事業では、最盛期の天候不順や改正酒税法に伴う店頭価格の上昇などにより、想定以上に厳しい市場環境となりました。そうした中、当社は、広告販促費を抑制しながら、新ジャンルでトップシェアを獲得するなど、ブランド力とコスト競争力を同時に高めてきたことで、収益力を強化しています。

飲料・食品事業においては、引き続き主力ブランドへの集中や、統合シナジーの拡大などにより、業界トップレベルの利益率を達成しており、「中期経営方針」で掲げる「稼ぐ力」を、国内3事業で着実に高めることができました。

また海外では、新規連結した中東欧事業を含め、現地トップの高いマネジメント力とモチベーションの元、欧州事業が好調なスタートを切っており、オセアニア事業と合わせて、国際事業の成長エンジン化が着実に進んでいます。

更に、欧州での成長基盤を拡大する一方で、中国の持分法適用会社やインドネシア事業を譲渡するなど、事業の「選択と集中」を促進することにより、事業ポートフォリオの再構築にほぼ目処をつけることができました。

一方で今後は、国内ビールカテゴリーの活性化や更なる「コスト競争力」の向上に加えて、グローバルなプレミアムブランドの拡大展開など、為すべき 取組みを強化することで、持続的成長に繋げていく必要があります。

<2018年方針>
こうした総括を踏まえた今後の方針としては、長期ビジョンで掲げる「高付加価値化を基軸とする成長」を実現すべく、グローバルとローカルを融合した、いわゆるグローカルな“価値創造企業”を目指した取組みを強化していきます。

国内外の経済環境は、全体としては堅調に推移していくと見込まれる中、先ずは母国である日本において、酒類事業を中心として、引き続きデフレ脱却に 向けた付加価値競争を主導していく方針です。

事業毎のポイントとしては、特に酒類事業では昨年からの店頭価格の上昇に加えて、本年はリターナブル商品の価格改定を行うなど、業界全体の取引の健全化が更に進むことになります。

今後も、需要拡大に向けたブランド強化に加えて、単価の上昇や広告販促費の抑制など、更なる健全化に向けてリーダーシップを発揮していく方針です。

また海外でも、「強い競争力を持つグローバルなプレミアムビールメーカー」を目指し、有力ブランドをクロスボーダーで拡大するなど、プレミアム化を軸に成長するリーディングカンパニーとして、その礎を築いていきます。

更に、本年は2016年に更新した長期ビジョンや中期経営方針などのリバイスに着手しており、様々な角度から議論をスタートしています。

欧州事業が加わったことにより、事業利益の海外比率は4割近くに高まると共に、国内外の事業ポートフォリオの再構築により、アサヒグループは新たな ステージに立ったと認識しています。

今後は、海外現法のマネジメントや、グループ全体の6割近くを占める外国人社員にとっても、より分かりやすく共感できる理念やビジョンを再構築することで、強みの融合に向けてベクトルを合わせていく方針です。

また、取締役会機能の強化など、新たなステージの成長戦略に資するガバナンス改革や、事業を通じた社会的課題の解決など、より企業価値の向上とリンクした「ESGへの取組み」を強化していきます。

『中期経営方針』のガイドラインと進捗

現在取り組んでいる「中期経営方針」のガイドラインの進捗と今後の方針について説明します。

<ガイド進捗>
2016年に発表した「中期経営方針」では、事業環境の変化に応じて柔軟にローリングする指標として、ガイドラインを設定しています。

今年の計画を含めた進捗としては、売上収益については、IFRSへの移行や事業売却による減収要因もありましたが、既存事業の成長に加えて、M&A効果が上乗せとなり、トータルでは着実に増収を果たしています。

事業利益については、既存事業の3ヶ年の平均成長率は6.6%程度となり、M&A効果と合わせて、トータルでは17%以上の成長を見込んでいます。これにより、主要指標である調整後EPSの平均成長率は21%程度となり、調整後ROEについても、ガイドラインを上回る13%以上となる見込みです。

財務・キャッシュフロー方針についても、ガイドを上回るキャッシュを創出すると共に、大型の成長投資によりDEレシオは一時的に目処とした1倍を上回りましたが、早期の改善は見えています。また株主還元についても、特殊要因を除く配当性向は、計画通り30%となる見込みです。

『中期経営方針』のガイドラインのローリング

こうした進捗を受けて、今回、2017年実績を起点としてガイドラインをローリングしました。長期ビジョンや中期経営方針のリバイスに合わせ、改めて来年にローリングする可能性もありますが、現時点での方向性として確認ください。

売上収益については、引き続き、具体的なガイドは設定しませんが、既存事業の安定成長に加えて、更なる事業再編や新規M&Aについても、中長期的な視点に立って検討を続けていきます。

事業利益及び調整後のEPSについては、事業規模拡大とグローバル化を踏まえ、今後は、少し幅を持たせて一桁台半ばから後半のCAGRを目指していきます。また調整後のROEについても、13%以上の水準を維持していく方針です。

財務・キャッシュフロー方針のローリング

次のページの財務・キャッシュフロー方針についても、基本的な考え方は変えていませんが、資産売却を含めたフリーキャッシュフローは、向こう3年程度は財務体質の強化を優先していきます。

下段に記載していますように、欧州事業のキャッシュフローや資産の売却効果もあり、Net debt/EBITDAでは2019年までに3倍程度、DEレシオでは、本年末に1倍以下まで低下する見通しです。

株主還元については、今後も配当性向30%を目処として安定的な増配を図っていく一方で、早期の債務削減により投資余力を高め、現在の事業ポートフォリオを補完するボルトオン型のM&Aなども検討していきます。

酒類事業の概況(1)

酒類事業については、昨年は、新ジャンルの好調に加えて、RTDやワインなどが拡大しましたが、想定以上にビール類市場がマイナスする中で、トータルでは若干の減収となりました。

一方、事業利益については、主に広告販促費など、計画を上回る効率化の推進により、増益を確保することができました。

昨年のビールについては、30周年関連施策などにより「スーパードライ」の缶容器は市場平均を上回ったものの、業務用市場の低迷などにより、ビールカテゴリーが計画未達となり、ビール類のミックス改善に課題を残しています。

本年は、特に若者の評価が高い「瞬冷辛口」の通年販売など、「スーパードライ」のブランドエクイティの向上に最優先で取り組むと共に、「グランマイルド」の発売など、ビールの定義変更を活かした新価値提案などを強化します。

更には、ブランドオーナーとして、ビール通をメインターゲットに海外プレミアムブランドを本格展開するなど、ビールカテゴリーでは、収益性を重視した戦略に注力していく方針です。

また、新ジャンルでは、昨年トップシェアとなりましたが、今後も厳しい競争が続くことが想定されます。本年は、トップシェアに拘って数量を稼ぐということではなく、酒税改正後も支持され続けるよう、「クリアアサヒ」を核として、非価格分野でブランド基盤を強化していきます。

一方、収益面では、流通全体の取引健全化や業務用コストの抑制など、あらゆる施策を積み上げていく方針を掲げています。

本年3月からのリターナブル容器の価格改定は、正にその一環であり、引き続き、業界全体のプロフィットプール拡大に向けてリーダーシップを発揮していく方針です。

また、広告販促費については、本年は小幅な抑制を見込んでいますが、これは、昨年来の家庭用・業務用の価格上昇による市場縮小リスクを極力緩和すべく、需要拡大を目指したブランド投資に備えているものであり、中期的に販促費比率を抑制していく方針に変わりはありません。

本年の酒類事業の増益計画が保守的との見方もありますが、この計画は需要減少などのリスクを踏まえた、アサヒ流の必達予算として設定しています。

本年は、ビールを中心とした販売計画の上振れや広告販促費を含むコスト全般の効率化により、計画の超過達成を目指し、予算ではなく実績で期待に応えていきたいと思います。

酒類事業の概況(2)

飲料事業の概況

飲料事業については、昨年は天候不順などにより市場全体が横ばいとなる中、「カルピス」や「ウィルキンソン」などカテゴリートップのブランドを中心とした成長に加え、統合シナジー拡大などにより、事業利益率は業界トップレベルの10%以上に高まりました。

本年は更に、主力ブランドへの集中ということだけでなく、重点6ブランドの更なる骨太化を図り、トータルの販売数量は2.9%増を目指していきます。

もちろん、業界全体の利益重視の流れに掉をさし、採算を度外視して数量増を目指すということではなく、三ツ矢の新たな飲み方提案や健康基軸のラインナップ拡大など、イノベーションを伴うマーケティングの強化により、攻めの姿勢でチャレンジしていく方針です。

飲料事業でも、事業ポートフォリオ再構築の一環として、エルビー社を譲渡 致しましたが、今後もより強固なブランドの集合体として、更にブランド力に磨きをかけていくことにより、収益性の一層の向上を図っていきます。

食品事業の概況

食品事業についても、引き続き「ミンティア」や「ディアナチュラ」など主力ブランドを中心とした売上拡大とミックス改善に加えて、製造原価の低減などにより、計画を超過達成することができました。

3社を統合した「アサヒグループ食品」として、事業の「選択と集中」も着実に進んでおり、こちらでもトータルの利益率は初めて10%を超えています。

本年は、各カテゴリー、主力ブランドの付加価値商品を拡大する一方で、低採算取引の見直しなどにより、トータルでは微増収となりますが、事業・ブランドミックスの改善などにより、収益性の更なる向上を図っていく方針です。

西欧事業

国際事業について、西欧事業から説明します。

こちらのページには、昨年の実績と本年の計画を、ユーロベースで記載しています。SABミラー時代と決算期や管理区分が違うため、前年比は概算値となりますが、売上収益で9%増、事業利益で13%増となり、計画を大きく上回る実績となりました。

下段にも記載しているように、英国や第三国での「ペローニ・ナストロアズーロ」を中心としたプレミアム化の進展や、天候にも恵まれたイタリアなど母国市場のブランドが好調に推移したことにより、計画を超過達成しています。

西欧事業では引き続き、“グローバルプレミアムビールのパワーハウス”を目指し、経済環境も好転している欧州において、「スーパードライ」を含むプレミアムブランドの拡大を軸として、更なる収益性の向上を図っていく方針です。

中東欧事業

中東欧事業についても、実績と計画を、概算の前年比で記載しています。

中東欧事業では、ポーランドが天候不順などにより減収となりましたが、チェコやルーマニアが好調に推移したことにより、計画を上回る増収となりました。

中東欧においても、「ピルスナーウルケル」などプレミアムブランドの成長を中心にミックスが改善しており、ポーランドの商品ポートフォリオの見直しや各国のコスト全般の効率化と合わせ、計画を上回る増益となっています。

尚、昨年4-12月期の前年比は、これまでも概算値として記載していましたが、前年実績の精査を進めた結果、一時費用との入り繰りが生じたため、前年比を修正しています。実績の数値には変化はありませんので、一時費用の減少と合わせて、計画を超過達成したとお考えください。

本年については、主にチェコの喫煙規制などによる数量減リスクを織り込み、トータルの販売数量は横ばいとしていますが、各国でのプレミアム比率の向上に加えて、「ピルスナーウルケル」などグローバルブランドの、第三国での更なる拡大に取り組みます。

こうしたミックス改善に加えて、各国の自助努力によるコストダウンやシナジーを活かした効率化などにより、収益性の一層の向上を図っていきます。

欧州事業のシナジー創出

シナジー創出に向けた考え方とその進捗を記載しています。

上段は既に開示している方針となります。進捗としては、売上面では、昨年、「スーパードライ」の現地製造をイタリアで開始し、本年1月から英国、フランス、イタリアでの販売をスタートしています。更に本年度中には、オランダやハンガリ―へも拡大展開していく予定です。

また、欧州以外では、昨年10月には、豪州における「ペローニ」の販売移管を完了しており、本年4月から、日本での輸入3ブランドを本格展開すると共に、中国市場への投入も予定しています。

欧州の「スーパードライ」は、従来の契約変更に伴う取扱店の減少など、一時的なマイナス要因もあり、またマーケティング投資も拡大していくため、直ぐに業績貢献する訳ではありませんが、中長期的な視点で、プレミアムブランドとしての存在感を高めていく方針です。

一方コスト面では、昨年はSABミラーからの分離に伴い、主にITインフラやシステム面で10億円程度の効率化が進んでおり、本年も調達コストの抑制や業務プロセス見直しなどにより20億円程度のシナジーを創出する見込みです。

今後も、各社独自のコストダウンに加えて、SCM全般のシナジー創出により、当初計画の更なる上乗せを図っていく方針です。

欧州における「スーパードライ」展開

欧州における「スーパードライ」のブランド戦略について、記載しています。

本年1月より、ホールディングス内に国際ビール部門を新設し、現地と密に連携しながら、「スーパードライ」のグローバル標準の育成モデルを構築しています。

欧州の「スーパードライ」は、英国での「ペローニ」の成功体験やノウハウを活かし、明確なブランド提供価値の設定やターゲットの見直しなどにより、スーパープレミアムとしてブランドを再構築していく方針です。

具体的には、絶えずより良いものを求めている顧客層を絞り込み、「スーパードライ」が持つ物性的価値と情緒的価値を合わせたブランドストーリーに、 ターゲットが求める価値に結びつけながら、情報発信を強化していきます。

無理に数量を追うのではなく、安売りされないブランドとして地位を築くため、プレミアム価格をしっかりと維持し、現地の強い販売ネットワークを活用することで、ブランドの定着を図っていきます。

先ずは、プレミアム比率が高い都市に集中し、業務用でのブランド評価と認知度の向上を図り、育成ステージに合わせて順次、裾野を拡大していく方針です。

国際事業(オセアニア)の概況

オセアニア事業については、昨年は、RTDの復調に加えて、「ミネラルウォーター」や「スーパードライ」など、成長カテゴリーを中心とした売上拡大や、継続的な統合シナジーの創出などにより、計画を超過達成しています。

特に「スーパードライ」は、拡大する輸入ビール市場の中で、プレミアムブランドとして高い伸び率を継続しており、グループ戦略であるプレミアムブランドの拡大において、代表的な成功事例となっています。

今後は、各カテゴリーでの安定成長に加えて、販売機能を移管した「ペローニ」とのシナジー創出など、プレミアム化の更なる進展を軸として、欧州事業と共に国際事業の成長エンジン化を推進していく方針です。

アサヒグループは、欧州事業の買収と事業ポートフォリオの再構築により、新たなステージに立ちました。

それは、大型買収で海外比率を高めるということだけでなく、「強い競争力」を持った事業基盤の獲得をチャンスとして、人材やノウハウなど双方の強みを融合したグローカリゼーションで成長していくステージだと考えています。

グローカルとは、世界規模の視野で物事を考えながら、地域文化に根付いた 事業活動を行なうことだと認識しています。

新たなステージでは、グローバルブランドのクロスセルに留まらず、欧州で蓄積されたプレミアム化のノウハウや人材などを活かし、母国である日本のビジネスモデルや業界体質の変革にも繋げていく必要があると考えています。

既に、国内各社は“ゼロベースバジェット”の考え方に基づいた社内改革を進めていますが、コストをゼロベースで見直すだけでなく、ビジネスモデルや事業構造も、海外の知見を活かしながら見直していく方針です。

腰を据えたプレミアムブランドの育成など、成果に時間を要するものもありますが、グローカルな“価値創造企業”を目指して変革を続けるアサヒグループに対して、引き続き中長期的な視点でのご支援をお願いします。

<参考>グローバルなプレミアム市場推移

このページ以降には、参考資料を掲載しています。

<参考>収益構造改革とアサヒビール社の広告販促費

<参考>為替影響一覧

裏表紙