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ニュースリリース

アサヒグループホールディングスのニュースリリース

ニュースリリース

2018年11月9日
アサヒグループホールディングス株式会社

−ヒト試験にてプロバイオティクスによる骨密度増加を世界で初めて確認−
「枯草菌C−3102株」が
閉経後女性の大腿骨の骨密度を増加させることを確認
第20回日本骨粗鬆症学会にて発表(2018年10月26日〜28日、長崎)

アサヒグループホールディングス株式会社(本社 東京、社長 小路明善)コアテクノロジー研究所フローラ技術部は、アサヒグループが保有する微生物「枯草菌C-3102株*1」を閉経後の女性が継続的に摂取することにより、大腿骨の骨密度が増加することを確認しました。また同時に、腸内フローラ*2のうち、特定の菌属の占有率*3が変化することも確認しました。本研究は、ヒト試験にてプロバイオティクス*4が骨密度を増加させることを、世界で初めて明らかにしました。(※2018年11月現在、当社調べ)
 こちらの研究成果は第20回日本骨粗鬆症学会(2018年10月26日〜28日、長崎)にて発表致しました。また2018年6月16日にBioscience of Microbiota, Food and Healthに掲載されました。

【研究背景】

骨粗鬆症は、骨密度が低下し骨がもろくなることで、骨折のリスクが増大する疾患です。通常では骨折しにくい大腿骨(特に足の付け根部分)なども、少しの衝撃や負担で骨折しやすくなり、寝たきりの生活の原因にもなります。現在では国内に1,300万人程度の患者がいると推定されており、症状の治療や予防は社会的に重要な課題となっています。
 骨密度は、特に閉経後の女性において、女性ホルモンの低下が起因して大幅に減少することが分かっています。この骨密度の低下を改善する素材として、骨代謝を改善する可能性が示唆されている「枯草菌C-3102株」に注目し、その効果を検証することにしました。

大腿骨骨密度変化率

【主な研究成果】
「枯草菌C-3102株」の継続摂取により、閉経後女性の大腿骨の骨密度が増加することを確認しました。また同時に、腸内フローラのうちビフィズス菌を含む11種類の菌属の占有率が変化することも確認しました。

【今後の展望】

今回、プロバイオティクスが骨密度を増加させることを、ヒトではじめて明らかにしました。また同時に、腸内フローラの占有率も変化しており、骨密度と腸内フローラに相関がある可能性も示唆されています。このことから本研究成果は、骨密度や骨代謝と腸内フローラの関連性についての研究が、さらに推進していくきっかけとなると考えています。
 アサヒグループでは、今後も腸内フローラや微生物の研究を通じて、お客様の健康維持に貢献して参ります。

<試験内容の詳細>
■実験方法

50〜69歳の閉経後の健康な女性76名を2群に分け、「枯草菌C-3102株」を含むタブレット、もしくは含まないタブレット(プラセボ)を、24週間摂取してもらいました。摂取試験期間中に、骨密度および各骨代謝マーカーの測定と、腸内フローラの網羅的解析を実施しました。

■試験結果

大腿骨骨密度変化率

1) 大腿骨の骨密度の増加
 摂取前後の大腿骨の足の付け根部分の骨密度を比較した結果、「枯草菌C-3102株」摂取群では、プラセボ摂取群と比較して、骨密度が有意に増加しました。
2) 骨代謝マーカーの変化
 骨密度は、「骨形成(骨をつくる)」と「骨吸収(骨を壊す)」の2つの骨代謝のバランスによって規定されており、骨密度低下時には骨代謝のバランスが骨吸収側に傾くことが分かっています。
 本研究では、タブレット摂取前、摂取後12週目と24週目に血中の骨代謝マーカーを測定しました。その結果、「枯草菌C-3102株」摂取群ではプラセボ摂取群と比較して、骨吸収マーカーである尿中NTxが12週目において有意に低い値となり、また同様に骨吸収マーカーであるTRACP-5bについても、12週目に低い値となる傾向が確認されました。
3) 腸内細菌の占有率変化
 糞便を採取し、抽出したDNAを次世代シーケンサー*5により解析した結果、「枯草菌C-3102株」摂取群では、摂取により11種類の菌属の占有率が変化することが明らかになりました。特に、有用菌として知られるビフィズス菌を含む菌属の占有率は有意に増加し、有害菌を含む菌属の占有率は有意に減少していました。

【用語解説】
*1) 「枯草菌C-3102株」
正式にはBacillus subtills C-3102株(「バチルス・サブチルスC-3102株」)と呼びます。バチルス・サブチルスは、バチルス属の微生物の一種で、一般的に良く知られているものでは、納豆菌も同属に分類されます。「枯草菌C-3102株」はアサヒグループ独自の微生物ライブラリーから選抜した微生物で、これまでにビフィズス菌の増加作用や、腸内環境の改善、胃腸症の自覚症状改善といった効果があることを明らかにしました。
*2) 腸内フローラ
ヒトや動物の腸の中には多種多様な細菌が住んでおり、生態系を構築しています。様々な細菌が種類ごとにグループを形成してまとまっており、まるで植物が群生している叢(くさむら)のようにみえることから、腸内フローラ(細菌叢)と呼ばれています。
*3) 占有率
ここでは、腸内細菌叢を構成する各菌属の割合を示しています。
*4) プロバイオティクス
「腸内フローラのバランスを整えることで、健康に有益な効果を与える生きた微生物」という定義が広く受け入れられています。微生物そのものだけでなく、それを含む食品などもプロバイオティクスと呼ぶこともあります。
*5) 次世代シーケンサー
塩基配列を、高速かつ網羅的に解析できる装置です。本研究では腸内フローラを構成する菌の属、およびそれらの割合を調べるために活用しています。

■参考

アサヒグループホールディングス(株)コアテクノロジー研究所のフローラ技術部では、革新的な技術や商品をお届けするため、腸内フローラの研究に取り組んでいます。生体の機能と、腸内に存在する菌との関係を明らかにし、そこから見出された新規有用微生物の活用を目指しています。腸内環境や免疫機構だけでなく、今回の研究のような骨密度や、その他にも自律神経といった、様々な身体の機能に腸内フローラが関与していることを明らかにしています。