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ニュースリリース

アサヒグループホールディングスのニュースリリース

ニュースリリース

2019年3月22日
アサヒグループホールディングス株式会社

コーヒーの副産物を有効活用し、農作物の凍霜害とうそうがいを抑止・低減
〜関西大学発ベンチャーKUREiカレイ社と提携し、共同で事業化を推進〜

アサヒグループホールディングス株式会社(本社 東京、社長 小路 明善)は、コーヒーの製造副産物である“コーヒー粕”を有効活用して持続可能な循環型社会の実現に貢献することを目指し、関西大学発ベンチャーとして過冷却促進物質の開発・製造事業を展開する株式会社KUREi(本社 大阪、社長 川本 久敏、以下「KUREi社」)に資本参加します。

今回、農畜産業をはじめとした幅広い領域で「過冷却促進物質※1」を実用化するノウハウを持つKUREi社への資本参加を通じて、“コーヒー粕”由来のエキスを用いた農作物の凍霜害防止材の開発を共同で推進し、食と環境に関わる社会的課題の解決を目指します。具体的には、アサヒグループ内の飲料工場から排出されるコーヒー粕をKUREi社に供給し、これを主原料とした凍霜害防止材の事業化に向けKUREi社と共同で取り組みます。

凍霜害を受けたニホンナシ

凍霜害を受けたニホンナシ
(写真提供:栃木県農業試験場)

凍霜害は、明け方の急激な気温低下に伴って発生した霜が花芽の細胞を部分的に破壊するなどして農作物の収穫に悪影響を与えるもので、日本国内では3〜5年に1度の頻度で大規模な被害が報告されています※2。被害が報告されている農作物は茶、梨、柿、梅、野菜類など多岐に渡り、生産者の所得低下や離農者の発生など、農業の持続性に深刻な影響を与えています。これまで凍霜害への対策としては設備面(ファン、スプリンクラー)が中心であり、安価で効果の高い資材が求められてきました。

アサヒグループでは、国内36工場で副産物・廃棄物再資源化100%を維持しており、コーヒー粕に関しても、これまでに肥料へのリサイクルや、バイオマスエネルギーの原料として外部施設へ供給するなど様々な取り組みを進めてきましたが、これらに留まらずさらなる有効利用に向けた新たな用途を継続的に検討してきました。

アサヒグループホールディングス(株)は、本年、「環境ビジョン2050」を策定し、2050年までに、事業活動における環境負荷ゼロ(ニュートラル)を目指すとともに、アサヒグループの独自技術や知見を生かした新たな環境価値創出(プラス)に挑み、持続可能な社会への貢献を目指しています。その実現にむけた取り組みの一環として、今回、新たな事業に資本参加するに至りました。

※1:過冷却促進物質
水が凍って霜や氷になる際には、はじめに極めて小さな氷のタネ(氷核)が生まれ、それが少しずつ大きな塊になっていく(氷結晶の形成・成長)過程をたどります。関西大学化学生命工学部の河原秀久教授は長年の研究を通じて、コーヒー粕中の成分が氷結晶の形成を妨げることを発見しました。この成分は、氷点下においても水が凍らずに液体として存在できる状態(過冷却状態)を保ちやすくする作用をもつことから、過冷却促進物質と呼ばれています。
※2:凍霜害による被害額
3月下旬からの低温・降霜雪による被害について、全国の地方農政局等から報告された被害総額は約74億円(2013年)

<KUREi社について>

KUREi社は、関西大学化学生命工学部の河原秀久教授(KUREi社の取締役CTO)が10年以上にわたる研究で独自の開発に成功した「過冷却促進物質」を、幅広い領域で実用化することを目指して設立された関西大学発のベンチャー企業です。

社名 株式会社KUREi
代表取締役 川本 久敏
設立 2016年11月1日
資本金 22,325,000円
所在地 大阪府吹田市山手町3丁目3号35号イノベーション創生センター
事業内容 農畜産物等の品質保持・運搬に係る革新的保存法の開発、および不凍・防霜・防雪等を目的とした化成品の開発、細胞の未凍結保存液など、過冷却促進作用を拡張した不凍に関するプラットフォームテクノロジーの開発

<参考情報:コーヒー粕から抽出したエキスの凍霜害防止効果について>

◆試験方法・結果
・試験方法

ニホンナシ「豊水」の切り枝を用いて、開花後に低温にさらされる状況を試験室内で再現し、本エキスの凍霜害防止効果を評価した。

(1)処理区
4水準(本エキス500倍希釈、本エキス1000倍希釈、対照材50倍希釈、無処理)
(2)試験規模
処理区ごとに切り枝を3本使用(反復なし)
(3)処理方法
ニホンナシ「豊水」樹から休眠覚醒後の2018年1月12日に結果枝を採取し、温室内(昼温25℃、夜温15℃)で開花させた後、したたり落ちる程度の薬液量を散布。散布24時間後に低温(−3℃)遭遇させた。散布後21時間を10℃、その後3時間を0℃で保存(前処理)した。低温遭遇時間は30分間とし、低温遭遇後は緩やかに温度上昇させ、10℃に戻した。
(4)調査方法および調査項目
低温処理2日後に障害花発生程度を開花ステージ別に調査した。
0:障害なし、1:花弁褐変のみ、2:内部障害あり

・実施機関

栃木県農業試験場

・試験結果

試験結果

◆考察・まとめ

「豊水」切り枝を開花させ低温遭遇させた試験では、-3℃の低温において本エキス散布により障害程度、障害発生率ともに無処理区よりも低下し、凍霜害防止効果が示唆された。