「ビール酵母細胞壁」由来資材を添加し、窒素含有量を高めた汚泥肥料を開発
世界的な肥料価格の高騰や化学肥料の使用量削減方針に対応した環境に優しい肥料
近年、世界的な穀物需要の増加、エネルギー価格の上昇に加え、ロシア・ウクライナ問題に端を発した原料の輸入規制などの影響により、化学肥料原料の国際価格が大幅に上昇し、肥料価格が高騰しています。また日本政府が掲げる「みどりの食料システム戦略」※1では、2050年までに目指す姿とKPIの1つとして、輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量30%低減を掲げており、肥料の安定供給や有機原料などを活用した新たな肥料の開発が課題となっています。
汚泥肥料とは、下水処理場の水処理工程で発生した汚泥や、工場などの廃水処理施設から生じた汚泥、食品工場から排出される食品残渣を混合し、発酵、堆肥化したものです。下水汚泥の中には、植物の成長に必要な窒素やリンなどの栄養分、ミネラル分が豊富に含まれており、肥料として有益であることから、政府が普及を推進しています。
- 1:農林水産省が定める食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立を実現する戦略。取り組みの中で、化学農薬や化学肥料の削減、有機農業の取り組み面積の割合拡大などの目標が定められている
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/
ビール酵母細胞壁由来の農業資材は、ビール製造工程で発生する副産物のビール酵母を活用した食品由来の安全・安心な資材であり、イネなどの植物の根の成長促進や免疫力の向上などの効果が実証されています。
今回、ビール酵母資材の新たな用途開発として、汚泥肥料にビール酵母細胞壁を添加することで、肥料成分を増加させることができるという仮説のもと、堆肥としての有用性を試験※2したところ、窒素含有量(湿重量)が従来製品の4.77%から6.36%に増加することが確認されました。窒素は肥料成分の三大要素の一つであり、適切に与えることで作物の茎葉の成長を促進し、収量も向上することが期待できます。ビール酵母細胞壁には発酵を促進させる働きがあるため、有用菌を増やすことができ、窒素含有量も増加したと推定しています。
アサヒバイオサイクルと双葉三共は、今回の取り組みをきっかけに、政府が推進する国産原料による肥料製造・販売の拡大に向けて、将来的にはアサヒグループの工場から排出される食品残渣の一部活用も見込んでいます。未利用資源や副産物を混合した堆肥を活用することによる、環境保全への取り組みや肥料の安定供給により、持続可能な農業への貢献を目指します。
- 2:2023年6月に実施(従来製品の数値は2022年7月の分析値)
商品名 | sUXウルトラエックス(肥料登録名:フタバソイル他) |
容量 | 15kg袋、350kg・700kgフレコンバッグ |
肥料登録番号 | 生第80447号 |
問い合わせ先 | 双葉三共株式会社 電話:082-426-1331 バイオシード・テクノロジーズ株式会社 WEB https://bioseed.co.jp |
アサヒグループホールディングスについて
アサヒグループホールディングス株式会社は、ビールを中心とした酒類、飲料、食品で多様なブランドを世界で展開するリーディングカンパニーです。『期待を超えるおいしさ、楽しい生活文化の創造』をグループ理念のミッションとし、企業活動の根幹に据えています。
1889年に日本で創業して以来、数百年にわたる歴史と伝統をもった世界各地の醸造所やブランドをグループに統合し、絶え間ない革新に挑戦してきました。Asahi Super Dry、Peroni Nastro Azzurro、Kozel、Pilsner Urquell、Grolschといった独自価値をもつプレミアムビールをグローバルブランドとして展開しています。アサヒグループは、コーポレートステートメント「Make the world shine “おいしさと楽しさ”で、世界に輝きを」のもと、商品やサービスを通じて、人と人・自然・コミュニティ・社会とのつながりを生み出し、そのつながりで世界の今と明日を明るく輝かせることを約束しています。事業規模としては、年間100億リットルを超える酒類および飲料を世界中のお客さまに提供し、売上収益は2.7兆円を超えています。日本、欧州、オセアニア、東南アジアを中心に、世界各地で事業を展開する当社は、日本に本社を置き、東京証券取引所(プライム2502)に上場しています。