アサヒグループ「環境」の取り組み
資源を有効活用した商品の展開や新たな目標を設定
「エコパック」は缶の上部のみ固定する紙資材で、アサヒビールが日本で初めて※1採用し、2021年からテスト展開、2023年から1都10県で販売しています。従来使用していた6缶パック資材と比べ、紙の面積は缶350mlの6缶パックで77%、缶500mlの6缶パックで81%削減できます。使用する紙の重量は缶350mlの6缶パックで65%、缶500mlの6缶パックで73%の削減を実現できます。仮に、アサヒビールが製造する6缶パック全てを本資材に切り替えた場合、年間で紙の使用量は約8,800t、資材製造に伴うCO2排出量を7,400t削減※2できる見込みです。
※1:当社調べで、缶体の上部のみを固定する6缶パック紙資材においては日本で初採用。
※2:2019年の当社6缶パック全商品の出荷実績による。
アサヒビールは4月から銀座で期間限定運営している『SUPER DRYImmersive experience』で、廃棄するビールホースなどをアップサイクルした素材「ReBL(レブル)」を使用したコースターを販売しています。
「ReBL」は飲食店などで交換・回収したビールライン(ビールサーバーのビールホースやガスホース)の一部を粉砕・洗浄して成形可能な素材にアップサイクルした素材です。これまでビールラインはグループ会社のアサヒドラフトマーケティングが飲食店で定期的に交換・回収し、産業廃棄物として年間約40tを処理していました。この状況を課題だと考えたアサヒビールは、ビールラインをアップサイクルして素材化する企画を立ち上げ、株式会社青野工業と八興、株式会社ホーライと協力して「ReBL」を開発しました。
「ラベルレス商品」は、PETボトルを包むフィルム状のラベルを全てなくしたケース販売専用商品です。従来、ラベルに記載していた原材料名などの法定表示は外装段ボールに記載し、個々の商品への記載が必要なリサイクルマークはPETボトルへ貼付したタックシールやキャップに記載することで、廃棄物量削減とラベルを剥がす手間を省きました。現在は「十六茶」や「プラスカルピス」、「ウィルキンソン」ブランドでも「ラベルレス商品」を展開しています。
「シンプルecoラベル商品」は、通常のラベルをタックシール(シンプルecoラベル)に変更することで、店頭での単品販売を可能にした商品です。2021年に発売した「おいしい水 天然水 シンプルecoラベル」は、1本あたりのCO2排出量を通常ラベルと比較して約63%削減※3しました。発売以来、お客さまから「ラベルが小さくてエコ」「はがしやすい」「捨てやすい」などと好評で、2023年の販売実績は前年比185%で伸長しています。現在は「十六茶」ブランドでも「シンプルecoラベル商品」を展開しています。
※3:『アサヒ おいしい水 天然水』PET600mlと比較
アサヒバイオサイクルはビール製造工程の副産物である「ビール酵母細胞壁」を農業資材として活用しています。「ビール酵母細胞壁」由来の農業資材は、植物の根張りを促進させ病気に強い作物を育てることができることから農作物の収穫量増加や、農薬の使用量低減による収穫量当たりの温室効果ガス削減にも貢献しています。
この資材を活用し、2024年1月から農林水産省が主導する「国内産輸出用米などの栽培技術のマニュアル化及び輸出可能性の検討・調査プロジェクト」にも参画しています。「ビール酵母細胞壁」由来の農業資材と他農業資材を併用することで、発根促進作用により側根を増やし養分を高めて光合成を促進し、さらに養分吸収力を高めることで、節水型乾田直播栽培※4による米作りが可能となり、温室効果ガス排出量の削減や水資源削減などで気候変動への対策に貢献します。さらに、2024年4月から実施する実証実験により、節水型乾田直播の栽培方法をマニュアル化し、低コストな米作りを確立させ、収穫した米を食糧供給が不足している新興国へ輸出する計画で、将来の世界的な食糧不足にも対応します。
※4:乾田直播とは、水を張らない状態の田んぼに種子をまき、出芽が揃った後に湛水する栽培方法。水田栽培に比べ温室効果ガスのメタンガスの発生抑制や、水資源削減も期待できる気候変動対策にも適した米栽培方法と言われている。また、従来の田起こし、水張り、代掻き、苗代づくり、田植えが不要となり、低コスト化・省力化が可能。節水型乾田直播栽培は、出芽後も湛水しない栽培方法で、通常の乾田直播栽培よりも更に低コスト化・省力化が可能。
アサヒグループホールディングスは、気候変動への対応におけるグループ全体の中長期目標を本年更新しました。2040年までにバリューチェーン全体でCO2排出量ネットゼロを目指します。この更新により、従来から設定していた脱炭素目標の達成期限を10年前倒しすることになります。新たな目標は、科学的根拠に基づくSBTi※5のネットゼロの定義に沿ったもので、バリューチェーン全体である、Scope1,2,3のCO2排出量が対象です。当社はCO2排出量削減に向け、再生可能エネルギーの使用推進や省エネルギー設備の設置、新たな容器の開発や軽量化に注力していきます。
また農産物原料と水資源に関する2030年までの目標を本年新たに策定しました。農作物原料に関しては、アサヒグループとして初めてグローバル全体で推進する目標を策定しました。2030年までに大麦とコーヒーについて、認証を活用して、100%持続可能に生産された原料の調達の実現を目指します。水資源については、グローバル全体での水使用量の削減に加え、優先流域でのさらなる水使用量削減目標設定のほか、水リスクが高い地域にある生産拠点の100%で、地域が抱える水の課題改善に向けて取り組むことを掲げています。
※5:SBTi:Science Based Targets Initiative
2024年の統合報告書を発行し、「環境」の取り組みついても紹介しています。
関連URL: https://www.asahigroup-holdings.com/newsroom/detail/20240531-0101.html
アサヒグループホールディングスについて
アサヒグループホールディングス株式会社は、ビールを中心とした酒類、飲料、食品で多様なブランドを世界で展開するリーディングカンパニーです。『期待を超えるおいしさ、楽しい生活文化の創造』をグループ理念のミッションとし、企業活動の根幹に据えています。
1889年に日本で創業して以来、数百年にわたる歴史と伝統をもった世界各地の醸造所やブランドをグループに統合し、絶え間ない革新に挑戦してきました。Asahi Super Dry、Peroni Nastro Azzurro、Kozel、Pilsner Urquell、Grolschといった独自価値をもつプレミアムビールをグローバルブランドとして展開しています。アサヒグループは、コーポレートステートメント「Make the world shine “おいしさと楽しさ”で、世界に輝きを」のもと、商品やサービスを通じて、人と人・自然・コミュニティ・社会とのつながりを生み出し、そのつながりで世界の今と明日を明るく輝かせることを約束しています。事業規模としては、年間100億リットルを超える酒類および飲料を世界中のお客さまに提供し、売上収益は2.7兆円を超えています。日本、欧州、オセアニア、東南アジアを中心に、世界各地で事業を展開する当社は、日本に本社を置き、東京証券取引所(プライム2502)に上場しています。