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アサヒグループの研究成果 ビール醸造副産物「ビール酵母細胞壁」を用いた
新しいゴルフコース管理を提案 〜持続可能なゴルフコースに貢献〜

2017年3月30日
アサヒグループホールディングス株式会社

アサヒグループホールディングス株式会社(本社 東京、社長 小路 明善)は、ビール醸造副産物である「ビール酵母細胞壁」を活用した持続可能なゴルフコース管理システム※1を確立するため、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下、農研機構)(所在地・つくば市、理事長 井邊 時雄)とともに、ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment : LCA)※2の手法を用いた定量的なゴルフコース管理の評価を実施し、3月1日から3日に行われた第12回日本LCA学会研究発表会(産業技術総合研究所つくばセンターで開催)にて、本研究成果を報告いたしました。発表者は共同研究者である農研機構農業環境変動研究センターの林 清忠博士です。

環境影響が小さく、経済・社会面でも優れたゴルフコースの管理システム(各種の作業機械を利用して肥料・薬剤散布等を体系的に行うゴルフコースの管理手法)のこと

LCA 製品やサービスに対する環境影響を評価する手法のこと

ビール酵母細胞壁研究の背景と目的

アサヒグループホールディングス株式会社では、これまでもビール醸造から発生する酵母の細胞壁を応用した農業資材(肥料)を開発し、本農業資材が作物の生産を飛躍的に向上することを確認してきました。ビール醸造の副産物「ビール酵母細胞壁」をもとに製造された肥料は、作物の生産性向上に加え、水稲栽培において水稲収穫量当たりのCO2排出量を約29%削減するという研究成果が得られ、2015年にアメリカLCA学会で発表しました。

今回、アサヒグループホールディングス株式会社と農研機構農業環境変動研究センターは、上述の資材を利用することが、ゴルフ場のコース(グリーン)管理において、農薬削減と温室効果ガス排出量削減にどの程度の貢献をするかを明らかにするため、LCAをベースとした評価の枠組みにより、株式会社アコーディア・ゴルフの協力のもと、本資材を用いたゴルフコース管理の総合的な評価を行う事としました。

試験結果

「ビール酵母細胞壁」を有効活用した農業資材を用いたゴルフコース管理は、従来の方法と比べ、農薬使用量が減少し、温室効果ガス排出量が約10%減少すると計算されました。本管理法を日本全体のゴルフコース(144,000ha)管理に単純に適用した場合、最大で年間約46,000tの温室効果ガスが削減できる計算となります。

本資材は、日本だけでなく世界中のゴルフ場、公園等において、農薬を極力使用しない安全・安心で持続可能な芝管理に大きく貢献できる可能性を秘めていると考えられます。

今後、本資材を用いた芝管理の現場、及び農業現場でのフィールド試験での詳細な検証・解析を進め、持続可能な植物栽培システムを提案し、持続可能な社会の実現のために貢献することを目指していきます。

アサヒグループは「中期経営方針」の重点課題の一つとして「ESGの取り組み強化」を掲げており、企業価値の向上を目指した取り組みを行っています。2017年3月には、本研究で培った知見を活かし、ビール醸造の副産物である「ビール酵母細胞壁」を有効活用し、環境保全型農業の構築、温室効果ガス排出削減などの環境・社会的課題の解決を通じ、持続可能な社会の実現に貢献することを目指した新規事業会社「アサヒバイオサイクル株式会社」を設立しました。

アサヒグループは、今後も「アサヒらしい取り組み」を通じ「サステナビリティの向上を目指したESGへの取り組み強化」を実現させていきます。

酵母細胞壁の研究についてはこちらもご参照ください。

微生物と発酵のチカラを学ぶ研究情報誌「Kin’s」Vol.20
https://www.asahigroup-holdings.com/research/report/kins/pdf/kinsvol20view.pdf

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