2017年11月28日
アサヒグループホールディングス株式会社
アサヒグループホールディングス株式会社(本社 東京、社長 小路明善)コアテクノロジー研究所は、「ビール酵母細胞壁」の継続摂取が疲労感を軽減し、免疫力向上の可能性があることを見出しました。この研究成果を「日本食品免疫学会第13回学術大会(2017年11月9日〜10日、東京)にて発表し、優秀な研究成果に贈られる「ポスター賞」を受賞しました。
受賞内容

(コアテクノロジー研究所 酵母技術部)
「日本食品免疫学会」は、食品の免疫調節機能に関する研究を推進することにより国民の健康維持と増進に貢献することを目的として設立された学会で、医学・薬学・農学分野の大学や食品メーカーなどの研究者により構成されています。この度、当社が発表した「ビール酵母細胞壁の継続摂取が健常人の疲労感と免疫系に与える影響」が、ポスター発表全56演題の中から優秀な研究成果として選ばれました。
研究成果概要

「ビール酵母」は、ビールづくりの過程で麦汁中の栄養分を取り込み、炭酸やアルコールを作り出します。ビールづくりの役目を終え、取り除かれた「ビール酵母」は、栄養をたっぷりと蓄えています。アサヒグループでは早くからビールづくりの副産物である「ビール酵母」に着目し、「胃腸・栄養補給薬『エビオス錠』」や調味料として、また近年では、農業用資材(肥料)としても活用しています。
今回、「ビール酵母」の最外側にあり、細胞を殻のように覆う「ビール酵母細胞壁」に着目し、ヒトの健康への効果を検証しました。その結果、「ビール酵母細胞壁」には、疲労感を軽減させる効果があること、また、免疫力を向上させる可能性があることが明らかになりました。
本研究成果の活用
免疫力の低下は、加齢やストレス、疲労などと深く関わっていることが知られています。「ビール酵母細胞壁」を活用した健康食品の開発により、お客様の日々の健康に役立ててまいります。
参考資料
研究成果の詳細
試験方法
疲労感が高く、免疫機能が低下した傾向の40-59歳の男性15名を3つのグループに分け、それぞれに、「ビール酵母細胞壁」を含まない錠剤(プラセボ)、1500mg含む錠剤、3000mg含む錠剤を8週間摂取してもらいました。摂取前と摂取8週間後に、血中の免疫細胞の数や抗体濃度を測定しました。また、摂取前と摂取4週、8週後に、疲労感を調べました。疲労感の測定には、疲労・緊張・活気などの感情状態を測る際に一般に用いられるPOMSアンケートを用いました。
結果
1.「ビール酵母細胞壁」の摂取により免疫力が向上する可能性を確認
「ビール酵母細胞壁」を摂取したグループは、プラセボ群と比較して、血中のNK細胞※数が増加していることがわかりました。このことから、「ビール酵母細胞壁」の摂取により、免疫力が向上する可能性が示されました(図1)。
NK細胞:ウィルスに感染した細胞を破壊して、体内でウィルスが増殖・拡散するのを阻止する働きがある免疫細胞です。
図1 血中のNK細胞数の変化
2.「ビール酵母細胞壁」の摂取により疲労感が軽減
「ビール酵母細胞壁」を摂取したグループは、プラセボ群と比較して、疲労感が軽減していることがわかりました(図2)。
図2 疲労感の変化