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ビール酵母細胞壁を用いた農業資材の効果をゴルフ場18コースで実証
〜 芝の品質を向上させ、環境にやさしいゴルフ場へ 〜

2019年4月9日
アサヒグループホールディングス株式会社

アサヒバイオサイクル株式会社(本社 東京、社長 御影 佳孝)は、ビール醸造副産物である「ビール酵母細胞壁」を活用した持続可能なゴルフコース管理システム※1を確立するため、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下、農研機構)(所在地・つくば市、理事長 久間 和生)と株式会社アコーディア・ゴルフ(本社 東京、社長 田代 祐子)との共同研究で、ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment : LCA)※2の手法を用いた定量的なゴルフコース管理の評価を、実施しました。
 今回は成田ゴルフ倶楽部(千葉県成田市)において、初めて18ホールの規模で実証実験を行いました。

尚、本実証結果は3月5日に行われた第14回日本LCA学会研究発表会(九州大学 伊都キャンパス)にて発表されました。発表者は共同研究者である農研機構農業環境変動研究センターの林 清忠博士です。

具体的な成果としては、芝のコンディションを数値化した品質(価値)は28%向上し、化学農薬の使用量が低減しました。また、ゴルフ場18コースにおける芝の品質(価値)あたりの温室効果ガス排出量は、22.3%低減することが確認されました。
すなわち、ビール酵母細胞壁を用いた農業資材の導入が、化学農薬の使用量を減らし、環境に優しく芝の品質の高いゴルフコースの実現に貢献することが分かりました。

ビール酵母細胞壁研究の背景と目的

アサヒグループホールディングス(株)では、これまでもビール醸造から発生する酵母の細胞壁を応用した農業資材(肥料)を開発し、本農業資材が作物の生産を飛躍的に向上することを確認してきました。ビール醸造の副産物「ビール酵母細胞壁」をもとに製造された肥料は、作物の生産性向上に加え、水稲栽培において水稲収穫量当たりのCO2排出量の削減に貢献するという研究成果が得られ、2015年にアメリカLCA学会で発表しました。

また、アサヒグループホールディングス(株)と農研機構農業環境変動研究センターは、上述の資材を利用することが、ゴルフ場のコース管理において、農薬削減と温室効果ガス排出量削減にどの程度の貢献をするかを明らかにするため、LCAをベースとした評価の枠組みにより、株式会社アコーディア・ゴルフの協力のもと、研究用ゴルフコースにおいて本資材を用いたコース管理の総合的な評価を行ってきました。

今回は実際のゴルフコース(18コース)における実証試験へとスケールアップし、従来の方法と比較して、どの程度環境への影響があるのかを解明しました。

試験結果

「ビール酵母細胞壁」を有効活用した農業資材を用いることにより、スティンプ、コンパクション、刈取量、根長、サッチ厚、芽数等を計測した芝のコンディションを表す数値(ゴルフコースが提供するサービスの代理指標としての価値)が1.28倍と計算されました。また、計算された価値当たりの温室効果ガス排出量は、従来の管理法(2016年)の場合が1.458 kg CO2 eq./valueで、新たな管理法(2018年)の場合が1.133 kg CO2 eq./valueとなり、約22.3%の低減につながりました。
本資材は、日本だけでなく世界中のゴルフ場、公園等において、農薬を極力使用しない安全・安心で持続可能な芝管理に大きく貢献できる可能性を秘めていると考えられます。

今後、本資材を用いた芝管理の現場、及び農業現場でのフィールド試験での詳細な検証・解析をさらに進め、持続可能な植物栽培システムを提案し、持続可能な社会の実現のために貢献することを目指していきます。

温室効果ガス排出量(kg CO2 eq./value)

酵母細胞壁を活用した農業資材を散布する様子
酵母細胞壁を活用した農業資材を散布する様子

アサヒグループホールディングス(株)は、本年、「環境ビジョン2050」※3策定し、2050年までに、事業活動における環境負荷ゼロ(ニュートラル)を目指すとともに、アサヒグループの独自技術や知見を生かした新たな環境価値創出(プラス)に挑み、持続可能な社会への貢献を目指しています。

【参考】微生物と発酵のチカラを学ぶ研究情報誌「Kin’s」Vol.20

微生物応用技術を農業へ 微生物のチカラを活かして、安全でおいしい「食」に貢献
https://rd.asahigroup-holdings.com/research/enjoy/kins/pdf/vol20.pdf

環境影響が小さく、経済・社会面でも優れたゴルフコースの管理システム(各種の作業機械を利用して肥料・薬剤散布等を体系的に行うゴルフコースの管理手法)のこと

製品やサービスに対する環境影響を評価する手法のこと

「アサヒグループ環境ビジョン2050」
アサヒグループホールディングスは、本年1月より新経営理念である”Asahi Group Philosophy”を施行し、行動指針の一つとして「事業を通じた持続可能な社会への貢献」を掲げています。「自然の恵み」を享受しながら事業を営む企業として、その「自然の恵み」を次世代に引き継ぐことを目指しています。
https://www.asahigroup-holdings.com/pressroom/2019/0212.html

<株式会社アコーディア・ゴルフについて>

全国に134のゴルフ場と27のゴルフ練習場を運営する国内最大級のゴルフ運営会社。実証実験を行った成田ゴルフ倶楽部では、6月にPGA TOURチャンピオンズ「Mastercard Japan Championship」を、また、9月にはアコーディア・ゴルフ習志野カントリークラブ(千葉県)で、PGA TOUR「ZOZO CHAMPIONSHIP」を開催することが決定しています。

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