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“生”のおいしさを守り抜く
造りたてのビールのおいしさを味わえる“生”ビール。
しかし、“生”の品質を保つには、超えなければいけないハードルがあった。

ビールのおいしさを奪う、未知の乳酸菌

ビールを変質させる微生物の多くは、ビールに含まれるホップの天然抗菌作用で増殖を抑えています。しかし、微生物の中には、ホップ耐性があり、ビールの味や香りを落とし濁りをつくる乳酸菌がいて、さらにこれまでホップ耐性を持っていなかったものの、新たにホップ耐性を獲得した乳酸菌も出現していました。これらのビール混濁性乳酸菌が、ビール造りにおいて長年の悩みでした。

通常、乳酸菌は検査培地で増殖させて、肉眼で発見して検出します。しかし、ビール混濁性を持つ乳酸菌はなぜか検査培地で増殖しないものが多く、品質検査における検出漏れで、ビールが製品として出荷された後、しばらくしてから品質が悪くなるという大きなリスクがありました。

最初のハードルは、増殖しない乳酸菌の検出

ビール混濁性乳酸菌を漏れなく検出するための検査培地を作り出すことは、困難とされていました。これに挑むために、まずは通常の培地で増殖しない乳酸菌を人の手で作り出すことから研究を始め、10年をかけて成功させました。その乳酸菌を利用することで、従来の検査培地に含まれる成分が、菌の生育を阻害していることなどを突き止め、ビール混濁性乳酸菌の検出に特化したABD培地を完成させることができました。

二つ目のハードルは、長時間を要したビール混濁性判定

検出した乳酸菌のビール混濁性の有無は、検出菌を実際のビールの中で培養して判定していましたが、結果判定まで3ヶ月もかかっていました。これを改善に導いたのは“ビール混濁性乳酸菌にはホップ耐性遺伝子があるのでは?“という仮説でした。研究で仮説は実証され、世界で初めてホップ耐性遺伝子を発見しました。この遺伝子を検出することで、ビール混濁性を短時間で判定できるようになりました。

革新的な乳酸菌検出方法の完成

ビール混濁性乳酸菌を検出することができる検査培地と、ホップ耐性遺伝子の遺伝子マーカーによって、新菌種も含めた、ビールを変質させる乳酸菌のほとんど全てを検出することが可能となりました。

安定したビール造りのための衛生環境整備

ビール混濁性乳酸菌が検出できると、ビール混濁性乳酸菌が混入しないように、ビール工場の衛生環境を整えることで、安定しておいしいビール造りが可能となります。

ビール混濁性判定までの大幅な時間短縮

ホップ耐性の遺伝子マーカーによって、3ヶ月近くかかっていた検出菌のビール混濁性判定をわずか数時間に短縮することが可能となりました。万が一、ビールを混濁させる新菌種が紛れ込んでもすぐに検出し、排除することができるので、質の良いおいしいビールだけを出荷することができます。

すべては、おいしい“生”ビールのため

謎の解明から実用化まで、20年もの歳月をかけて完成したビール混濁性乳酸菌対策技術。この研究者たちの長年の努力が、安定した“生”の品質を届けることを可能にしました。“生”ビールのおいしさを、世界中の人びとへ。これまでも、これからも変わらないアサヒグループの想いです。

受賞・表彰レポート

研究者のインタビュー