「ウイスキー」と聞くとみなさんはどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか?おしゃれなバーでグラスを傾けながらしっとりと、あるいはスナックで年配の男性が水割りで頼むもの、などのように、普段身近で飲むものというよりも、少し遠い存在に感じている方もいるのではないでしょうか。
実は、ウイスキーは様々な飲み方があり、好みやシチュエーションに合わせた一杯を選ぶことができるため、普段ウイスキーを飲んでいない方でもきっと自分に合うぴったりな飲み方を見つけられるのではないでしょうか。そこで、今回はウイスキーの代表的なおいしい飲み方をご紹介しましょう。
最も気軽に飲める!ハイボール
ハイボールとは
近頃人気が高まり、街の居酒屋さんでもよく見かけるようになった、ハイボール。コンビニエンスストアなどでお手頃な缶入りタイプのものも見かけますよね。「ウイスキーをソーダで割ったもの」がハイボールだと思っている方が多いと思いますが、正確にはそうではありません。
広い意味では「スピリッツなどの蒸留酒を炭酸水などで薄め、氷を入れたもの」全般を指します。お酒はウォッカやシェリー、ジンなどでも構いませんし、薄める飲料は炭酸水以外のソフトドリンクでも構いません。ハイボール専門店なども見かけるようになり、若い方やあまりお酒が強くない方でも手軽にウイスキーを楽しむことができる飲み方といえるかもしれませんね。
ハイボールの作り方
1)炭酸水、グラスを冷やしておく。
2)グラスにたっぷりと氷を入れる
3)ウイスキーを適量注ぐ。
4)しっかり冷やしておいた炭酸水をゆっくりと静かに注ぐ。このとき、炭酸水をできるだけ氷にかけないようにして、炭酸が飛ぶのを防ぐ。(ウイスキーと炭酸水の割合は1:3が標準的とされていますが、お好みで調節してください)
5)マドラーをグラスの底まで差し込み、グラスの氷を半回転させる程度に軽くまぜ、ゆっくりとマドラーを抜く。このとき、かきまぜて泡立たせないようしましょう。
ハイボールを作るポイント
事前にグラスをよく冷やしておくことと、ウイスキーを注いだ後にも氷でしっかり冷やすこと、そして炭酸水をしっかり冷やしておくこと、炭酸水を入れた後は混ぜ過ぎないことです。こうすることで、炭酸を飛ばさず細かい泡を保ちやすくなります。
ハイボールにおすすめのグラス
素材はガラス製や木製、金属製など様々ですが、見た目が美しく氷が涼しげなガラス製がよく出回っているようです。形状は、炭酸が早く抜けないようにグラスの口径が広すぎない方が良いでしょう。
炭酸水以外におすすめの割り材
ジンジャーエールで割った ジンジャーハイボール
オレンジジュースで割った オレンジハイボール
などもおすすめです。
この他に、炭酸水で割ったハイボールをアレンジしたものとして
炭酸水プラス「カルピス」の 「カルピス」入りハイボール
炭酸水プラス梅酒を加えた ウメハイボール
などもいかがでしょうか。
いろいろと試して、お気に入りのハイボールを見つけられるといいですね。
味の変化を楽しめるオン・ザ・ロック
オン・ザ・ロックの特徴
日本では「ロック」と呼ぶのが通例ですが、正式名称はウイスキーの「オン・ザ・ロックス」。グラスに氷をいれてウイスキーを注いだ飲み方のことです。ウイスキーを氷で冷やすことで、ストレートよりも口当たりがよく飲みやすくなります。
飲み始めの温度では、キリッとしたウイスキーをダイレクトに味わえますが、時間が経つと氷が徐々に溶けて、まろやかな口当たりへと変化していきます。また、ウイスキーがグラスの中で溶け合う光景は非常に美しく、見た目も大きな魅力のひとつといえるでしょう。
オン・ザ・ロックの作り方
1)グラスに氷を入れる
(家庭の冷凍庫の製氷皿でできる氷ではなく、市販のできるだけ大きな氷がおすすめです)
2)ウイスキーを適量、静かに注ぐ
(しっかりと冷えるように、量が多すぎないようにしましょう)
3)マドラーで軽く混ぜ、ウイスキーと氷をなじませる
ロックに適したグラス
ロックグラスには、繊細なカットや彫刻が施された様々なデザインのものがあります。中には、それ自体が鑑賞に値する調度品のようなデザイン性の高いグラスも見受けられます。氷とウイスキーが混ざり合い、キラキラと輝くさまは、ため息が出るほど美しいものです。ぜひ、お気に入りのグラスを見つけて、至福のひとときのお供にしませんか。
まろやかで飲みやすい水割り
水割りの特徴
ウイスキーに水を入れて氷を浮かべる、好みの度数で楽しむというシンプルな水割りは、日本ではなじみがある割り方といえるでしょう。ストレートやロックにくらべて度数がさらに低くなり、水の量で度数を手軽に調整できるので、ウイスキーをあまり飲んだことがない方にとって試しやすいですね。
水割りの作り方
おすすめのつくり方、「1・2・3(ワン・ツー・スリー)」をご紹介します。
1)グラスにウイスキーを適量注ぐ
2)ミネラルウォーターを注ぐ
(ウイスキーの量の2倍が目安です)
3)大きめの氷を3個入れて、マドラーでよくかき混ぜる
4)30秒ほど待って味をなじませる
水割りのポイント
おすすめの割合は ウイスキー1:水2:氷3個。「水割りは『ワン・ツー・スリー』」と覚えるといいですね。これを基準に、ご自分の味の好みやお酒の強さ、一緒に食べるお料理に合わせて調整し、ベストな比率を見つけてみてはいかがでしょうか。なおミネラルウォーターは、ウイスキーとなじみやすい軟水がおすすめです。購入する際は、水の硬度が0~60mg/L未満の軟水を選ぶとよいでしょう。
水割りにおすすめのグラス
口径が細過ぎるものは氷が入れにくく、水割りには向きませので、ストレートタイプがおすすめです。ガラスのグラスにカラン、とあたる氷の涼やかな音もウイスキーの魅力のひとつですね。
ウイスキーの水割り「トゥワイスアップ(Twice Up)」
氷を入れない水割りのつくり方として、ウイスキー1:水1の「トゥワイスアップ」があります。これは常温の水(季節によっては軽く冷やした水)を用いる割り方です。ウイスキーの香りは、冷やすことによって常温の時よりも抑えられてしまいます。しかし「トゥワイスアップ」ならば度数を落とし飲みやすくすると同時に、本来ウイスキーが持つ香りと味をしっかり楽しむことができるのです。ウイスキーのブレンダ―はこの方法でテイスティングを行い、ウイスキーの香りと味を確かめます。
香りと味をしっかり楽しむ!ストレート
ストレートの特徴
ストレートという飲み方は、複雑な味や香りを持つウイスキーを楽しむために、最も適した飲み方ではないでしょうか。常温に近い温度で、原液に近い状態で飲むことで、ウイスキー本来の味わいをダイレクトに感じることができます。
ストレートの飲み方
1)グラスにウイスキーを適量注ぐ
2)チェイサー(口直しや酔い過ぎを防止するためのもの)として、水を用意する
ウイスキーの色、注ぎたての芳醇な香りや味わいをじっくりと時間をかけて愉しみましょう。
ストレートで飲むときのグラス選び
香りを引き立たせるためには、口径が狭めで下のボウル部分が丸みを帯びているものがよいでしょう。ボウル部分にふくらみがあることで、香りをためる効果があり、より繊細に香りを楽しめます。
ただし、ストレートでウイスキーの繊細な香りと味を感じられるのは、酔いが回ってしまう前までです。酩酊状態となるまで飲んでしまわないようお気を付け下さい。容量が少なめの「ショットグラス」で飲むと、飲みすぎを抑えられるかもしれませんね。
まとめ
ウイスキーにはいろいろな飲み方があり、楽しみ方も様々あるということがおわかりいただけたでしょうか。ぜひあなたがいいと思った飲み方で、ウイスキーの豊かな香りや味をじっくり楽しんでみてください。香りと一口にいっても、華やかさ、爽やかさ、懐かしさなど、ウイスキーが持つ香りの印象は様々ですし、人によって抱く印象も異なります。香りをかぐことで、大切な人との出来事や感情を思い出す、ということがあるかもしれませんね。
最後にウイスキーの魅力である「香り」を最大限に楽しんでいただくためのグラスについてご紹介します。それはアサヒビール(株)とニッカウヰスキー(株)の容器研究により生まれた「香りに出逢うグラス」です。
このグラスは「CAE解析」※1 というコンピューターを用いた工学的な技術を
応用して開発したものです。グラスの中でウイスキーの香りがどう拡散するかを解析し、香りが最も感じられるグラス形状をつきとめてつくられています。もし機会がありましたらぜひ「香りに出逢うグラス」でウイスキーをお楽しみください。
※1 CAE解析とは
航空業界や、自動車、建築業界などで用いられている解析技術の一つ。従来行われていた試作品によるテストや実験を、コンピューター上の試作品でシミュレーションして解析します。CAE解析により、実験結果の予測や開発の方向性を考える参考になったり、実験・試作の回数削減につながるなどのメリットが挙げられます。近年は食品企業や容器包装企業、トイレタリー企業などでも導入し、容器包装開発などに関する事例報告が増えてきています。