花粉症の原因はスギだけじゃない!?花粉症患者が大きく増えた理由とは?

2019.03.18

目がかゆい、鼻水が止まらないといった不快な症状を引き起こす花粉症。花粉症の症状により、仕事や勉強に集中できない、睡眠不足になるなど、日常生活に支障を及ぼすことも少なくありません。
そんな花粉症の患者は年々増加しており、環境省の調査によれば、平成10年~20年の10年間でスギ花粉症患者が10%増加したという調査結果が報告されています。また、2016年、全国の20歳以上の男女2104人を対象にして花粉症に関するアンケートを実施ところ、6割近くの方が花粉症経験者であると回答しています。※1

花粉症の原因といわれると、多くの人はスギを思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、花粉症の原因はスギだけではありません。その他の植物の花粉が原因で花粉症になる場合も大いにあります。今回は、花粉症の原因とされるさまざまな植物をご紹介しながら、花粉症の人が増えている理由について解説していきます。

花粉症の中でも有名なスギ花粉

日本で最も多いスギ花粉による花粉症。関東では、スギ花粉は2月~4月頃に多く飛散するため、この時期に鼻や目などに症状があらわれる場合、スギ花粉症の可能性が高いです。
それでは、いったい、どのようなメカニズムで花粉症は引き起こされるのでしょうか? 
また、具体的な症状や、スギ花粉症患者がこんなにも増加した理由についてもみていきましょう。

スギ花粉症を引き起こす原因とは?

スギ花粉症を引き起こす原因とは?

私たちの人間の体は、アレルギーの原因となる異物(花粉)が体内に侵入したときに、その異物を外敵とみなして抗体を作り、侵入してきた異物を排除しようとする免疫機能が備わっています。この免疫機能によって外敵とみなした異物を体外へ出すために、涙が出たりくしゃみや鼻水といった症状を引き起こすのです。

スギには雄花1個に約40万個もの花粉が含まれ、風にのって遠い場所へ運ばれます。その距離は数十キロともいわれ、近くにスギの木がなくてもスギ花粉と接触し、花粉症を引き起こしてしまう場合があります。

スギ花粉症にみられる症状は?

スギ花粉症にみられる症状は?

スギ花粉症では、くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどの症状が現れます。そのほか、涙がでてきたり、目の充血、まぶたの腫れ、のどのイガイガ、肌荒れや湿疹などの症状が現れるケースもあります。

このような症状が1ヶ月から、場合によっては数ヶ月続くことで、ストレスが溜まったり、思考力や集中力が低下したりと、日常生活へ大きな影響を与えることも少なくありません。

1970年代からスギ花粉症が増加

日本でこれだけのスギ花粉症患者が増加した理由には、戦後の歴史が背景にあります。焼け野原になった日本の復興のために、日本各地でスギが大量に植栽されました。そして、花粉を多く産出する樹齢30年ほどのスギの木が1960年代には各地で増え、1970年代にスギ花粉症が急速に増加した、というわけです。また、地球温暖化による夏場の気温上昇は、花粉の生産量を増やすため、さらに花粉症患者を増やす原因となっていると考えられています。しかし、北海道と沖縄ではスギの植林がおこなわれなかったため、花粉症になる人が少なかったといわれています。

スギ以外の花粉症とは?

花粉症を引き起こす植物はスギだけではありません。スギ花粉の時期でもないのに症状があらわれる、と感じているなら、それはスギ以外の他の植物による花粉症の可能性を疑ってみましょう。年間を通して、花粉症の症状を引き起こす花粉が飛んでいない時期はありません。

それでは、スギ以外で花粉症の症状を引き起こす植物と、それぞれの特徴についていくつかご紹介します。

イネ科

5~9月頃に症状があらわれ、夏の花粉症として知られるのがイネ科の植物です。カモガヤやオオアワガエリ、ハルガヤなどが原因で、牧草として植えられていたり、道端や河川敷などに生えていたりします。

スギとは異なり、丈も低く、花粉はそれほど遠くまで飛散しません。そのため、これらの植物が生えている場所に近づかないことで、花粉を避けて、症状が和らげることができます。

キク科

キク科の植物

夏から秋頃に症状があらわれ、秋の花粉症として知られるのがキク科の植物です。ブタクサ、ヨモギが原因で、日本各地さまざまなところに生えています。ブタクサは道端や河川敷、畑などどこにでも生息し、ヨモギは非常に強い繁殖力を持っています。

イネ科の植物と同じく、丈も低く、花粉の飛散力もスギほど強くないため、植物が生えている場所をできるだけ避けるとよいでしょう。

その他

近年では、ヒノキによる花粉症も、スギと並んで一般的になってきました。ヒノキは、スギより少し遅れて花粉が飛び始めます。そのため、スギ花粉症の時期の終わり頃に、ヒノキの花粉が加わり、症状が悪化する場合も珍しくありません。

また、スギやヒノキの花粉症がほとんどないといわれる北海道では、カバノキ科の植物を原因とする花粉症がみられ、症状を訴える人が増えています。

花粉症の人が増えている原因とは?

今や国民病ともいえる花粉症。前述したように、飛散する花粉が増えたことも花粉症の人が増加した大きな原因ですが、他にも、以下のようなさまざまな点が挙げられます。

花粉が地面に吸収されず、再び飛散してしまう

現在、都市部においても花粉症にかかっている人が多くいます。都市部ではスギ林は身近な存在ではないはずなのになぜ都市部で花粉症になってしまうのでしょうか。
それは、土の地面が少なく、アスファルト舗装された地面が多いことが原因のひとつとされています。

土の地面では、落下した花粉は吸収されやすいのですが、アスファルトでは吸収されにくく、風とともに何度も飛散してしまいます。そのため、都市部での花粉症患者は増加しているのです。

大気汚染

大気汚染

都市部に住んでいる方が花粉症を発症しやすい理由には、大気汚染の問題も挙げられます。

花粉はそのままの状態よりも、排気ガスなど大気中の化学物質とくっついた状態で吸い込む方が、アレルギー症状を引き起こしやすくなります。また、症状もより悪化させやすいといわれています。そのため、自動車などの排気ガスが多い都市部で花粉症になる人が増えているのです。※2

不規則な生活リズムやストレス

不規則な生活リズムやストレス

不規則な生活リズムや睡眠不足、ストレスは、自律神経の乱れを生じさせ、免疫力の低下を招きアレルギー反応を起こしやすくさせます。

私たちの体は、交感神経と副交感神経という自律神経によって無意識のうちにコントロールされています。自律神経が乱れると、免疫機能の働きが悪くなってしまい、花粉症を引き起こしやすくなるのです。

まとめ

花粉症の代表的な植物として知られるスギをはじめとして、さまざまな植物による花粉症は、ここ数十年で大きく増加しています。スギ花粉が多く飛散するようになったことも要因のひとつですが、生活環境や、生活習慣の変化なども大きな要因です。生活環境を変えるのはなかなか簡単な問題ではありません。そこで、身近にできるマスクやメガネを着用するなどの基本的な対策とともに、規則正しい生活を心がけるようにしていきましょう。

長年、乳酸菌研究に力を注いできたアサヒグループでは、乳酸菌「ラクトバチルス・アシドフィルス L-92株」がアレルギー症状緩和への有効性を明らかにしました。「つらい症状を引き起こす花粉!植物の種類と飛散時期を把握し花粉症に備えよう!」の記事で、基本的な花粉症対策と「ラクトバチルス・アシドフィルス L-92株」の詳しい研究内容ついて紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

※1 アサヒグループホールディングス(株)調べ 調査期間:2016年2月10日~2月16日、調査対象:全国20歳以上の男女、有効回答数:2104人

※2 環境省
https://www.env.go.jp/press/4125.html

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