■ニュースリリース
「香りに優れたグラスの形状設計手法の開発」が平成30年度日本包装学会論文賞受賞
■研究レポート
Report ウイスキーの香りを最大限に愉しむグラスを開発~コンピュータ解析で香りの拡がりをシミュレーション~
■技術広報誌モノコア
第2号「マイナスから生まれる価値」p.15 研究者が語るミライ(受賞者 佐藤英明のインタビュー記事)
今回受賞した「香りに優れたグラスの形状設計手法の開発」は、ウイスキーの香りを最大限に楽しめるグラス「香りに出逢うグラス」を設計・開発する手法についての論文です。特にComputer Aided Engineering(以下、CAE)という高度なシミュレーション技術を用いて開発している点がユニークで有用、かつ他の分野へも広く応用できると評価され、受賞にいたりました。
一般的な容器の開発では、既存の容器の形状を少しずつ変えた試作品を、強度・耐久性・人の五感による使用感などについて評価し、形状を決定していきます。しかしこの方法は1パターンの検証に時間がかかり、試作できる種類が限られてしまいます。さらに、求める性能を得るための細部にわたる検討は、開発者の経験や勘頼みになることも課題でした。そこで開発時のスピード・質・精度を大きく向上させるためにCAEを導入し、コンピュータ上でのシミュレーションにより、様々な評価を行うことにしました。
今回の「香りに出逢うグラス」の開発では、目に見えない香りの動きをどのようにシミュレーションするかが課題でした。そこで、ウイスキーの香りは大部分が揮発したアルコールに含まれることに着目し、特殊なサーモグラフィーカメラによって、揮発したアルコールの挙動を可視化しました。それを元に、CAEを用いてグラス内の香りがどのように拡散するかをシミュレーションしたのです。
このシミュレーションを活用し、様々なグラスの形状における香りの拡散を評価、付属のフタを開けた時に香りを豊かに感じられる「香りに出逢うグラス」を設計しました。実際に試作したグラスは、ニッカウヰスキー株式会社のブレンダーによる官能評価においても非常に香りを強く感じる、という結果が得られています。
アサヒクオリティーアンドイノベーションズ(株) プロセス開発研究所 佐藤 英明
この度光栄にも「日本包装学会論文賞」を頂くことができました。包装分野では日本で唯一の学術誌である日本包装学会誌の論文賞を授かり、大変名誉に感じております。
研究を進めるにあたって、社内(アサヒビール㈱ パッケージング技術研究所、同社マーケティング部門)だけでなく、社外の資材メーカー様やCAEベンダー様の多大なるご支援・ご協力を頂きました。心より御礼申し上げます。
今後も、良いソリューションをご提供できるように邁進致します。
■ニュースリリース
「香りに優れたグラスの形状設計手法の開発」が平成30年度日本包装学会論文賞受賞
■研究レポート
Report ウイスキーの香りを最大限に愉しむグラスを開発~コンピュータ解析で香りの拡がりをシミュレーション~
■技術広報誌モノコア
第2号「マイナスから生まれる価値」p.15 研究者が語るミライ(受賞者 佐藤英明のインタビュー記事)