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研究レポート

Report32

高齢者ニーズに対応。小容量サイズ缶の開けやすさ向上

缶ビールを開けるときの「プシュッ」という爽快な音。その引き金になっている“タブ”の開け易さにも、綿密に計算された技術が組み込まれています。感性工学の考え方を取り入れ、近年、特に高齢者にニーズの高い小容量サイズ缶の開けやすい缶蓋を開発しました。
 本成果は、公益社団法人日本包装技術協会主催の「2017日本パッケージングコンテスト」において、最高賞である「日本パッケージデザイン協会賞」を受賞しました。

アサヒグループの容器・包装開発

アサヒグループでは、品質の向上や環境負荷低減のため、缶をはじめ、段ボールカートンやビールサーバーなど様々な容器・包装の開発に取り組んでいます。

アサヒグループが1958年に発売した日本初の缶入りビールは、缶切りを使って開栓するものでした。その後、缶切りがいらないイージーオープン蓋、プルトップタブと進化を続け、2001年からは、“感性工学”の考え方を取り入れた容器開発にも取り組んでいます。感性工学とは、「人間が持つ感覚的な要求(感性イメージ)」と「商品の物理的特性」との相関関係を明らかにし、その結果を新たな商品の設計に応用する手法です。これにより、500ml缶、350ml缶、250ml缶の飲みやすさ・注ぎやすさ・開けやすさの向上に成功しています。
(詳しくはReport01Report02

小容量サイズ缶ならではの課題

近年、ビールの小容量サイズ缶(135ml)の需要が伸びており、特に、50歳代以上のシニア世代が購入者の7割以上を占めています。また、手軽なお土産として外国人旅行者が買われる機会も増えています。

それに伴い、 「タブが固くて開かない」、「プルタブを開ける器具はないのか」といった小容量サイズ缶の缶蓋の開け難さに関するお客様の声を多数いただくようになりました。これまでに、 500ml缶、350ml缶、250ml缶で使われる204径(※)サイズの缶蓋では、タブ下の凹み部分を深くすることで、タブに指を掛けやすくし、開けやすさの向上に成功していましたが、小容量サイズ缶は、缶蓋のサイズが200径と面積が小さいため、204径の缶蓋と同様の加工を施すと、ビールの炭酸の圧力に耐えられず、ビールが漏れてしまう可能性があります。そのため、技術上のハードルが高く、改善が遅れていました。

そこで、この小容量サイズ缶ならではの課題の解決と、さらにアルミ使用量を抑えることによる省資源化も目標に加え、缶蓋の開発に取り組みました。
※204径:缶蓋外径の呼称で、2と4/16インチを示します。

ユーザビリティの向上と環境負荷低減の両立を目指して

204径缶の開けやすさ向上に取り組んだ際に蓄積した知見から、開けやすさの向上には「タブ浮き量」を増やすことが重要であることがわかっていました。タブ浮き量の増加とアルミ使用量の低下を同時に実現させるために、ビールの炭酸の圧力により缶蓋のパネルがドーム状に変形する現象に着目しました。これにより、タブが浮き上がり、指がかけやすくなります。缶蓋を薄くするほどドームが大きくなりタブ浮き量は増加しますが、輸送時にドーム頂点に衝撃が加わることで破損しやすくなり、また、耐圧性能にも影響がでてきます。そこで、 コンピューター上のシミュレーションや、試作を繰り返した結果、缶蓋としての性能と開けやすさを満足しながらも、使用アルミ原料を6%削減した缶蓋ができあがりました。さらに、缶蓋の形状を変えることにより工場での缶生産時に起こる様々な課題について、工場と連携しながら検証・解決を重ね、新しい缶蓋を市場に展開することに成功しました。

改良の効果を確認。開けやすさが大きく改善!

実際の「開けやすさ」を確かめるため、感性工学手法により導き出された開けやすさに関する評価ワード(指の入りやすさ、タブと指とのフィット感など)を用いて、50名を対象に官能評価をおこないました。その結果、改良前に比べて、改良後は、「開けやすさ」が大きく改善していることが確認できました。

まとめ
「小容量サイズ缶は開けづらい」というお客様の声から始まった、今回の小容量サイズ缶の缶蓋の開発は、研究所の容器開発、工場の容器生産における、長年の知見と技術の積み重ねにより、多くの課題を乗り越えて成功することができました。今後も、お客様に美味しいビールを心地よく飲んでいただくために、そして、環境に優しい容器・包装の開発のために研究に取り組んでまいります。

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