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ビール酵母細胞壁で持続可能な農業の未来を切り拓く
開発のきっかけは、畜産農家さんからの報告でした。「ビール酵母を使った餌を使うと、家畜が病気になりにくい」というもの。動物に効果があるのなら、植物にも免疫力を高めたり、成長を促進させる効果があるのではないか、と研究がスタートしました。
約10年にわたる研究の結果、当グループのの有用 微生物活用技術や発酵技術の応用で事業を展開するアサヒ バイオサイクル社はビール酵母細胞壁を利用した農業資材の開発に成功。開発された資材は農薬の使用量低減と農作物の収穫量増加を両立させる効果を示しました。植物の根をよく伸ばし、病気にも強くさせ、農作物の収穫量も増加させます。
そのため収穫量当たりの温室効果ガスの削減にも貢献。こうして持続可能な農業の実現に向けた重要な農業資材が、私たちの主力事業であるビール製造の副産物から生まれました。では、それが実際に活用されている例をみてみましょう。
*出展:「農業分野における 気候変動・地球温暖化対策について」農林水産省農産局農業環境対策課 令和6年1月
さらに、この資材は世界の食糧危機に貢献する取り組みとも結びついています。アサヒバイオサイクル社は、農林水産省が主導するプロジェクトに参画し、食糧供給が不足している新興国へ、国内で生産された米を輸出する可能性を探る取り組みに関わっています。
このプロジェクトでは、ビール酵母細胞壁由来の資材を活用した節水型乾田直播(かんでんちょくは)(*)という栽培方法の確立に向けた実証試験を開始。気候変動への対策と、低コストで省人化された米作りを確立することで、休耕田や耕作放棄地を活用や、農業従事者・後継者不足などの国内の米生産の課題への解決としても期待されています。日本品質でかつ低コストなお米を輸出することで、世界的な食糧危機への貢献を目指しています。
*節水型乾田直播とは、水を張らない状態の田んぼに種子をまき、苗立ち後、田に水を流すことはあるが湛水はしない栽培方法。水田栽培に比べ温室効果ガスのメタンガスの発生抑制や、水資源削減も期待できる気候変動対策にも適した米栽培方法と言われている。また、従来の田起こし、水張り、代掻き、苗代づくり、田植えが不要となり、低コスト化・省力化が可能。節水型乾田直播栽培は、出芽後も湛水しない栽培方法で、通常の乾田直播栽培よりも更に低コスト化・省力化が可能。
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