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おいしいビールをつくった酵母を、高品質な農作物づくりへ「ビール酵母細胞壁」を活用した農業支援

ビール酵母の細胞壁には、植物の生育を促す有効成分が含まれています。アサヒグループが独自の加工処理によって生み出した「ビール酵母細胞壁」由来の農業資材(肥料原料)が今、収穫量の増加や農薬の使用量低減など、全国各地の農場でさまざまな成果を挙げています。

「中心部分」だけでなく、ビール酵母の「外側」も活用するために

「ビール酵母」は、ビールの発酵には欠かせない酵母菌の一種。醸造後、役目を終えて取り除かれた酵母には、麦汁の栄養分やうまみ成分がたっぷりと含まれています。この副産物を最大限に活かそうと、胃腸・栄養補給薬『エビオス錠』や調味料の原料となる「酵母エキス」など、さまざまな形に役立ててきました。
しかしこれは、ビール酵母の「中心部分」に限った話。中心部分を殻のように覆う「細胞壁」は、これまで家畜の飼料に使われてはいたものの、水に溶けにくく加工処理が難しいため、それ以外の用途では活用されていませんでした。とはいえ、酵母の細胞壁には植物の生育に役立つ有効成分が豊富に含まれています。そこで、どうにかして農業分野で活用できないかと、酵母細胞壁を加工処理する方法を探し始めました。

10年の歳月を経て肥料の原料開発に成功し、効果を実証

10年の研究を経たのち、アサヒグループはようやく、水に溶けにくい酵母細胞壁を低分子化する独自の加工処理方法を開発。
新しく生まれたこの農業資材(肥料原料)を早速農家の皆様に試していただいたところ、植物の根張りが促進され生長も速くなった、農作物の品質が向上した、土壌が改善されて病気が少なくなったなど、目を見張る数々の効果が現れました。
寒冷地のため、これまで稲作が難しかった北海道網走市の福田農場からは、「初めて米が収穫できた」という報告が届きました。アサヒバイオサイクル(株)と共同で行ったこの「ビール酵母で育てる畑のお米チャレンジプロジェクト」では、農場の畑3a(約100坪)にこの農業資材を施肥。初年度の2020年から、稲穂に実をつけることができました。
岐阜県の農場からも、驚きの声が寄せられています。ジャンボタニシによる稲の食害に悩んでいたJAぎふと協力して、約5haの水田にこの農業資材を使用。隣接する水田の約2割の稲がジャンボタニシの被害を受けたのに対し、農業資材を使った水田では被害はほとんど見られませんでした。「生育初期の柔らかい苗が被害に遭いやすいので、田植え前の苗床にも散布しています」と、評判は上々です。

2021年5月 種まき風景

2021年5月 種まき風景

ジャンボタニシ

ジャンボタニシ

ゴルフ場や野球場、公園の芝生の維持にも有効

ゴルフ場や野球場、公園といった施設内の天然芝にも、酵母の細胞壁は活用されています。酵母細胞壁を使った肥料原料は食品由来であるため、小さな子どもやペットが芝の上で転がり回っても安心です。そのうえ芝全体に根がしっかりと張るため、プレーに適した高品質な芝生を維持することができるのです。日本では、野球の聖地として知られる阪神甲子園球場や、3分の1を超えるゴルフ場での導入実績があります。
世界各地の農家の皆様とアサヒグループの酵母の技術をつなげることで、農作物の生産に革新をもたらし、人と環境に優しい農業への転換を図る今回の取組み。ビールと野菜をおいしくするために働くこの微生物は、持続可能な食糧調達や地球温暖化など、グローバルな問題に光をもたらす可能性も秘めています。安全で豊かな食の未来を実現するために。酵母たちの活躍は、これからも続きます。

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