環境Environment
アサヒグループは、「自然の恵み」を享受して、商品・サービスを生み出しているとともに、事業活動を通じて、温室効果ガスの排出など地球環境に影響を及ぼしています。気候変動に対応し、水資源の確保や生物多様性の保全なくして、私たちは事業を継続できません。アサヒグループでは、さまざまな環境課題に対して積極的に取り組むことで環境負荷を削減、社会により多くのプラスの価値を創出し、「自然の恵み」を次世代につないでいきます。
アサヒグループにとって、気候変動による異常気象や災害の多発、水資源や農産物への影響は、事業に大きなリスクをもたらします。事業活動に伴うCO2の排出量を削減し、気候変動へ対応することは喫緊の課題です。
そのため、アサヒグループは、2050年までにCO2排出量“ゼロ”を目指す「アサヒカーボンゼロ」を2018年に設定。その達成に向け、2030年の目標値を2回にわたって上方修正するとともに、バリューチェーンのあらゆる段階でステークホルダーの皆様と協働しながら、さまざまな取り組みを推進しています。
気候変動への中長期目標「アサヒカーボンゼロ」
アサヒグループは、気候変動への中長期目標「アサヒカーボンゼロ」を設定しています。「アサヒカーボンゼロ」は、2050年にScope1,2およびScope3にてCO2排出量“ゼロ”を目指すものであり、2030年にScope1,2において70%削減、Scope3において30%削減を目標とするものです。さらに、Scope1,2は2025年までに40%削減する中間目標を設定しました。
目標達成に向けては、再生可能エネルギーの導入、製造工程における蒸気などの排熱回収利用、缶列常温充填化などの冷熱利用、コージェネレーション設備の導入、燃料転換、ISO14001を活用した全事業場での活動などさまざまな省エネ・環境施策を実施していきます。
「アサヒカーボンゼロ」は、SBT(Science Based Targets)イニシアチブからScope1,2において「1.5℃目標」の認定を取得しています。SBTイニシアチブとは、企業のCO2排出量削減目標が科学的な根拠と整合したものであることを認定する国際的なイニシアチブです。
また、2020年10月に国内飲料業界としては初となるRE100に加盟しました。2050年までに使用する電力全てを再生可能エネルギーにすることを目指し、今後さらに再生可能エネルギーの導入を加速していきます。
気候変動への対応に関するKPI


by 2050
Scope1,2,3において
CO2排出量を“ゼロ”にする(2019年比)
達成状況
2020年
2021年
Scope1, 2における2020年、2021年の
達成率(2019年比)
気候変動への対応に関する活動報告
自然の力を商品づくりに
再生可能エネルギーの活用
アサヒグループでは「アサヒカーボンゼロ」の達成に向けた取り組みを加速させるため、再生可能エネルギーの導入、活用を進めています。
2025年までに、日本国内全生産拠点での購入電力の再生可能エネルギー化を目指すとともに、海外を含めた生産拠点全70工場(2022年3月時点)のうち約9割となる62工場で再生可能エネルギー化を進める予定です。
カーボンニュートラルな醸造所を目指して
グリーン熱の活用
オランダのロイヤルグロールシュ社は、バイオマス発電による電気、熱、蒸気を供給するTwence社から、発電時に発生する熱エネルギーの供給を受ける契約を締結し、2022年からグリーン熱の利用を開始しました。
CO2排出量削減の新しいモデルをつくる
クリーンエネルギーモデルの開発
アサヒグループは、CO2排出量削減の新たなモデルとして、ビール工場排水由来のバイオメタンガスを利用した固体酸化物形燃料電池(SOFC)による発電の実証事業をアサヒビール(株)茨城工場にて2020年から開始しました。
持続可能な容器包装
アサヒグループの商品における容器包装の役割は、品質保持、輸送に耐える強度の確保、表示を通じたコミュニケーションなど、重要かつ多岐にわたっています。
一方で循環社会の実現に向けては、容器包装による環境負荷の低減は重要な課題であり、環境負荷の高いプラスチックについては特に力を入れて取り組むべき課題であると考えています。グループ全体目標「3R+Innovation」を策定し、プラスチック使用量の削減やリサイクル素材の利用推進、ラベルレスボトルの販売など容器包装における環境配慮を進めています。
「3R+Innovation」目標
2025年までにプラスチック容器を100%有効利用可能な素材とする※1
2030年までにPETボトルを100%環境配慮素材に切り替える※2
環境配慮新素材の開発・プラスチック容器包装を利用しない販売方法を検討する
対象とするプラスチック容器:PETボトル、プラボトル、PETボトル・プラボトルに使用するキャップ、一部プラスチック容器、プラカップ(販売用)など
有効利用:リユース可能、リサイクル可能、堆肥化可能、熱回収可能など
対象会社:アサヒビール(株)、アサヒ飲料(株)、アサヒホールディングスオーストラリア、アサヒホールディングスサウスイーストアジア
環境配慮素材:リサイクル素材、バイオマス素材など
対象会社:アサヒ飲料(株)、アサヒヨーロッパアンドインターナショナル、アサヒホールディングスオーストラリア、アサヒホールディングスサウスイーストアジア
持続可能な容器包装
に関するKPI


by 2030
2030年までにPETボトルを
100%環境配慮素材に切り替える
達成状況
2021年の達成率
持続可能な容器包装に関する活動報告
環境にも、使う人にも、優しい商品を
ラベルレス商品の販売
アサヒ飲料(株)は、PETボトルからラベルをなくすことでラベルに使用される樹脂量を削減した「ラベルレス商品」の販売を拡大しています。廃棄時の分別でも、ラベルをはがす手間が省け、環境に配慮しながらお客様の利便性も向上させる「ラクしてエコ」を実現する商品です。
リサイクルへの取り組みは、プラスチックを多く利用する企業の責任
リサイクルPETボトル使用拡大への取り組み
アサヒグループは、プラスチック問題に関するグループ全体の目標「3R+Innovation」の中で、リサイクル素材など環境配慮素材の利用を推進しています。特に豪州と日本の飲料事業ではプラスチック容器を多く利用しており、リサイクルPETボトルの導入を拡大しています。
使い捨てから「繰り返し使う」へ、そして「使い食べ」へ
プラスチック使用量の削減へ
何気なく捨てられたプラスチック容器は、海洋生物だけでなく生態系全体に甚大な被害をもたらします。特に多いのが、容器・包装に使用されるプラスチックです。地球全体が直面するこの課題の解決に貢献することは、食品や飲料を製造販売するアサヒグループの果たすべきミッションだと考えています。
持続可能な農産物原料
農産物が、人類に不可欠であることは言うまでもありません。一方、世界では耕作地の増加による森林減少や、農産地の環境・生態系への負荷が懸念されています。地域社会における人権に配慮した農業を行っていくことも重要です。また、気候変動などの環境リスクは、農産物原料の収量や品質に大きな影響を与える可能性があります。
農産物を主な原料として事業を展開するアサヒグループでは、環境、人権の両面から農業が抱える問題に対応し、持続可能な農産物原料の実現に向けて取り組んでいきます。
持続可能な農産物原料に関する活動報告
自然の恵みを、次の世代につなげていくために
重要原料のリスク分析
アサヒグループは、将来にわたって農産物原料を枯渇させずに安定して確保する仕組みの構築を進め、大切な「自然の恵み」を次世代につなげる持続可能な農産物原料の実現を目指しています。
持続可能な水資源
人口増加、経済成長、気候変動による渇水などで、毎年のように世界規模の水不足が発生する現在。水資源をめぐる問題は、グローバル共通の社会課題です。
水そのものを原料とし、また工場での製造などにおいても水を活用しているアサヒグループにとっても、水は欠かすことのできない資源です。将来もずっと、この貴重な資源を活用できるように、水使用量の削減や自社工場における水リスクの把握と対応を推進し、製品製造に使用する水と同量の水を地球に還元する「ウォーターニュートラル」などの取り組みを進めています。
持続可能な水資源
に関するKPI


by 2030
2030年までに水使用量の原単位を
3.2m³/kl以下とする
達成状況
m³/kl
2019年
m³/kl
2020年
m³/kl
2021年
2019年、2020年、2021年の水使用量・原単位の実績
持続可能な水資源に関する活動報告
水を蓄え、育む「アサヒの森」
社有林「アサヒの森」による水涵養
アサヒグループは、社有林「アサヒの森」(広島県)において適切な森林管理を行うことにより、水涵養による水資源の保護に貢献しています。現在その水涵養量は、当社の日本国内ビール工場で使用する水以上の量となっています。多様なステークホルダーとともに「アサヒの森」の豊かな生物多様性を維持し、これからも地域に貢献していきます。
Other
Activitiesその他のアサヒグループの活動
廃棄物削減と汚染の防止
人口増加や経済成長にともない、天然資源の枯渇や廃棄物の増加等による環境汚染が深刻な問題となっています。アサヒグループは、これまでに培った技術や知見を活用した副産物の新しい利用や、廃棄物の削減および汚染防止の取り組みを推進しています。