Asahi IR Day 2021 主な質疑応答
酒類事業
- 代表取締役社長 塩澤賢一
- 専務取締役 兼 専務執行役員 松山一雄(マーケティング担当)
- 専務取締役 兼 専務執行役員 濱田賢司(営業、経営企画担当)
A.19年から比較すれば、20年は売上の減少もあり上昇している。21年についても、売上が19年並みまで回復しないため、元の水準まで戻らない。まずは、新型コロナウイルスからの業績回復を目指した上で、2ポイント程度引き下げていく方針である。
A.国内の酒類・飲料・食品3社が別々に分かれている事務所などを統合していく。効果は一定程度あるが、明確には回答することは差し控えたい。今年の春からスタートし、1-2年以内での完了を目指して進めていく。
A.今年4月に発売する『生ジョッキ缶』 は日本初と言っているが、世界にも例のない容器のイノベーションだと捉えている。お客様が料飲店で飲む生ビールで満足する瞬間を家でも、どこでも味わえることが、ありそうでなかった大きなイノベーション事例だと考えている。微アルコール『ビアリー』や、新ジャンル『ザ・リッチ』などを積み重ねて、ありそうでなかった体験価値を作っていきたい。「ホームサーバー」についても『スーパードライ』を軸とするが、家で家族と飲む、アウトドアで飲むような体験価値をベースとしたイノベーションとして、今後も消費者の体験価値を軸に高めていきたいと思う。
こうした取り組みを通じて、『スーパードライ』の価値を高める努力とスマートドリンクのような新たなカテゴリー創出のバランスを取りながらマーケティングの強化を図っていく。
A.『ビアリー』のパッケージなどを含め、新たな顧客層に響くか響かないのか、消費者の生のタッチポイントを持つことを大事にしている。これまでは、調査し、年代別に分析したりして、仮説を立て進めてきたが、今はその前に消費者が手に取った時、飲んだ時にどう感じたのかという定性面を重視している。『ビアリー』のパッケージについても、20代と30代に高い評価を受けており、今後も消費者の生の声を聞きながら第2段、第3弾を出す際に反映させていきたいと考えている。
A.昨年は、ユーザー数を東京オリンピックや酒税改正により、ブランドの勢いをつける予定だった。しかし、販売数量が大きいため、様々なコロナ禍による要因を受けており、缶全体では、業務用で取扱う缶容器が2%程度、ハレの日効果により6%程度の前年比を押し下げており、純粋な家庭用市場での消費だけを見れば微増となっている。今年は、『SD生ジョッキ缶』 を大きな起爆剤として、若い人を中心に話題を作り、SNSでの登場回数を増やし、ブランドの成長を図っていきたい。
A.グローバルでは、酒類市場の成長がフラットの中で、アルコール度数0-1%未満は6%程度の成長率になっている。地域ごとにギャップもあるが、欧州では8%の年平均成長と最も伸びている。一方で、アジアは日本も含め、徐々に伸びているが、3%程度の年平均成長率に留まっていて、まだ市場が活性化されていない部分もある。『ビアリー』は数値目標を設定していないが、当社のアルコールテイスト清涼飲料の売上は、約320億円あり、今年は約400億を目指す計画にしている。新たなカテゴリーに挑戦し、開拓していきたい。
A.その通り。また、『ビアリー』だけでなく、それを皮切りにアルコール度数0-3.5%以内の商品群の提案を強化することで、25年までに20%の比率にもっていく。
A.流通の方々は非常に評価してくれているが、未開拓のマーケットでもあり、売り方は試行錯誤しながら、進めていくことになると思う。これまでのノンアルコールビールは、ビールを飲む人のための商品であったが、今回は「味」そのものが評価されており、マーケティング次第ではこの分野の拡大余地はあると考えている。また、グローバルの消費トレンドを見ると、今後、日本におけるノンアルコールや微アルコールに対しての需要が高まる流れが出てくることは間違いない。
A.『ビアリー』はコミュニケーション上のターゲットは、年齢を問わず普段あまり積極的に飲まない人を含めてターゲットにしている。ノンアルに不満を持っていた人にも、『ビアリー』の味や提供する飲むシーンに対しての評価を受けており、実際に体験できる販促も実施していく方針である。また、飲むシーンについては、ビールのように、飲むことだけが目的のシーンでなく、料理、ゲーム、読書、映画、創作活動をしながら飲むように、「~しながら」のマーケティングコミュニケーションを展開している。
営業の観点では、コロナ禍により苦戦している業務用などにも広げてもいきたい。飲めない人は、飲むシーンに参加したくない気持ちを持っている人がいる。アルコール度数で商品を選べるメニューラインナップを作ることにより、飲むのが嫌になった人を取り込める可能性があることも考えている。
A.当社もスタートするに当たり、家で美味しいビールが飲めるだけではなく、お客様に新しい体験価値を提供できるようなマーケティングにしていきたい。ファンの人に色々な形で楽しんでもらうファンマーケティングに取組み、それぞれのご家庭に新たな楽しみという付加価値を提供することに挑戦していきたい。これまでのマーケティングは物性・機能的なベネフィットと情緒的価値の2つの軸で考えていたが、今後は3つ目の軸に体験価値を加えて取り組んでいく。
A.7割~8割を目安にしている。但し、外食産業は変化が速いので、新たな成長トレンドが生まれる可能性もあるため、今後の変化次第ではお伝えした見通しは変わることもある。
飲料事業
- 代表取締役社長 米女太一
- 常務執行役員 相生宏之(マーケティング本部長)
A.販売数量は、今期に2019年並みに戻していくが、業界構造の変化もあり、利益率を戻すには時間を要する。来年度には、2019年並みのマージン水準に戻すとともに、その後に更なる収益性の向上に努めていく。
A.現状は、自販機事業の構造改革を優先していく。設置台数を減らすことが目的ではなく、設置場所の再点検や固定費の効率化に加え、商品ラインナップの充実や機能面での向上を図ることで、1台当たりの存在価値を高めていく。また、それ以外のチャネルにおいては、消費者に付加価値を提供できる利益率の高い商品を拡大展開していくことで、飲料事業全体の採算性を高めていく。
A.今後もPET内製化や自社製造比率を高めていくことを考えている。これまで自社製造比率を着実に高めることにより、原価率を下げる効果を創出してきた。また、今年5月からは、アサヒビール社の名古屋工場に飲料の新製造ラインができることで、自社製造比率を更に高めることが出来る。
尚、自社製造比率は、100%にすると季節による販売ボリュームの波もあり、結果的に操業度が下がってしまうため、一定程度の外部委託は必要となる。
A.今後、市場におけるリーディングカンパニーのポジションの確立を目指している。それは単に市場シェアを高めるということではなく、社会で一番信頼される会社になることにより、新たな価値創出の強化やブランド価値の向上を目指していくことである。
A.環境対応に積極的に取り組むことは、環境配慮素材資料の容器に代えていくだけではなく、品質維持の技術など、多岐に渡る領域での競争力を高める必要があるので、差別化ポイントになると考える。今期のコストアップは、数億円を見込んでおり、今後も一定規模の費用は発生すると見ている。但し、今後、その影響を最小化すべく、技術的な革新による効率化を含めたコストダウンを実施していく。また、このような社会問題については、業界全体で手を握り、解決しなければいけない項目なので、協業できる領域があれば、積極的に協業していく。
A.環境や物流分野については、一定の協業の可能性はあると思っている。また、自販機についても、協業することにより、効率化を実現できる領域にでは、前向きに検討していく。
A.新たな成長ブランドの創出は、当社の最優先事項の一つとして取り組んでいかなくてはいけない課題と認識している。研究開発、マーケティングとも議論しており、その研究成果を来年以降に出していきたいと考えている。乳酸菌から炭酸まで幅広く機能性の研究もしており、健康を軸に独自技術の強みを活かしたブランドを作るとともに、主力ブランドの価値を更に強くしていくことを両輪で取り組んでいく。
A.今後、事業環境も含めて容易に利益率を高められるわけではないが、価値のある商品に相当の対価をお支払頂く客様も増えてきており、そうした消費者ニーズを捉えたブランド展開をすることがポイントになる。また、SCMの効率化などを着実に積み重ねるとともにDX(デジタルトランスフォーメーション)による合理化に向けた取組みなどにより、利益率を向上させていきたいと考えている。
A.お茶市場については、今後も健康意識の高まりもあり、無糖系の茶が伸長していくと見ている。当社では、『十六茶』に集中してマーケティングを推進し、今年はリブランディングして取り組んでいく。コーヒーについては、自販機の減少や家庭でも作る人が増えてきたことから減少しているが、今年は、反動もありコーヒーの需要回復を見ている。当社のボトル缶『ワンダ極』における2020年の販売数量は、前年比107%で伸びており、ブランドコンセプトが評価された。コーヒーでは、お客様ニーズの高い入れたてに近い味わいを再現することが大事だと思っている。SOT缶の『ワンダ モーニングショット』についても、日常生活に寄り添う販促を目指し、朝に飲みたいシチュエーションをお客様に共有して、ブランド価値を高めていきたい。自販機の回復とブランディングにより成長を目指していく。価格競争面については、大きな懸念はないと見ている。
A.1-3月のコロナ影響などの要因もあり、総需要を見通すのは難しい。但し、春以降は、昨年の反動やワクチン浸透なども含め、少しずつ回復していくと見ている。チャネル別については、昨年大幅に減少した自販機やコンビニが回復基調に入り、スーパーも需要が堅調に推移することを期待している。また、2019年の市場規模に戻るのは、昨年の大きな変化を踏まえ、各社が新たなマーケティング活動に取り組んでおり、その成果は来年以降に出てくるものもあるため、今後の市場成長に対して大きな悲観はしていない。
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